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邪魔な荷物
早朝七時、イベント会場に向かうために電車に乗ると、信じられないくらい混んでいた。
世のサラリーマンたちはこんなにも過酷な環境の中に身を置くのかと驚愕する。
のほほんと暮らす自分には馴染めそうもない世界だ。
駅員にぎゅうぎゅうと押されながら電車に詰め込まれると、足元になにかがある事に気が付いた。
明らかに邪魔になっているのに、誰も文句を言わない事に驚く。
…みんな、大人なんだな。
俺が声をあげたところで、どうせ無視されるのだろう。
そう思ったとき、車内が大きく揺れ…俺は勢いよく荷物を踏んでしまった。
すると、その瞬間。
とてつもない力が、秒で爆散し。
窮屈な車内に、風が吹きこんだ。




