002-首取り姫
怪力のチート能力の発現から
剣に魔術とスパルタの日々。
この世界の概要がわかってくる。
そして王女殿下の誕生日パーティー
私は「首取り姫」の異名をとることになる。
この私の両親は貴族らしい。
貴族の血を受け継いだものは魔術の才能が出やすいのだとか。
中にはかなり特殊な力を持ったものが生まれることがある。
その力がプラス方面に出たものを神子と呼ぶ。
力が異常につよかったり魔力がすごく多かったりなにか特殊な能力を持っているとか。
対して不便なマイナス方面に出たものを呪い子と呼ぶ。
なにもしていないのに他人から嫌われたり、触れるものが片っ端から壊れたり、なにか恐ろしい能力を持っていたりとかで
社会適合に困難を抱えている存在。
つまりは神子と呪い子は表裏一体の存在で“祝福と代償の綾”とも呼ばれる。
どうやら私は異常に丈夫な身体と怪力を持った神子という存在らしい。
何か神官らしい人が来て私を色々調べてそう言った。
そして私、ユリナは――
異様な打たれ強さ、そして木箱事件でバレた怪力を持ちつつ、回復すら高速でこなしてしまう、完全にフィジカル特化型の神子。
ティアネラ:「ああ……やっぱりこの子は“光に選ばれた子”……!」
ガレノス:「ハハハ!やはり我が娘!え?特訓しても……いいのかい?」
剣を教えて剣士にする!と父上が言い出した。
母上は女の子なら魔術使いでしょう!と言う。
夫婦喧嘩だった。あー自分の意思は無しですか。そうですか。
両方学べばいいじゃないですか。
とメイドの一言で夫婦喧嘩は収まり剣は父から魔術は家庭教師を雇って教わることになった。
3歳の子供にきつくありません?
剣術は父ガレノスから
早朝。手製の木剣を腰にさしたまま走り込み。まずは剣を日常的に持つことになれることと基礎体力からだそうだ。
ユリ(3歳)は内心、
「うん……あのさ、これ普通の体力の子だったら泣いてるよ……でもまぁ、身体は頑丈なんでやれるけども……」
魔術は家庭教師から
昼過ぎからは書庫部屋にこもり、
元神殿魔導士の家庭教師がやってきて
「集中して、心の内側にマナの流れを感じてごらんなさい」と真顔で言ってくる。
「え……いや、その“気を感じろ”みたいな系統⁉︎ 魔術ってそういう修行なの?」
そして夜には母に「剣の稽古、女の子なのに大丈夫なの?」と心配されつつ、
「魔術の発動まで行ったの⁉︎すごいわねぇ」とほめられる。
「あのね、もうちょい遊ぶ時間とか欲しいんだけど……あ、でも褒められるとちょっと、嬉しいんだよな……くそぅ。」
剣の修行は楽しかった。
生前は少林寺拳法の有段者だったので身体の動かし方は分かっていた。
まぁ最初は走ったり腕立て伏せとかそんなのばかりでこれ幼児虐待じゃね?とか思ったが
木刀の素振りをするようになってからはなかなか楽しかった。
この世界の剣は、
速さを重視する光剣流、威力を重視する炎剣流、カウンターを重視する水剣流、戦略を重視する天剣流の流派が存在する。
ランクとして、下から初級、中級、上級、銅級、銀級、黄金級、ミスリル級が存在する。
初級、中級、上級をまとめて鉄級とも呼ぶ。
父はすべての流派で銅級の腕前だった。
剣士は闘気をまとい身体強化を行う。
闘気は魔力で己の筋肉を覆って押し固めて身体を強化する術。
自由に闘気をまとうことができれば上級になり、
相手の闘気を切り裂くことができるようになれば銅級となる。
私の身体の頑丈さは闘気の発現方法とは少し違うようだ。
だが結果として闘気と同じような効果を得られているそうだ。
父と木刀の打ち合いをしていた。
木刀が手からこぼれ、足元に転がる。
あ、と思うよりも早く、身体が動いていた。
踏み込みとともに放った回し蹴りが、父ガレノスの脇をかすめ、
続けざまの掌底突きが稽古木刀を握ったままの父の腕を跳ね返す。
「なにっ……⁉︎」
一瞬見せたガレノスの驚愕の目。その隙にユリナは距離をとった。
静かに立ち直し、再び構えを取る。
剣ではなく、“戦うという本能”で身を守ったことを、
父は誰よりも理解していた。
これで父はユリナは威力を重視する炎剣流と使えるものは何でも使い方生き延びる天剣流が向いていると確信する。
魔術の授業。
魔術の先生はちっちゃな女の子だった。
いや成人はしている。
聞くと200歳を超えるとか。。。
エルフ族の血が混じっているので長生きなのだとか。
てかエルフっているのかこの世界に!
