表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/64

14 ガンナー「青い髪の女」

勇者「僧侶たちの旅の支度も整ったところで、もう一度クリエントにもどるか」


魔法使い「行ったり来たりで落ち着きがないね」


勇者「しょ、しょうがないだろ。他に手がかりがないんだから」


僧侶「では、参りましょうか。日が落ちる前には宿に到着しておきたいですし」


剣士「そうだな」


~宿~


勇者「魔法使い」


青髪の少女「」モグモグ


魔法使い「おいしい?」


青髪の少女「んぅ」コクリ


魔法使い「かわいいなぁ」ナデナデ


青髪の少女「ん」モグモグ


勇者「魔法使い」


魔法使い「何処から来たの?」


勇者「魔法使い!!」


魔法使い「もォー大きい声出さないでよ勇者。何?」


勇者「や、何? じゃなくてさ、その子……誰?」


魔法使い「アグアちゃんだよ。なんかクリエントに行くはずだったけど道に迷ったらしくて。一緒にいた人ともはぐれちゃったらしいんだ」


勇者「えっと、つまり迷子?」


魔法使い「そうなるね」


勇者「行先が一緒なら街まで一緒に行く? このあたりの魔物は弱いけど、女の子一人だと危ないしさ」


魔法使い「うん、それがいいよ!」


アグア「んん?」


勇者「それにしても、そのはぐれた人っていうのは?」


魔法使い「はぐれたままおいて行かれたんだって」


勇者「ひどいな」


アグア「いつもこう。フラマはひどい」


勇者「へー……」


勇者「……ん?」


~・・・~


魔法使い「こんな妹ほしかったなあ」ナデナデ


吟遊詩人「本当ねえ」


騎士「……」ジー


アグア「?」



勇者「どうするよ」


剣士「何だあの和やかムード」


ガンナー「あそこで延々と餌付けされてるのが魔王の刺客の一人」


勇者「おかしいだろ」


剣士「なんで敵にお菓子振舞ってんだよ」


僧侶「母性本能という奴ではありませんか? 見た通り幼い少女ですし、なんとなく構ってあげたくなる可愛らしさはあります」妹持ち


剣士「いや、気持ちは分からんでもないがな」弟持ち


ガンナー「俺にはなんとなくいじめたくなるような愛くるしさに見えるけどな」鬼畜


勇者「それお前だけだから。お前がゲスなせいでそう見えるだけだから」一人っ子


アグア「」モグモグ


ガンナー「なんでアレ耳のとこにヒレみたいなの生えてんの?」


剣士「知らねえよ……」


僧侶「……まあ、ですが、今のところ敵意は感じませんし……目を離しさえしなければ安全かと」


ガンナー「じゃあ俺寝るわ」


勇者「おい」


僧侶「今眠ると夜眠れなくなりますよ」


ガンナー「そん時ゃ魔法使いに頼む」


剣士「いいのかそれ」


勇者「なんという魔力の無駄遣い」


剣士「じゃあ、俺は飯の準備でもしてくるか……」


僧侶「ああ、でしたら私もお手伝いします」


勇者「行ってらっしゃい」


ガンナー「よいせ」


勇者「えっ本当に寝るの? この女子だけの空間に俺を残して?」


ガンナー「うるせえな、別に部屋から消えていなくなるわけでもないだろうが」


勇者「そうだけど」


ガンナー「起こすなよ」


勇者「ハイ」



勇者「……俺はどうするかな」


勇者「……」   ワイワイキャッキャッ>


勇者「あっちは放っておいて大丈夫――だよな。騎士と……寝てるけどガンナーもいるし」


勇者「ちょっと散歩でも行ってくるか」


~しばらく後~


吟遊詩人「あら? 騎士がいないわね」


魔法使い「そのうちもどってくるんじゃない?」


吟遊詩人「そう? ……あ、お茶のおかわり持ってくるわ」


魔法使い「私トイレ行きたいしついでに手伝うよ。アグアちゃん、ちょっと待っててね」


