41話
学校が終わり、私と蒼ちゃんと光ちゃんの三人でファミレスに来た。
「文香先輩、災難でしたね。怪我とかはしてないですか?」
「……うん、蒼ちゃんが助けてくれたから」
蒼ちゃんがいなかったから、あの三人に嫌がらせされ私は身も心もズタズタになっていた。
「また絡まれたらいつでも呼べよ。その時は、殴り飛ばしてやる」
「うん……でも手加減はして」
まあ、死の恐怖を感じたあの三人に呼び出されることは無いだろう。他は分からないけど。
「光ちゃんは大丈夫?」
もしかしたら、光ちゃんも私と同じ目に遭うことも。
「私の方は大丈夫ですよ。むしろ、蒼ちゃんが恋人なんて良いなてクラスメートから言われました」
「……」
光ちゃんの方は平和で良い。
私だけ絡まれるのは見た目が弱そうだから?
「光も文香も何かあったら私が助けるからな!」
「蒼先輩、カッコいいです」
「そ、そうか……」
「はい! 思わずキスしたくなります!」
「キ、キス……それは二人きりの時に……」
「分かりました!」
蒼ちゃんは頬をかきながら、光ちゃんから目を逸らした。仲良さそうで何よりだ。
私はストローでオレンジジュースを吸っていると、光ちゃんが口を開いた。
「そう言えば、友達から聞いたんですけど……近所で不審者が出たみたいで、うちの高校の女子をじっと見てくるみたいです」
「……変態野郎てわけか……」
「いえ、野郎ではなくて、不審者も女の子みたいです若い女の子で髪がボサボサして長くて、不気味て言ってました」
不気味な女の子……お化けとかじゃないよね……。
「女か……まあ、女だろうが不審者は不審者だな。しばらくは三人で帰ろうぜ」
「良いですね。蒼先輩が一緒なら安心です」
「おう、任せとけ」
こうして、私達は三人で帰る事にした。
数日後、私は一人で帰る事になった。
蒼ちゃんは抜き打ちテストで赤点を取り補習。光ちゃんは友達と出掛けるということで、私一人。
「まあ、仕方ないか……」
都合の悪い日もある。
それに不審者がいても、私みたいなチビで地味な子は狙わないだろう。
と、帰路についていると、視線を感じた。
「……」
まさかね……うん、光ちゃんから不審者の話を聞いたから敏感になっているだけだ。
試しに振り返ってみると、電柱の影に女が立っていた。黒くて長いボサボサとした髪。髪のせいで顔はよく見えないが視線を感じる。
「っ……」
身の危険を感じた私は走って逃げ出した。
幸いにも彼女は追いかけてこなかった。
それでも、恐怖に駆られて走っていると見慣れた背中を見つけ、思わず抱きついた。
「っ……文香先輩? どうしたんですか?」
私が抱きついたのは光ちゃんだった。
「七瀬さん、知り合い?」
「え、えーと……」
しまった。突然抱きついたから光ちゃんに迷惑をかけてしまった。慌てて離れようとするけど、光ちゃんが私の背中に手を回した。
「ごめん、私少し用事出来たから」
「あ、うん。わかった……」
「七瀬さん、バイバイ」
光ちゃんの友達が私達のことを疑問に思いながらも去っていく。
「文香先輩、取り敢えず私の家来ますか?」
「……うん」
家に行く間も光ちゃんは私の手を繋いでくれた。
光ちゃんの家に着くと、私達はベッドに座った。
「……ごめん」
光ちゃんに迷惑を掛けてしまった。それに、恥ずかしいところも見せた。
「気にしないでください……それより、何があったんですか?」
私は少し間を空けた後、小さな声で答えた。
「……不審者にあった」
「っ……大丈ですか? 怪我とかは……」
「……うん、大丈夫……」
不審者の視線を思い出して、身体が震えてくる。
光ちゃんは私を抱きしめる。
「ほら、ここには不審者はいませんよ」
「うん……」
光ちゃんに身体を預ける。良い匂いがする。
「文香先輩、今日は泊まっていってください」
「え……でも」
「でも、じゃありません。そんな震えた身体で帰れるんですか?」
ふと、自分の手をみると、震えていた。これだと、まともに歩くこともできない。
「でも……光ちゃんにエッチなことされるかも……」
「ふふ、確かにそれはありますね……むしろ、エッチなことをした方が、嫌な事を忘れられて良いかもですよ……試してみます?」
「……」
不審者よりも光ちゃんの方が危険に思えてきた。
「冗談です。今日はエッチなことはしません。バグはしますけど」
「ハグはエッチに入らない?」
「入りませんよ。入ったら、友達同士でハグしている全員がエッチになりますよ」
「……そうだね」
私達は顔を見合わせて笑った。
光ちゃんと話したら、少し気が楽になってきた。
「光ちゃん……今日は泊めて」
「……良いですよ。エッチなことはしますか?」
「それは無しで」
「つれないですね」




