018-建国際と巫女
王都建国800年のお祭り
そこで私は巫女をやることに。
王国建国800周年を祝う祭りが近い。
あちこちで祭りの準備がされている。
収穫祭などの祭りは毎年あったがこんどは規模が違う。
当然騎士団も警備やらなんやかんやで忙しくなる。
で、私は何故か教会の神官に呼び出された。
あのセンタイのうちの一人だな。
「ご機嫌麗しゅうございます、神官さま」
「おおユリナ殿、よくぞおいでくだされた」
「はい、なんでしょうか?」
「実は、折り入って頼みがありましてな」
「ええ、なんでしょうか?、センタイに入るのは勘弁してくださいよ?」
「いや、そうじゃないのです
実は、祭りでどうしてもユリナ殿に巫女をやってほしいのです」
「え?巫女?」
「うむ、祭りでいろいろ儀式があるんだが、そのお祈りの儀式があってそのときの巫女をやってくれないかと」
「え?なんで私が巫女なんですか?」
「他にも巫女はいろんだが、数が足りないのと、戦姫というなんというか戦いの女神の巫女役が必要でユリナ殿が適任だろうと。」
えええいいんですか?中身おっさんですよ?
巫女ってガラじゃないわ。
「で、だな、その前に確認なのだが、巫女になるにあたっての資格があるのだが」
「ほう?」
マジな顔でせまってきて
「そなた、処女か?」
ぶんなぐって地面にめりこませてその場を退散した。
とんだセクハラ神官だ。
神官の部下たちが城に来た。
「うちのアホがすいませんでした!」
と平謝り。
でも私を巫女にっていうのは諦めてないらしく引き受けてくれるまで帰りません!ときた。
ヴァレリカちゃんを見つけるとなんとかわいらしいあなたも是非に巫女に!
とスカウトしだした。
ヴァレリカちゃんもなんだか乗り気になってきてる。
いや、その子、吸血鬼よ?
一番巫女にしちゃダメなヤツ!
そして王から手紙が来た。
「勅命:巫女をやりなさい」
こう来たか、あの神官め!
この王国の宗教はかなり緩い。
一神教ではなく多神教、というか他宗教許容型といっていい。
各地域にはそれぞれの土地に根差した神や宗教があり、それらをすべて認めます。
というのがここの教会のスタイルだ。
よっぽどの邪神や高額なツボを売りつけるような宗教でないかぎりすべて認められる。
で、その中でも有名な神々を主神として祭っている。
戦いの女神ならアテナ(ミネルヴァ)、フレイヤ、ヴァルキリー、モリガンあたりが主神となる。
ギリシャ/ローマ神話、北欧神話、ケルト神話まで来たか。
なんで前世の神々がこの世界に出てくるんだ。
で、私にアテナの巫女をやれと、
えー星座の戦士とかついてくるんですか?
コスモを燃やすぞ?
祭りは2カ月に及んで開催される。
そのうち最初の3週間ほどは巫女として出ずっぱりになるそうだ。
儀式で祝詞をあげたり、舞を舞ったり、
神話になぞらえた小芝居をやったり
武器防具の展覧会で展示ガールやったり・・・それ必要か?
子供たちにお菓子くばったり、パレードに参加したり。
忙しそうだ。
巫女の衣装合わせ。
最初に出されたのがすっごいミニスカートでへそと横乳が出る露出が高すぎるやつだった。
あまりに恥ずかしいと部屋の隅で泣いてるとしょうがない、ってことで普通のを出してくれた。
最初っからそっちを出して!
