43話
目が覚めると、光ちゃんはまだ寝ていた。
とんでもない夢を見てしまった……!
光ちゃんに抱かれる自分を思い出して、顔が熱くなる。私はベッドから出て、朝食を作る。
目玉焼きとウインナーを焼いて、トーストを用意する。
「ん……」
光ちゃんが目を覚ました。
目元を擦り、身体をゆっくりと伸ばしていた。
「光ちゃん、おはよう」
「……文香先輩?」
まだ、寝ぼけている様だ。私を見ながら首を傾げている。
「……あ、結婚したから……」
「っ……し、してない……! 泊まっただけ……!」
「通い妻……」
光ちゃんはそう言うと、目を閉じて頭を揺らしていた。
私は朝食の用意を済ませて、テーブルに料理を並べる。
「光ちゃん、起きて」
座ったまま寝ている光ちゃんに声を掛ける。
「ん? 文香先輩……」
光ちゃんは目を開けると、私を抱きしめた。そして、私の匂いを嗅いでいた。
「文香先輩からコーヒーの匂いがします……いつから、文香先輩はコーヒーに?」
「……コーヒーの匂いはコーヒーを淹れたから。後、朝食出来たから起きて」
私がコーヒーて、どういうこと?
「朝食……」
光ちゃんはテーブルの上にある朝食を見て、目を輝かせた。
「美味しそうですね……」
光ちゃんはトーストを一口食べる。
「最高です。文香先輩ならいつでもお嫁さんにいけますよ」
「ありがとう……」
そう言われると、作った甲斐がある。少しずつ料理覚えようかな。
「私のお嫁さんになりませんか?」
「……遠慮しとく」
「そうですか」
仮になれても、蒼ちゃんとの決闘になるだろう。そうなったら命は無い。そもそも、光ちゃんのお嫁さんになるつもりもない。
朝食を食べ終えて、私は学校に行く準備を始める。
「あれ? 準備には早くないですか?」
「いつも蒼ちゃんの家に寄ってから、登校するから……」
「なるほど……あ、せっかくなので一緒に行きます」
「……分かった」
準備を終えて、玄関で靴を履いていると、
「文香先輩、行ってきますのキスをしましょう」
「……しない」
「本当はしたい癖に、素直じゃ無いですね」
「したく……っ」
油断していると、光ちゃんにキスされてしまった。
唇が離れ、私が光ちゃんの唇を見つめていると、
「もう一回します?」
「し、しないっ……!」
「残念です……後、名残惜しいですけど指輪は外しましょう」
「……あ、うん」
指輪つけてたの忘れていた。
指輪を鞄にしまった。それから、光ちゃんの家を出て蒼ちゃんのうちに向かう。
「おはよう、文香ちゃん……あら、そちらは?」
蒼ちゃんのお母さんが出迎えてくれたが、光ちゃんを見て首を傾げている。
なんて紹介しよう……普通に恋人と言って良いのか……?
悩んでいると、光ちゃんが口を開いた。
「あ、初めまして。蒼先輩とお付き合いをさせていただいてます、七瀬光といいます」
「蒼とお付き合い……」
蒼ちゃんのお母さんが衝撃発言の為、固まってしまった。
「……良かったわ。蒼たら、オシャレとか全然しないから恋愛ごととか興味ないと思ってたけど……そう、光ちゃんといったかしら」
「はい」
「蒼のことよろしくね」
「もちろんです」
蒼ちゃんのお母さんと光ちゃんが握手を交わした。
母親公認のカップルになってしまった。
「蒼ちゃんはまだ寝てますか?」
「そうなの。今日も寝坊してて」
「じゃあ、起こしてきますね」
「ええ、お願いするわ」
「あ、文香先輩。私も一緒に行きます」
私達は蒼ちゃんの部屋に着くと、扉を開けた。
蒼ちゃんはぐっすりと寝ていた。涎を垂らして非常にだらしない姿である。
声を掛けようとしたけど、光ちゃんに止められた。
「ふふ、ドッキリを仕掛けましょう」
悪い事を企んでいる顔だ。
光ちゃんは鞄を置く。ブレザーを脱ぎ、リボンも取ると、シャツのボタンを上から二つ開けた。
そして、蒼ちゃんのベッドへ潜り込んだ。
「……」
光ちゃんはスマホの自撮りで写真を撮る。
側から見たら、朝チュンだろう。
「文香先輩」
小声で呼ばれたので、近寄る。
「蒼先輩を起こしてください」
「……分かった」
蒼ちゃんには悪いが、私は光ちゃんには逆らえない。断じて面白い……とかは思っていない。
「蒼ちゃん、起きて……」
私は蒼ちゃんの肩を揺する。
「ん……」
蒼ちゃんは中々起きない。
私は蒼ちゃんの頬をペチペチと叩いた。
「……ん、文香?」
「おはよう、蒼ちゃん」
蒼ちゃんは起き上がると、身体を伸ばした。
「おはよう……」
欠伸をして、目元を擦る。
「蒼ちゃん……昨日は、ずいぶんとお楽しみのようで」
「……うん?」
首を傾げている蒼ちゃん。私はベッドで寝ている光ちゃんを指差した。
「………………え?」
眠気が吹っ飛び、固まる蒼ちゃん。
「ひ、光がど、どうして……? なあ、どうしてだ文香?」
「……こっちが知りたい」
「っ……まさか、一線を超えちまったのか……! けど記憶が……!」
蒼ちゃんは頭を押さえて、のたうち回った。