アグア「……」コクリ


二人が席をはずしたことにより束の間、部屋にはガンナーとアグアだけになった。魔法使いと吟遊詩人が遠ざかっていくのを音で確認するとアグアはおもむろに立ち上がる。


ガンナー「……」


ガンナー「」スースー


アグア「……」


ガンナーの傍で静かな寝息に耳を澄まし眠っている事を確認すると、懐から果物ナイフを取り出した。


そしてそれを、ベッドに横たわっている小さな背中に向けて――振り下ろした。


~一階~


ガタン。


剣士「……ん?」


僧侶「どうかなさいましたか?」


剣士「いや、なんでもない」


~客室~


騎士「……」


アグア「……」


果物ナイフを持っていたアグアの手を背後から騎士が掴み、アグアの企みは失敗に終わった。


騎士「その人に――触らないで」


アグアはしばらく騎士を睨むとナイフを仕舞い、それから一度ガンナーを一瞥してから、窓から外へ飛び出していった。


ガンナー「……」


~・・・~


魔法使い「あれ? アグアちゃんは?」


騎士「出て行った」


魔法使い「ええっ! 出てっちゃったの?」


勇者「というか結局何もしなかったのか? てっきり油断させて一人くらい刺していくつもりだと思ってた」


吟遊詩人「そう予想していたのに散歩に行ったのね」


勇者「う……だ、だって俺がいなくても魔法使いも騎士も、それにガンナーだっていたし、何かおきたとしても大丈夫だろ? ……結果何も起こらなかったんだし」


ガンナー「勇者はいてもいなくても同じだしな。むしろ犬死されても困る」


勇者「うおっいつから起きてたんだお前。つーかひでえ……それだと俺がパーティで一番弱いみたいじゃないか」


ガンナー「まあ……えっと」


勇者「なんでちょっと言葉にごすだよ」


ガンナー「だって俺から見たらお前弱いし……」哀れむ目


勇者「反論できない悔しい!」


~???~


アグア「失敗。バレた」


フラマ「お前ら人間一人殺すのに失敗しすぎだろ……つーかアグア、お前なんか甘い匂いしねぇ?」


アグア「」ギク


ドロシー「どうでもいいけど誰を殺そうとしたわけ?」


アグア「ガンナー」


フラマ「そのガンナーってやつ相手だと何故か悉く失敗するな」


風「うるせえぞクズ」


フラマ「何も言ってねえだろボケ」


ドロシー「吟遊詩人とか僧侶は弱いんじゃないの? 次狙うならそっちにすれば?」


フラマ「弱そう」


アグア「……水、魔法使い」


ドロシー「ああ、そういえば結局あいつらとは一騎打ちなわけ?」


フラマ「……ま、はじめは様子見ってことで、こっちは一人ずつでもいいだろ。向こうはどうだか知らねえけどな。なんなら、今から奇襲でもかけるか?」


ドロシー「えー? 今日はもう遅いし別の日でいいんじゃない?」


フラマ「のんきな女だなぁ……」


ドロシー「何言ってんの、夜更かしは美容の大敵よ? ね、アグア」


アグア「フラマ、わかってない」


フラマ「……あーもう、女超めんどくせぇ!」


ドロシー「いいじゃない。魔法使いが水属性で、ガンナーには一応気をつけたほうがいいって分かったんだし」


フラマ「ハッ、後衛にビビッてんじゃねぇよ。接近戦に持ち込みゃ一発だろ」


ドロシー「びびってるとは言ってないでしょ。っていうかあんた、アグアを迎えに行ったのに途中でほったらかしてくるなんて最低ね!」


フラマ「なんだよ。どうでもいいだろ、結局こいつ一人でちゃんと来れたんだからよ!」


ドロシー「なによ! あんたじゃんけんで負けたでしょ、責任持って連れてきなさいよ!」



挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