スカートはロングでちょっと胸は強調するが全体的におとなしめで清楚な感じのする真っ白な衣装だった。
それにほほ当てとティアラが一緒になったようなヘッドギアをつけて豪華な意匠の杖と盾を持つ。
祝詞を覚える。
そんなに長くはない。
魔術の詠唱を覚えるぐらいの労力で覚えられた。
舞は苦労した。
ふざけて前世のアイドルの振り付けをしたらそれいい!となって採用されてしまった。
複数人でなんとか46みたいな振り付けで踊る巫女。
なんかめちゃウケた。
うーん、また変な文化を広めてしまった。
建国祭が始まった。
王と王妃の挨拶から始まり、神事が始まる。
王族の祖先への祈りから始まり、建国に関わったという神々(あくまでも伝承)への祝詞、
当時の英雄への祝詞、太陽の神へ、大地の神へ、火の神へ、水の神へ、豊穣の女神へ、道具や芸術の神へ、商売の神へ、
そして最後に戦いの女神へ、
それぞれ祝詞の儀式が行われる。
うん、なかなかいい感じだった。
美しくて感動した。
そしてパレードが行われる。
王様、王妃さま、王子や王女殿下、騎士団やらいろいろ。
神々を形どった神輿がひっぱられ道をいく。
私も神輿にのって上から手を振る。
音楽隊もあとからついてくる。
とても賑やかだ。
二か月にわたるお祭りの始まりだ。
私の会社からも屋台がいっぱい出ている。
新製品もいっぱい用意した。
イカ焼きや、リンゴアメ、串焼きやお好み焼き、タコじゃないタコ焼き、などなど
神殿の近くにある野外舞台で神話の小芝居をする。
内容は伝統的にきまっていてそれをそのままする。
戦いの女神の芝居は、私が女神役で
内容は
本来は女神の戦士である黄金の戦士が悪に染まり女神を神殿に監禁。
それを正義の青銅の戦士が救う。
・・・うん、どっかで聞いた内容だ。
だれだ!こんな伝承伝えたのは!
まぁ、それなりに楽しかった。
舞のほうはみなノリノリだった。
オタク芸っぽいのをしてる集団もいた。
なんでそんな文化があるんだ。
誰が伝えた!
ちなみにワルキューレ中隊の女子も何人か巫女をやってる。
今回だけアルバイトでやってる子もいればもともと巫女を兼務してたこもいる。
武器防具道具の展覧会が行われていた。
そこで私は展示ガールをやってる。
展示物のブースの前で笑顔をつくりパンフレットを配って客に質問されたら答える。。。
ねぇ?これほんとうに巫女の仕事?なんかちがくない?
ここでドワーフを見た。
はじめて見た!
ドワーフはほぼ絶滅しかけているらしいが北の地でほそぼそと生存しているそうだ。
イメージ通り武器や鉄製品を作って生活しているとかで
ドワーフ製の武器は非常に高額で取引される。
今回もドワーフ製の武器が出品されている。
自分もなにかいい防具がないかな?と暇を見つけては探してみる。
う、結構なお値段で。
とてもいいお鍋を見つけたので買った。
ドワーフの男性はイメージ通り酒樽のような体系に髭もじゃもじゃで背は低いがでっかい体格をしている。
対してドワーフの女性は背が低く髭もなくがっしりはしているがとくに丸くはなくまるで幼女のような見た目だった。
一人のドワーフに声をかけられた。
「あんたがあの首とり姫かい? どうだ、わしと腕相撲でもせんか?勝ったらいいものやるぞ?わははは」
いいでしょう!後悔するなよ?
まぁあっさり勝った。
「いやーさすが超力の神子、おそれいりました。すいません!」
ということで一振りの短剣を貰った。
さやから抜いてみてみる。
刃をみると背筋がゾクっとした。
刃をみた瞬間にあたりが静まりかえったような錯覚をした。
これは、素人目でみても凄い。
「魔剣だ、名を『土折り』硬ければ硬いものほどよく切れる
ちょっと扱いが難しい失敗作なんだが、あんたならなんとか扱えよう」
おおお、なんか聞くとすごい業物じゃないか?
硬ければ硬いものほど切れるってことは反対に柔らかいものは切れないってことか?
それは確かに扱いが難しそうだ。
ありがたくいただこう。
土折りの試し切り。
調理場で硬いバファロー型魔獣の角を切ってみる。
熱したナイフでバターを切るみたいして切れた。
野菜と干し肉を切ってみる。
ぜんぜん切れない!
