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先生
著名な先生と対談させていただくことになった。
昔から憧れていた新進気鋭の経済評論家を前に、緊張感が凄まじい。
お年を召したとはいえギラつく目の輝きは衰えていない。
どんな話が聞けるのか楽しみでならない。
繊細な先生のご希望で、防音対策がしてある部屋をご用意した。
初めこそ紳士的だったが、徐々にヒートアップしていく先生をみて、だんだん肩身が狭くなってきた。
現代日本の闇を語るうちに若者たちへの怒りが抑えきれなくなったらしい。
目の前にいる自分までもが敵と認識されてしまった。
失礼がないよう気を使いながら頭を下げていると、先生はカバンの中から光るものを取り出した。
そして、躊躇することなく、目の前にいる敵を穿った。