魔術の先生:リィ=フェリア・シルヴァレイス
通称:リィ先生|異名:炎と泥の魔女(フレイム=マッド)
年齢:見た目10歳前後/実年齢215歳
種族:ハーフエルフ(母:森のエルフ、父:人間の魔導学士)
属性魔術:全属性適性あり(特化は火・水・土)
研究分野:結界魔術(精神構造型)、錬金術(触媒転写型)
リィ先生はとても好みだった。
なんせこっちは中身おっさんでゲーマーだ。
ファンタジー要素満載でロリ心に火が着いた。
何かと先生にべたべたした。
女の子同士だから問題ない!ハズ!
リィ先生は最初は戸惑っていたが、次第に慣れてくれた。
リィ先生は魔術の授業をとても丁寧に教えてくれた。
攻撃魔術の初級を取得した。
魔術は詠唱呪文を暗記して詠唱する事で発動するものだった。
リィ先生から詠唱短縮をも学ぶ。
指輪などによる魔道具を併用することでものによっては無詠唱も可能。
前世ITエンジニアだったのが生かせたのか
詠唱がプログラムの構築に共通点があることに気が付き工夫をしてみる。
結果、まだ習っていない中級魔術の発動に成功したりオリジナルの複合魔術を成功させる。
魔術は火、水、土、風の四大元素攻撃魔術と
治療魔術と、毒の解除や状態異常の解除に使う解毒魔術、
幽霊系の魔物に攻撃する神聖魔術、
防御などに使う結界魔術、
魔獣などを召喚する召喚魔術、
魔術薬や魔道具の作成などに使う錬金などが存在する。
ランクは剣と同じく初級、中級、上級、銅級、銀級、黄金級、ミスリル級がある。
初級、中級、上級をまとめて鉄級とも呼ぶのも同じだ。
どのランクの魔術が使えるかでその魔術師のランクが決まる。
その人が保有する魔力の量を魔力総量と言う。
これは訓練である程度増やすことはできるが、
基本的には生まれつきの才能に依存する。
魔力を内包した魔石や魔道具で補完する場合もある。
雷魔法、普通は水系統と風系統を組み合わせ銅級並の魔力を使い天候操作を行う事で実現する。
だが私は物理学の知識を使い天候操作までせずに電気を発生させることに成功する。
驚愕するリィ先生。
闘気を貫通して相手を行動不能にできることで剣術との相性も抜群。良い魔術を開発できた。
魔術の他にも文字の読書や書き方、計算の仕方、歴史や地理なども学ぶ。
その中でいろいろわかったこと:
この世界の名前:ノラディア
統べる者なき世界という意味。
この王国がある大陸の名前:エル=フェイン大陸
精霊語で“揺れ動く秩序”という意味。
赤道を挟んで北側の大陸が王国、南側の大陸が共和国
北側は東西に長く。
東にはエルフの国が栄え、西側には獣人族の国が栄える。
北にはかつてドワーフの国があったが今はドワーフは滅亡寸前でいまは寒く険しい山脈が続く。
・カルドの裂谷:古代戦争の魔術が地を引き裂き、今も雷光が舞う。
・テル=ヴァリス山脈:王国と共和国の境界に聳え、ドラゴンの飛翔地と噂される。
・セルミナ平原:平和条約の地、だが風が妙に騒がしいと民は語る…。
・フィレナ森林帯:精霊の声を聞ける者がいれば、真の力に触れられるかもしれぬ。
北側:王国領域(大陸本体)
形状:東西に長く、地形多様。東は海岸と森、西は高地と渓谷。
政治構造:中央に王都アラヴェス、各地方に諸侯が統治。
・東部(ティア=エレン)
エルフの栄華国家
・西部(ベレ=ファング)
獣人族の強国連合
・北端(グラヴァス山系)
ドワーフの旧王国領/廃墟地帯
南側:共和国連邦(大陸分岐部)
政治体制:自由連邦型共和国。思想・技術・交易に優れる。
地形:台地・河川が多く、農耕文明と都市文化が発展。
エル=フェイン大陸の海を隔てた東側には魔族が住むという魔大陸(マ=ザルカ)が存在する。
また、西の海を隔てた向こう側には龍や巨大な怪物が住むとされる未踏の暗黒大陸(ノヴァ=ディレイン)が存在する。
そして私の家は下級貴族で男爵の爵位を持つ
アレクタール王国:私がいる王国の名前。
アラヴェス:アレクタール王国の首都。
エストグレイン領:私の住む領地の名前。
5歳の誕生日。
盛大に祝ってもらえた。
父からは幼女の身体には合わないとてもでかい剣をプレゼントされた。
お前の力なら持てるだろう?いや持てるけど5歳の娘へのプレゼントがこれか?
