表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/50

30話

 ある日の放課後。

 私、蒼ちゃん、光ちゃんの三人でファミレスに来ていた。


「もうすぐ文化祭ですね、蒼先輩と文香先輩のクラスは何をやるんですか?」

「……私達のクラスは展示会だ」

「そうなんですね。どんな物を展示するんですか?」

「一人一人、テーマ決めて……それのアート作品を作ってこいて……」

「なるほど……」


 蒼ちゃんの元気がないのも、無理がないことだ。

 クラスの出し物が決まらずに、案だけが出てくる状態であった。そこで学級委員長が、クジを作り、結果展示会になった。


「はぁ……」


 おかけで、蒼ちゃんのテンションは低空飛行のままだ。私として、変な出し物に決まらずに安心だけど。


「……光ちゃんのクラスは何やるの?」

「うちのクラスは、映画制作です。私、ヒロイン役ですよ」

「なっ……光がヒロインだと……! も、もしかして、キスシーンはあるのかっ……?」


 動揺した蒼ちゃんが光ちゃんに顔を近づけた。光ちゃんは頬を赤らめながら、答える。


「キスはなくて、ハグとかはありますけど……相手も男装した女子なので……後、蒼先輩……顔近いです」

「あっ……悪い……」


 顔を赤くした蒼ちゃんは慌てて光ちゃんから離れた。光ちゃんから目を逸らして、ぽりぽりと頬をかく。


「脚本とかも、一から内容を作るみたいで……内容は観てからのお楽しみです」

「た、楽しみだな……絶対に行く……」

「ええ、蒼先輩も文香先輩も絶対に見に来てください」


 光ちゃんがヒロインの映画。光ちゃん、演技とか得意だから名演技になりそうだ。特に悪女としては。


「の、飲み物取ってくる……!」


 蒼ちゃんは席を立ち、ドリンクバーへと向かっていった。


「はぁ……文化祭、めんどうですね」


 さっきまでのキラキラで可愛らしい雰囲気とは一転、光ちゃんはため息を吐いてそう言った。

 やっぱり、名演技だ。


「……光ちゃんは文化祭嫌い?」

「……嫌いですね。行事自体そもそも好きじゃないです。文香先輩はどうですか?」

「私も文化祭とかは、好きじゃない……」

「そうですよね。見るからに陰キャの文香先輩にとっては、行事なんて拷問ですよね」

「……陰キャだけど……」


 腹が立ったので、光ちゃんから目を逸らした。


「もう、拗ねないでくださいよ」

「……」

「……そんな拗ねた可愛い顔してるとキスしたくなります」

「今機嫌直った。うん、超ご機嫌」


 こんな人目の多いところでキスされたら、溜まった物じゃない。


「残念です」


 光ちゃんは肩を落とすと、アイスコーヒーを一口飲む。


「そう言えば、アート作品ですか、文香先輩は何を作りますか?」

「……まだ、決めてない」


 学級委員長曰く、テーマは各自自由に決めて良い、て言ってたけど……そもそも、アートが何か分からない。なので、目の前の光ちゃんに訊いてみた。


「アート、て何……?」

「アートですか……分かりません。取り敢えず、それっぽい物作れば良いと思いますよ。文化祭なんて楽しければ良いみたいな空気じゃないですか」

「……適当」

「適当な私が好きって言ったのは文香先輩ですよ?」


 そんなこと言ったけ……?

 記憶を掘り返してみるが、言った記憶はない。


「……そんなこと言ってない」

「そうですね、私の捏造でした」

「……」


 油断するとすぐに揶揄ってくる。


「アート作品……では、写真集とかどうですか? ふとした日常の風景、甘いスイーツ」


 光ちゃんはスマホを操作すると、私に写真を見せてきた。


「そして、イケナイメイドとか」

「っ……」


 写真は私がメイド服を着た物だ。

 スマホに手を伸ばすけど、光ちゃんに簡単に避けられてしまった。


「……絶対に却下」

「ふふ、残念です」


 と、蒼ちゃんが戻ってきた。


「蒼先輩は、アート作品何作るか決めましたか?」

「私は……まだだ。そもそも、美術自体苦手だからな……」

「蒼ちゃんの美術レベルは幼稚園児レベル」

「なっ……そこまで酷くは……」

「ないと言い切れる?」

「……」


 蒼ちゃんは目を逸らした。どうやら、言い切れなかったようだ。

 もし、ステータスが表示できるなら、蒼ちゃんは運動神経に全振りだろう。


「蒼先輩、美術苦手なんですね。今度、作品見てみたいです」

「……いや、それは……」


 光ちゃんのお願いに蒼ちゃんは言い淀んだ。恋人からのお願いは断り難いようだ。


「い、いつか……見せる」

「いつか、ですか……」


 しゅんと肩を落とす光ちゃん。そんな落ち込んだ光ちゃんに私はアドバイスした。


「光ちゃん、文化祭の展示会で見れる」

「あ、そうですね。アート作品の展示ですもんね」


 ぱぁと花を咲かせる光ちゃんと、顔を青くする蒼ちゃん。


「蒼ちゃん、作品作り頑張ろう」

「蒼先輩、応援してます」

「お、おう……頑張る……て、文香も作るんだぞ」

「……うん、私も頑張る」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