031-農地改革とヌエ
遠征の任務で農地の改革と
ヌエ討伐での未来の勇者との出会い
森を切り開いて農地を広げるお仕事。
要は土木作業である。
先立って森の魔獣を退治して木を切り倒して柵を作り土を掘り返して農地に仕立て上げる。
トレントやらイノシシ型やら鹿型など比較的難易度が低くて多少の戦闘力のある農夫なら対応できそうな魔獣しかいないことを確認済み。
この世界では農夫や商人でも多少の剣や魔術は使えることが多いのだ。
ウォーハンマー大隊でも今回、村に立ち寄った時、村人に剣を指南するのも任務に含まれている。
土を魔術部隊が魔術で掘り返していると
突然でっかいミミズの魔獣が土の中から湧いてきた。
ウネウネしたのが数十匹。太さは50cmぐらいか。キモ!
ミミズは土を豊かにしてくれる存在であるが巨大ミミズは別だ。コイツラは厄介な存在を引き寄せる。
「大ミミズだ!やばいこいつらが居るってことはヤツらが来るぞ!」
やっぱり出た。
巨大ミミズを追いかけるようにして巨大なモグラが出てきた。
「巨大モグラだ!大ミミズを追いかけてきたんだ!」
騎士団にはミミズへの対応を指示。
決して気持ち悪いからやるのが嫌だったからではない。
私は巨大モグラを担当。
鬼包丁を突き立てると地面の中に逃げようとした。
そうはいくか!っと足を引っ掴んで引っ張りぶん投げる。
頭から叩き落とし脳震盪を起きさせ動かなくなったところを重力魔術で地面に固定して鬼包丁で喉元を切り開いてトドメを刺した。
ミミズは魔術部隊が火あぶりにして黒焦げにしていた。
ミミズとモグラは細かく解体して農地の土にすき込んだ。
うん良い農地になるだろう。
また土木作業である。
河川横の堤防の補修工事。
騎士団だけでなく一般労働者や農夫も繰り出しての工事である。
最もメインは土魔術師である。
魔石を使って大規模魔術を展開して堤防を構築していく。
工事の途中ででっかいカエルの魔獣、
でっかいザリガニ、
足の生えたナマズ、
ワニ
オケラなどが出てきたので討伐した。
忙しい。
中継地点の村に滞在している。
この村はカスミの出身地らしくてカスミの両親と妹が挨拶に来た。
えらく割腹の良い体格のおばさんだった。
大根やらキャベツやらジャガイモやら色々置いていって娘をどうぞよろしくお願いしますと何度も頭を下げられた。
カスミはウォーハンマー大隊にいるカスミの彼氏らしき男を両親に紹介していた。
まだ私についていきたいから結婚は未だ当分先だととか説明してるな、いや遠慮しなくて良いんだよ。
私の歌と踊りを観たいというリクエストの圧が強くなっていたのでしょうがない大宴会を開く。
スカートは短いが中身は見えない長さで、しかも念の為にアンダースコートは履いておく。
へそ出しノースリーブの服でヒラヒラ多め。
前座でスイレンとカスミが踊ったがボディービルを見に来たんじゃねー!と野次が飛んでる。
カスミとスイレンは怒って客席に飛び込んだ。
私が舞台に出て歌って踊ると皆ノリノリで騒ぎ立てる。
結局5曲ぐらい歌ってしまった。
泣いてる隊員もいる。そんな感激するもんか?
