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終わりの始まり

皆さんお久しぶりです。初めての方は初めまして。

この度新しく話を投稿することとなりました。

今回は今までの作品とは少し方向性が違う話となりますが、楽しんでいただければ幸いです。

 

 世界樹。それは世界の中心にあり、すべての存在の母たる存在。


 世界樹は死して大地に還った魂をその根で吸い上げ、魂の内に溜まった『闇』を浄化し、再び花弁と共に大地に降らす。それによって世界は廻り、命は育まれてきた。


 だが、それもいつまでもは続かない。


 無限に繰り返される『闇』の浄化。生き物、特に人間の内にある闇は大きく、そして強く、その浄化は世界樹にとって多大な負担がかかるものだった。

 しかし、それでも魂の廻りは繰り返される。


 ついに世界樹の処理能力を超え、魂に溜まった闇を浄化する速度が追い付かなくなった。だがそれでも世界樹は世界の平和を願い、浄化ではなく『闇』を自身の内に取り込む事で魂の巡りを保とうとした。

 そんな行為は一時しのぎでしかないことなど、誰だってわかることだ。だがそれでも、他に方法がなかったのも事実だった。


 しかし、結果から言えば世界樹の行いは愚かだったと言えるだろう。『闇』が浄化しきれなくなった初期のころから異変を感じ取ることができれば、増える『闇』に対する対策もとれたかもしれない。

 だが、世界樹の中に『闇』が溜まり、そして、抑えきれなくなったことで吐き出された深く重い『闇』はどうしようもなかった。限界を超えて吐き出された時点で、もうどうすることもできなくなってしまったのだ。


 抑えきれず、吐き出された『闇』は、まるで意思を持っているかのように自身を抑えつけていた世界樹を呑み込み、それによって世界は変貌した。『闇』によって形作られた異形の怪物が溢れ、生き物は死してなお動き回るふざけた世界へと。


 輪廻転生を司るはずの世界樹は枯れ、異形の存在が暴れ、そして、人々は死ぬ事はなくなった。死なず、けれど死者として動き回る世界。


 人々は願った、「自分達の行いが悪かった。どうか助けた欲しい」と。なんと身勝手な事だろうか。

 願った相手である世界樹は、すでに自身たちの行いによって枯れ果てたというのに。


 ──だが、その願いは神々に聞き届けられた。


 人々には神々によって死者を死者として終わらせる『転生』の奇跡が送られたのだ。


 だが、本来は世界樹しか行うことの出来ない『転生』という奇跡の力。

 それを万人が使う事ができるはずもなく、使えるのは極限られた者達だけだった。

 その奇跡を使うことのできる存在は『聖人』『聖女』と呼ばれ、彼らは死者を死者として終わらせる為にその力を振るう。それが世界にとって救いになると信じて。


 ──その行いに、終わりがなかったとしても。


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