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49話

 目が覚めると、光ちゃんはベッドから出ていた。キッチンの方からコーヒーの香りが漂ってきた。


「あ、文香先輩、おはようございます」


 光ちゃんはコーヒーを片手に、私を見つめていた。


「……おはよう……」


 起き上がると、掛け布団が身体から滑り落ちる。

 ん? 寒い……?


「あっ……」


 そうだった。裸で寝たんだ……!

 私は慌てて、身体を隠した。光ちゃんに視線を向けると、光ちゃんは私に服を差し出した。


「ありがとう……」


 服を受け取り、私は着替えた。

 それから、光ちゃんが作ってくれた朝食を食べた。


「文香先輩、これでお別れです」


 光ちゃんは指輪を薬指から抜くと、私に差し出してくれた。


「指輪は文香先輩が持っててくれませんか?」

「……」


 この指輪を受け取ったら、私達の関係は終わるだろう。

 終わらせたくない……!

 私は目を瞑り、深呼吸をした。


「……光ちゃん、その指輪は受け取れない……光ちゃんが持ってて」

「……分かりました」


 光ちゃんは指輪を引っ込めた後、箪笥の引き出しにしまった。


「光ちゃん……! わ、私……! 光ちゃんとの関係、終わらせないから……!」


 宣言すると、光ちゃんが一瞬固まった。


「えーと……どういうこと?」

「……」


 首を傾げている光ちゃん。

 私は唇を噛み締めて、ギュッと目を瞑る。


「ふぅ……」


 深呼吸をして、覚悟を決めた。


「私が……光ちゃんのこと……好きだからっ……!」


 考えてみれば、人生初の告白だった。

 心臓がバクバクと高鳴り今にも破裂しそうだ。不安で身体がふらついてくる。


「文香先輩……ごめんなさい、私……誰とも付き合うつもりは……」


 断られることは予想していた。けど、ぐさりと胸が痛んだ。目からは涙が溢れ出しそうだった。


「……分かってる……だから」


 昨日撮った写真を光ちゃんに見せる。私達が裸で寝ている写真。


「なるほど……写真を広められたく無かったら私と付き合え……ということですね」

「……うん」

「けど、文香先輩の裸も広まりますよ?」

「そ、それは……」


 ネットにアップすれば私の裸も、見られてしまう。それを想像すると、恥ずかしい。けど、


「か、覚悟の上……!」


 声を震わせて答える。

 光ちゃんは目を瞑った後、少しの間沈黙していた。


「……仕方が無いですね、文香先輩と付き合いましょう」

「っ……」


 気がつくと、私の目から涙が出ていた。


「それにしても、散々酷いことされて、好きになるなんて、文香先輩変わってますね」

「っ……」

「まあ、変わっているのは私もですか……で、文香先輩は私のどこか好きなんですか?」

「え、えーと……」


 光ちゃんは私を覗き込んでくる。

 目が合うと、顔が熱くなった。


「か、可愛いところ……」

「可愛いですか……まあ、知ってますけど。他には?」

「ほ、他には……」


 すぐには出てこない。いっぱいあるはずなのに……!


「まあ、それは次回の宿題にしておきますね」


 光ちゃんは私の頭を撫でた。


「問題は蒼先輩との関係です。文香先輩と付き合うとなれば、蒼先輩と別れないといけません。当然、蒼先輩は悲しみますし、私と文香先輩が付き合うことを知れば友情関係に亀裂が入ることは間違い無いでしょう」

「……だよね」


 光ちゃんと付き合いたいし、蒼ちゃんとの友情関係も壊したく無い。


「……光ちゃんが蒼ちゃんと別れなければ良い」

「………………えーと、文香先輩。それは浮気しろってことですか?」

「うん、だって今までもしてたし……」

「確かに……」


 蒼ちゃんは光ちゃんと別れずに済むし、私達の関係も蒼ちゃんに秘密にすれば、問題なし。


「でも、文香先輩はそれで良いんですか? 蒼先輩を裏切ることになりますよ?」

「……うん。バレたとしても、その時は……光ちゃんと一緒に蒼ちゃんの怒りを受け止めるよ」

「さらりと私を巻き込みましたね……」

「うん、死ぬ時は一緒」

「愛が重いです」


 愛が重い、か……確かにそうかも。


「光ちゃん……」

「はい」

「その……よろしく」


 私は光ちゃんに手を差し出した。光ちゃんは私の手を握る。そして、私を抱き寄せると、キスをしてきた。


「よろしくお願いします。文香先輩」


 柔らかな唇の感触と、色っぽい光ちゃんの表情に私の顔は熱くなっていた。

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