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うしろ
…なにか、視線を感じる。
ねっとりとしたような、重苦しいような。
見つめられている時にしか感じない、眼力の圧が…首から肩、背中のあたりをうろついている。
ここには、私しかいないというのに。
一度気になると、頭から離れない。
一人暮らしの、ワンルーム。
人が入るようなスペースは、隠れるような場所はない。
…この、視線は。
おそらく、気のせい。
たぶん、ただの気の迷い。
けれど、もしかしたら。
万が一、バケモノがいたら。
振り向きたい衝動が…あふれだす。
今振り向いたら…絶対にいる
今振り向いても…何もいない
振り向きたい欲に振り回されるのも、ばかばかしい。
いるわけ、ない。
安心感を得るために、なんの気なしに振り向いた、その、瞬間。




