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花
昔、花が大好きだった。
おばあちゃんと一緒に、色んな花の種をまいて、育てて。
花瓶係に立候補して、毎日庭の花を摘んで持っていって。
5年生の時、事件が起きた。
男子とぶつかった私は、花瓶を落とした。
割れた花瓶の欠片が一番前の席の子の足に刺さって、救急車が来た。
男子はクラスで一番の人気者だった。
隣の席の文ちゃんは、私が一人で落としたって証言した。
「弁償しなさいよ」
クラスメイト達に睨まれた。
「親御さんに連絡するから」
担任の先生に怒られた。
「余計な事しやがって」
父親に怒鳴られて竦み上がった。
あの日から、花が大嫌いになった。
今日も私は、目についた花を毟る。
花なんか絶滅すればいい。
私が絶滅させてやる。
…絶対に。




