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そっちに行ってはダメ
…ここはどこだろう。
薄暗く、ぼんやりしていて、でも確かに自分は存在していて…不思議な感覚。
ここにいてはいけない…そう思うのに、どこに向かっていいのかわからない。
とりあえず進み始めてみたが、どこに向かっているのかは…わからない。
「そっちに行っては、ダメ」
誰かの声が聞こえた。
とりあえず進む方向を変え、歩いてみる。
「そっちに行ってはダメ!」
ダメだと言われても、進むべき方向を教えてくれなければ…どうもできない。
イライラしながら、前に進むと。
「そっちに行くな!こっちに来いよ!」
突然の強い口調に驚き、駆けだした瞬間。
明るい光に…包まれて。
「チェッ!もう少しで食えたのに」
俺は、汗びっしょりで…目を覚ました。




