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日光つよつよ
四月から上京する事になった。
物件探しをする間、都内で暮らす兄の家に泊めてもらおうと考えたのだが。
兄の家に行って驚いた。
生ゴミこそないが、ペットボトルやチューハイの空き缶、雑誌に空き箱…足の踏み場がなかったのである。
六年前に引っ越しをしてきた箱がそのままだし、カーテンすらついていない窓辺には腹筋台や脱いだ服などが散乱していて…寝る場所などどこにもない。
気合を入れて掃除をすればなんとか…そう思って窓を開けると、ビル風が勢いよく室内に吹き込んできた。
宙に舞う蓄積していたホコリ…、バラバラになって飛び散る、黒い何か…。
直射日光を浴び続け…とっくの昔に崩壊していた品々が、ノーマスクの俺に襲いかかった。