後は皆勝手に飲み食いを始めて大宴会になった。
まぁこうやって村にお金を落とすのも任務の一環のようなもんだ。
自分たちは次の駐屯地へ向かう。
次の駐屯地は新しい村だった。
前の村が手ぜまになったので新しい村を開拓して農地を拡大するのが任務だ。
到着して村長と会う。
土地が良くないらしくて作物が育たなくて困ってるのでなんとかならないかという相談だった。
土地をみてみる。
といっても私も農業の専門家じゃないから私が見てもなんとかなるかどうか。
一応土を見てみる。
赤褐色で粘土質だ。
ちょっと腐ったような匂いがわずかにする。
酢を土に垂らして見る。反応無し。
重曹を土に混ぜてみる。かすかに泡立った。
ってことはここの土は酸性なんだな。
道理でほとんどの作物は育たないはずだ。
ブラジルのセラードみたいなものだな。
「セラードなら大豆だろう!」
ってことで大豆の生産を提案する。
大豆なら味噌と醤油の為に私の会社で大量に買うし、
大豆を収穫したあとの残りの部分を焼いた灰を土にすき込めば土の改良になるはずだ。
確かトウモロコシもいけるはず。
早速大豆とトウモロコシの苗を手配する。
モロモロを村の農夫に説明する。
えらく感謝されたが未だ結果は出ていないので速いですよっと。
大豆が大量に収穫出来ればうちで買い付けよう。
近所で魔獣を狩ってその死体を焼いて灰にして土にすきこむ。
水はけをよくするために溝を掘る。
大豆の種まきは夏なのでもう遅い、よってすでに芽がでた苗を買い付けて植える。
防虫ネットを手配して張り巡らせる。
同じくトウモロコシもすでに発芽した苗を入手して植える。
これらは結構なお値段がした。
村への貸付という形で融資だ。
利子はとらないことにした。
その代わり収穫物は優先的に私のところで買い付けるという契約に。
ついでに味噌と醤油の工場、トウモロコシを使った酒造所の建設の指導をする。
私の会社の工場を建設する形だ。
初回は他から買い付けた大豆とトウモロコシを使って生産する。
次年度からこの村で収穫した材料を使って生産してもらう。
収穫が期待通りでなくても味噌、醤油、お酒の工場としてやっていけるように、だ。
魔獣退治に森に入った冒険者が長く帰ってこないというので調査に行くことになった。
本来冒険者の救助等は同じ冒険者の仕事で騎士団が出張ることはまず無いのだが
討伐予定の魔獣が問題なので対応することに。
正体はわからないのだが人語を話す知恵のあるタイプで村に生贄を要求してきているのだとか。
最後に冒険者を観たという地点まで行く。
アスラレーダで確認するが反応は無し。
しばらく調査をしたが成果も無いので一旦村に戻る。
すると一軒の家に白い矢が突き刺さっていた。
この白い矢が突き刺さった家が娘の生贄を要求されるらしい。
生贄を差し出さないと魔獣の群れが村を襲うのだとか。
前回は生贄を奪いに来た魔獣を冒険者が反撃して魔獣を追いかけそれで帰ってきていないという流れらしい。
そこで今度は私が生贄の娘に化けて代わりに攫われるという作戦を立てた。
顔と装備を隠すために大きな着物を羽織ることに。
鬼包丁はでかくて誤魔化せないので置いていく。
村の外れの森の近くに酒や食べ物と一緒に置かれる。
しばらくまつと霧が出てきた。濃い。
大きな人影が出てきた。
あまり流暢ではない人間語で
「今度はちゃんと生贄を用意したか」
と野太い声で呻き、私を小脇に抱え酒と食い物を両手で掴み森の方にかけて行った。
数十分ほど走っただろうか滝の音が聞こえる。
なんとその滝の裏側に入っていった。
裏側が洞窟になっていた。
その上地下の方へ続いている。
部屋の中に降ろされようやく魔獣の姿を観た。
大きな白い猿だった。
いや、手足は虎だな。尻尾はヘビだ。
ヌエか。
持って帰った食い物を食い出して酒を飲みだした。
「逃げるなよお前は後で食う。」
とたどたどしい人間語で言った。
ここで暴れても良いんだが
冒険者達はどうなったんだろう。
それを確かめる方法はないだろうか。
もう既に食われたか?
