119/151
竜の卵
山登りをしていたある日。
首に巻いていた汗拭きタオルを、橋の下に落としてしまった。
足元に気を付けながら崖を滑り降りると、タオルの横に大量の落ち葉に紛れた…しましま模様の卵を見つけた。
…いったい何の卵だろう?
せっかくなので、持ち帰る事にした。
その晩、俺は…夢を見た。
世界を救い人々を導く偉大な竜が、間もなく生まれる。
この世界の神がわざわざ異世界から取り寄せた、特別な卵。
人の手で育てられ、人の愛を知り、人のために尽くす竜。
卵からは…竜が生まれるようだ。
………。
そんなすごい卵を食ったら、世界征服する力を得られるに違いないぞ!
目を覚ました俺は、すぐさま卵を割り。
じゅるじゅると中身を啜って、ほくそ笑んだ。




