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送迎
飲み会をしていたら、彼氏から電話がかかってきた。
なんでも、YouTubeの企画で肝試しをすることになったのだが、じゃんけんに負けて置いて行かれたそうだ。歩いて帰れない場所ではないが、とにかく暗くて不気味なので迎えに来て欲しいらしい。
下戸の私はいつもメンバーを送り届ける役を引き受けている。
すぐに行くことはできないと告げると、今すぐ飲み会を終わって来てくれと我儘を言う。
仕方がないので、一旦飲み会を抜けて迎えに行く事にした。
彼氏の現在地を地図アプリに入力し町の外れの廃トンネルに向かうと、薄暗い街灯の下に人影を見つけた。
ゆっくりと近付き、窓を開けると。
「ちょ、ツレは置いて来いよ!乗るとこねえじゃん!」