いや冒険者達はAランクだそうだ。
人数次第だがヌエに負けることは無いはずだろ。
闇の精霊を洞窟内に解き放し内部を調べさせる。
もう一体闇の精霊の分体を生成して洞窟を脱出させて村にいるカスミ達に連絡の為に飛ばす。
洞窟内に他に人はいないようだ。
人が食われた跡があったが古い。
冒険者達ではないだろう。
だがこのヌエ、自分の知識のヌエよりは若干知恵があるようだ。特殊個体か?
怖がった声をして何故生贄を望むのですか。
と問うて見る。
「人を喰うて賢くなるのだ」
と返してきた。
そんなことが可能なのか?
やっぱり特殊個体か。
さて暴れようかと思ったとき、
滝から人が飛び込んできた。
軽鎧に身を包んで剣と盾を持った男だった。
そしてさらに槍を持った男と魔法使いっぽい女、僧侶っぽい女、弓使いっぽい女の5人。
剣を持った男は叫んだ。
「やっと見つけたぞ!ヌエ!生贄を取るとは縁時千万!お嬢さん!大丈夫ですか。私達Aランク冒険者『暁の剣』が助けに来ました!」
行方不明になっていた冒険者パーティーじゃないか。
ぽかーんとしてると冒険者とヌエの戦いが始まった。
僧侶が身体強化魔術を唱え剣の冒険者が斬りかかる。
補助の魔術攻撃と弓が飛び、槍の男が後ろからチクチクと刺す。
連携は上手いな。
剣の男、剣の腕は銅級ぐらいか、でもそれ以上に強い。なんか加護でもかかってるか?
ボーと見てたらヌエは倒された。
剣の男は大丈夫ですかと言いながら私に近寄ってくる。
そしておもむろに私を。。。お姫様抱っこした。
男はニコっと笑う。キラっと歯が光った。
「はぁありがとうございます。大丈夫です。」
「行方不明になっていた冒険者パーティーですよね。今までどうしていたんですか」
と問う。
ヌエを追いかけたが霧と大量の魔獣によって迷ってしまいさまよってしまいましたっと、
そこでヌエがここに入っていくのを見て突入して来たと。
冒険者達はヌエと犠牲者の遺体を焼き終えると村の方へ進んでいった。
私をお姫様抱っこしたまま。
うーんどうしよっかな。
名乗るタイミングを見失った。
抱っこはもう良いです歩けますから、とか実は私は。。。と名乗ろうとするとその都度、
もう大丈夫ですよ、怖かったでしょう。
私はけっこう強いんで大丈夫ですよ。
もう安心してくださいと一方的にしゃべりまくってこっちの話をちっとも聞かねーー!
「申し遅れました。私Aランク冒険者のダグラス・フォッカーと申します。可憐なお嬢さん」
「あ、その?ユリナと言います。」
「とても美しいまさに花のような名だ。」
美しいだの可愛いだの綺麗な髪だ瞳だの
散々褒めちぎって来る。
悪い気はしないが背筋がゾクゾク来る。
ああ第二王子に言い寄られてた時に似たような感じがするな。
嫌な感じはしないがむしろちょっと心地よいが。
だがいい加減下ろして欲しい。
抱っこされたまま村についてしまった。
スイレンとカスミと数名の部下が気がついて走って近寄ってくる。
何してんですかユリナ大隊長!
とスイレンに怪訝な顔で言われる。
ここで身体をひねってジャンプしてダグラスの手から逃れてやっと地に足をつける。
スイレンが持っていた鬼包丁を受け取る。
皆が敬礼して
「大隊長おかえりなさい!」
と大きな声を出す。
冒険者達はえ?という顔で立ち尽くす。
「冒険者の方々、ヌエの討伐見事でした。
私は王国騎士団ウォーハンマー大隊隊長、王国戦姫、ユリナ・ノゥラ・セレヴィード子爵。お見知り置きを」
冒険者は数秒ほど何が起こった?って顔していたが直ぐに貴族向けの右手を左胸に当ててお辞儀をした。
カスミになんでお姫様抱っこされてたんですか!
