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自動書記
文芸部に所属する私は、恋愛小説が好きで泣ける物語を書きたいと思って入部したものの全く文才がなく、撃沈していた。
文化祭に出す部誌の締め切りが迫り、焦った私は神頼みをした。
するとその日の晩から、自動書記能力に目覚めた。
思い描いたシーンが自分でも感動してしまうレベルに装飾され、美しい文章となっていく。
素晴らしい能力を得たと確信していたが、物語が佳境に差し掛かったあたりで刺々しい文章が増えてきた。
〇下〇佳という女がディスられまくるシーンばかり書くようになった。
気を抜くと〇下〇佳を呪う言葉ばかりになる。
ヤバいと思ったので慌てて自力で物語を書き始めたら、自分を呪う文章しか綴れない。
やだ、嫌だよ、助け…