母からはドレスをプレゼントされた。
まだ女の子であることになれない自分には戸惑うプレゼントだった。
リィ先生からは初心者用の小さい魔法の杖をもらった。
自分の誕生日のあと、同い年の王女殿下誕生パーティーに招待された。
母からのドレスを着てパーティーに参加。
噂になっている自分に王女からの声がかかり部屋に呼ばれる。
「あなたがユリナ?……私、ずっと会ってみたかったの。部屋でお話できるかしら?」
部屋に入りメイドから茶を勧められる。
突然明かりが消され割れる窓、窓から侵入者。
ドレスのすそがふわりと揺れる中、ユリナはまだ“祝賀”の空気をまとっていた。
だが――明かりが落ちたとき、肌に触れる空気が変わった。
そして“窓の破砕音”と共に侵入者の影が、月光の縁を踏みしめる。
「王女殿下、お命、頂戴いたす」
剣や武器、杖や魔道具はすべて取り上げられているので対抗手段は拳のみ。
暗殺者に立ち向かう。
暗殺者の剣が当たるも自身に一切の攻撃は通じず。
暗殺者の頭を掴み引っこ抜いてしまった。
飛び散る血しぶき。
前世を含んで初めての殺し。
でも意外と冷静だった。
「……あ、やっ……ちゃったな。
これが“命を奪う”ってことか。……案外、静かだな……自分も、世界も」
血飛沫のなかで、心はざわめかない。
冷静というより、魂がようやく現実と同期したような、そんな感覚。
王女は震えていた。
護衛たちが駆けつけて叫ぶなか、
その小さな背中だけが、誰よりも“現実”を引き裂いて立っていた。
この件が元で私は「首取り姫」の異名を持つことになる。
恐れられるかと思ったが王女を救ったことで英雄視されることに。
「あの子……神子様、暗殺者の頭を――素手で……っ」
「いや……殿下を守ったんだろ?違う、“英雄”だ。あれは……英雄だ」
やがて、「首を獲る神子」「護りの姫」「流血の祝福者」などさまざまな呼び名が出回り、
最後に定着したのが――**《首取り姫(エグゼキュータ姫)》**だった。
この世界は論理感がおかしい。
人を殺しても犯罪者というわけではなく殺された人の遺族や関係者が騎士団に申し立てて
対応が必要と判断されて初めて捕まえられる流れになる。
つまり人殺しも必要なときはしょうがないよねという考えでそれが一般的なようだ。
自分も開き直ってそれに従おうと思う。
もちろんだからといって積極的に殺すつもりは毛頭ないが。
ガレノス・セレヴィード
主人公のこの世界での父親
下級貴族で男爵
エストグレイン領領主
ティアネラ・ノゥラ・セレヴィード夫人
主人公のこの世界での母親
美人
リィ=フェリア・シルヴァレイス
リィ先生
主人公の家庭教師
ハーフエルフ
異名:炎と泥の魔女(フレイム=マッド)