これは確かにすごいけど扱いが難しい。
でもまぁ、私なら切れなくても私の力で鈍器として使うこともできる。
問題はない。
神殿で祝詞を捧げる。
陽裂け、空ひらけし星輪の刻より、
大地を渡りし剣の巫女、此処に佇む。
雷をまとひ、刃を持ちて、
血と記録とに名を染めし者なり。
我、千の戦を越え、万の嘆きを刻み、
汝が威霊に祈り捧ぐ。
天の焔よ、地の喉に響け。
力を鎧となし、慈悲を刃に宿し、
今ぞ誓ふ——
我ら汝の斧なり、槍なり、盾なり。
されど何より、記録を映す鏡なり。
戦女神よ。記憶の刃を此の身に垂れ給へ。
空にして、なお護る者として、我は立たん。
うーん、なかなかいい感じだ。
子供たち、とくに孤児院あたりの子供たちを中心にしてお菓子をくばったり慰問したりする日。
うん、孤児院ってのがあるんだな、こんな豊かな王国でも。
一応王国や教会からも補助はでているがそんなに満ち足りているというわけでもなさそうだ。
けっこうやせ細ってる子もいる。
いちおうストリートチルドレンとかは取り締まっているので居ないが、
それでも全部の親の無い子が孤児院で世話になっているかというとそうでもないらしい。
暗殺ギルドや盗賊や色街にいく子供も結構いるんだとか。
一応、魔術の才能のある子なんかは率先してスカウトされそれなりに良い暮らしができる可能性があるらしいが。
そういう才能チェックの機会が定期的に開催されている。
そこで才能を示せればしかるべきところにスカウトされ学校にいけるようになったりする。
ワルキューレ中隊の女の子の中にもそうやて這い上がってきた子がいる。
で、私は子供たちにお菓子を配ったり遊んだりしている。
子供なんて、うっとおしいだけ、と前世ではおもったりしたもんだが、
こうやって見てみるとそう悪くもない。
あーちょっと自分の子供がほしくなったかな?生む気はないけど。
あーだれだ!いまスカートめくったのは!この悪ガキどもめ!
熊さんパンツ言うな!
カスミに下着の趣味が子供っぽ過ぎると苦言を言われた。
ほっとけ!
しかしまぁなんだな。
なんとかせぬば。
ということでカスミに朝など定期的にスパッツはいてますか?と声掛けしてもらうことにした。
これで完璧!だといいな。
巫女の仕事は終わり。
しかし警備の仕事や会社の屋台、貴族の付き合いなど数々のやらないといけないことはあった。
ああそういえばカミラ殿下と久しく遊んでいないな。
いやよく城に遊びに来たり警備をしたりとかで顔は合わせているんだけどね。
以前みたいにゆっくり馬鹿話しする機会は最近なかったな。
ちょっとお祭り見学に誘ってみるかね。
そういえば怪しいのが一人いたんだった。
すっかり忘れていた。
あのイケメン魔術師「セラフィード・カイル」だ。
ハリハリ鍋や水菜って言葉を知っていた。
やつも日本人なんだろうか。
行事で出会ったときカエデちゃんの真似して日本語で「貴方日本人ですか?」って言ってみたら、
は?何処の言葉ですか?って言われた。
うーん、素でわからないのかわざととぼけているのか判断がつかない。
何者なんだこいつは。
エルフを初めて見た。
エルフははるか東の地に住んでいる。
王国とは違う国だが国交はある。
建国祭ということで使節団が来ているのと商売で来ているのがいる。
露店を開いているエルフを見つけた。
工芸品やら薬やら売ってる。
イメージ通り耳が尖っていて美形だ。
女性の胸も平たい。まぁそれはどうでもいい。
山椒によく似た香辛料とバニラのようなハーブを見つけたので購入した。
後で定期的に購入出来るルートが出来ないか食材調達部で交渉するよう言っておこう。
バニーガールがやってる露店があった。
バニーガールと言ってもあのバニースーツを来た女の子ではない。
兎人族だ。
獣人族の一瞬でウサギの耳に丸い尻尾を持っている。
しなやかで頑丈そうな足。
獣人族は西の遠くに住んでいる種族で王国とは違う国である。
国交はあるが普段王国内ではめったに見ない。
今回はエルフと同じように表敬で訪れているものと商売で来ているものがいる。
獣人族は他にも犬型や猫型、熊、鹿、ワニ、トカゲ、鳥など多岐に渡る。
そのうちの兎人族が野菜の露店をやってた。
服装はバニースーツではなく普通に割烹着だった。
そこは違うだろう!と一説ぶちまけたくなったがまぁ置いておく。
甘みのあるニンジンやスイカなんかが売ってた。
ちょっと大量に注文して自分の城に運んでもらうように頼んだ。
ちょっと撫でてモフモフしたい衝動に駆られたが失礼にあたるらしいので堪える。
こっちの貴族の中には獣人族が好きで何人も囲ってる変態もいるらしい。
国際問題に発展しなければいいがな。
建国祭も終わりになった。
カミラ殿下の暗殺とかあるかと思って警戒はしていたがそういうこともなかった。
警備の反省会とかやってお祭り体制も解除。
討伐の依頼もしばらくはないのでのんびりできそうだ。
さて何をするか。
訓練でもするか。魔術の研究でもするか、料理の研究か、それとも新しい服でも考えるか。
と思ったら王から呼び出しを食らった。
ちょっときな臭いことになろうだということだった。
きな臭い風が吹く。
戦争だ。