とか聞かれたが、まぁ流れで、言い出せなくてゴニョゴニョと言い訳。
ダグラスには自分が生贄の代わりになっていたことなどを説明する。
。。。うん?ダグラス・フォッカー?
思い出した。
ベイル様が戯れで寝屋を共にしたという冒険者の男だ。
あの加護はベイル様の加護か。
流石は戦神の加護。強いハズだ。
戦神ング・ベイ(ベイル)様が戯れで抱いた男。ダグラス・フォッカー。
ああこりゃ近いうちに英勇とか勇者になるな。
冒険者内の女性陣にもモテモテなようだ。
唯一のダグラス以外の男の槍の人は完全に空気になってる。
カスミとスイレンもアレ、いい男だねーとか言ってるし
ワルキューレの女の子達も興味津々だし村の女性達もおばちゃんも幼女も含めて赤い顔してるし。
槍の男に聞いたらダグラスはニューヤード(王国内にある歓楽街の名前)の種馬ってあだ名があるらしい。
とんでもねーヤツだった。
冒険者内の僧侶の女の子はリィナ・フォッカー。
ダグラスの妹で一応は槍の男ランスロットの恋人らしいが完全にお兄様!とブラコンらしい。
楽しそうなパーティ。。。ってことにしておこう。
で冒険者達は冒険者ギルドから報酬は出るが
ウォーハンマー大隊からも報酬は出すことにした。
村での宴が開かれ大いに飲み食いをした。
後で報告書書かないといけないのが頭が痛いが。
余興でダグラスと勝負してみることになった。
ダグラスの剣の技術は銅級のレベルなんだが
何故か強さは金級に迫るものがあった。
間合いの取り方、タイミング、虚と実の取り方が絶妙なのだ。
加護だけじゃないな。
それを実現させているのは加護の力だが経験に裏打ちされた力だ。
カスミ、スイレンも私側に混じって、冒険者全員との3対5の団体戦となった。
ダグラスの指揮が上手い。
カスミ、スイレンと分断され私一人になったところに総力戦をかけられた。
火の虎を生成して後衛を無力化してランスロットを重力で地面に縫い付けて
ダグラスを釣り上げて空に運び高所から落として勝負をつけた。
当然死人は無し。
治療魔術で全員治療して終わり。
大歓声。
ちょっと、いやなかなかに楽しかった。
カスミとスイレンは反省の腕立て伏せしてる。
冒険者の魔術師の女の子が料理用の魔獣からでた血を操り同じく魔獣の死体を血の槍で貫くという術を見せてくれた。
弓矢使いの女の子が矢を1本打ち上げるとそれが百本の矢になって降り注ぐという術を披露してくれた。
ランスロットが何十メートルも離れた的を槍で一歩も動かず破壊するという術を披露する。
じゃ、ということで私は村の中心にあって邪魔で困っていたというとてつもなくでっかい
地面に埋まっていた大岩を地面から引き抜いて持ち上げ森の方へぶん投げた。
村は大いに盛り上がった。
うん、いい加減に寝ようか。
翌朝、冒険者パーティー暁の剣は王国へ帰っていった。
さて、予定の三か月もたったのでそろそろドさ周りも終えて王都に帰る。
報告書の束とお土産をもって帰路へ。
王城によってもろもろの報告を終えて我が城へ。
久しいな。みんなの歓迎がすごかった。
よし帰還パーティーの開催だ。
サエル様とベイル様も何故かいる。
私の留守中にもちょくちょく来て飯を食ってたらしい。
ベイル様が加護を与えた冒険者ダグラスに会ったことをベイル様に教えた。
あれと子でも作ってみんか?すごい勇者が生まれるはずだぞ?
とか言われたがそれは断固お断りだ。
次回は訓練と偽金事件




