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28話

 目が覚めると、十五時になっていた。


「ん……」


 まさか寝てしまうとは。

 光ちゃんのホールドも解けて、起き上がる。


「ん……」


 私が起きたことに気づいたのか、光ちゃんが目を覚ました。


「おはようございます……同衾しちゃいましたね」

「ど、同衾……してない」

「あれ? 覚えてないですか……あ、文香先輩が寝てた時……きゃっ」

「……」


 寝てた時、何されたんだ……!


「ふふ、何もしてないですよ。むしろ、文香先輩が私に何かしたんじゃないですか?」

「……してない」

「そうですか……しても良かったんですよ」


 光ちゃんは私の頬を指で突いた。


「シャワー浴びてきますね」


 光ちゃんは部屋を出て行った。

 何もされてないよな……?

 不安になった私は自分の身体を確認するのである。

 うん、大丈夫そうだ。


「……」


 それにしても、写真といい、光ちゃんには弱みをたくさん握られてしまった。

 私も、光ちゃんの弱みを握りたい。

 ベッドの下を覗き込む。


「……何も無い」


 本棚は……ここもないか。あ、表紙だけ変えてたりして……!

 宝探しみたいで楽しくなってきた。

 本を一冊手に取ると、何か落ちてきた。


「写真……?」


 光ちゃんとボーイッシュな女の子が仲良さげに写っている。この制服、見たことない……。

 写真を眺めていると、肩に手を置かれた。


「ご主人様が、不在中に漁るなんてイケナイメイドですね」

「ひ、光ちゃん……」


 振り返ると、身体にタオルを巻いた光ちゃんが立っていた。

 思わず顔が熱くなっていると、光ちゃんは写真を奪い取った。

 少しの間、写真を眺めた後、ビリビリと破り捨てる。


「ゴミですね……さて、イケナイメイドにはお仕置きをしないと」

「っ……」


 光ちゃんが唇ペロリと舐めた。

 蛇に睨まれたカエル。今の状況を説明するのに最適な言葉。


「ま、待って……謝るから」


 私の静止を聞かずに、光ちゃんは私のスカートに手を入れた。


「実は文香先輩に下着を着て貰ったのには、もう一つ理由があります」

「……り、理由って……」

「……下着を着せたい、つまり脱がせたいて事です」

「っ……」

「文香先輩も子供じゃないから知ってますよね。恋人の家に行く、両親は居なくて、家には恋人と二人きり」

「……」

「だとしたら、やる事は一つじゃないですか?」


 光ちゃんの指が私の下着に掛かる。脱がされる……!

 恐怖と羞恥心が混ざり、私は目を閉じた。


「ふふ、すいません。少し意地悪しちゃいました」

「……」

「文香先輩?」

「……ごめん、腰抜けた……」


 それから、私はしばらく立ち上がることができなかった。


***


 回復した私は服を着替えて、光ちゃんの家を出た。

 帰り際、


「メイドやりたくなったらいつでも来て良いですよ」


 と、光ちゃんに言われたが、やることはない……!


「はぁ……」


 私の手には紙袋があった。中身はメイド服。光ちゃんにプレゼントされたけど、着る機会はないし、人から貰った物を捨てる訳にもいかない。

 押し入れの奥に隠しておこう。蒼ちゃんや両親にバレたら、色々と面倒。


「文香!」

「あ、蒼ちゃん……」


 まさか、ばったり会うなんて……。


「偶然だな! 今日は買い物にでも行ってきたのか?」

「あ……うん。蒼ちゃんはランニング」

「ああ」


 メイド服が入った紙袋はどこかのブランドのショッパー。蒼ちゃんはそれで勘違いしたのだろう。

 まあ、光ちゃんの家でメイドやってました! とは言えないし……。


「ふーん、何買ったんだ?」

「え……ひ、秘密……」

「ほう、気になるなぁ」


 蒼ちゃんの笑みを見て、嫌な予感がした私は紙袋を抱きしめた。けど、抵抗虚しく蒼ちゃんは私から紙袋を奪い取る。


「ま、待って……」

「何を買って……」


 蒼ちゃんは紙袋の中身を途中まで出して、固まった。そして、そっと中身を戻す。


「……なあ、文香……私は似合うと思うぞ」

「っ……」


 光ちゃんにメイド服を着せられ、写真は撮られ、エッチなこともされそうになる。挙げ句の果てには、蒼ちゃんにメイド服を見られて、変な誤解をされてしまった。

 どうして……! 一体、私が何をしたの……!

 この場で、神様への不満を叫びたかった。けど、グッと堪える。


「っ……」


 そもそも、光ちゃんに蒼ちゃんへの発破をかけて貰ったお礼としてメイドをしたのだ。つまり、元凶は目の前にいる。


「蒼ちゃん」

「大丈夫だ。私は偏見ないし……それに、私自身もあんま、女っ気ないしな!」

「テストの約束、覚えてる?」

「約束……ああ、文香にお礼することか」

「良かった……私ね、蒼ちゃんにお願いしたい事がある」

「おっ、そうか……文香のお願いなら喜んで聞くぞ!」


 蒼ちゃんは胸を叩いて、宣言した。


「私ね、蒼ちゃんにメイド服を着てもらいたい……」

「……え?」

「だから、今から蒼ちゃんのメイド服、買いに行こ……」

「ふ、文香……」

「蒼ちゃん、大丈夫……死なないから」


 それから、私達はメイド服を買い、蒼ちゃんにメイド服を着てもらい撮影会を始めた。


「蒼ちゃん、似合ってる……」

「うっ……」


 恥ずかしそうにスカートの裾を押さえる蒼ちゃん。

 グッとくるものがあった。もしかしたら、光ちゃんも同じ気持ちだったかも。

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