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黄砂

「玄武岩にはアルカリ金属元素カリウムやカルシウムを含んでいるため、アルカリ性の性質を示す……」

うーん、とベルは伸びをした。

いわゆる「塩」と呼称されるものは、塩化ナトリウム。食用で人体に無害。

玄武岩の粉が硫酸と反応してできた塩は、塩化カリウム、あるいは塩化カルシウム。これらは人体に害があるだろうか?

ベルは錬金術師の遺した資料を漁って、3日くらい書物庫を出入りしていた。

「塩化カルシウムって、あんまり良いイメージないなぁ」

一緒に行動していたエルンストが言った。

「なぜ?」

「除草剤、除雪剤に使うんだが、犬猫が肉球がただれたり、嘔吐したりするんだ」

「動植物と相性が悪いのね」

「あっ、大陸西部では、砂漠から風で巻き起こった黄砂が吹き、金属アレルギーの者は特に目鼻に発症って」

「え?黄砂」

「うん。砂漠の砂。岩を砕く手間が省ける!」

「問題は風の向きね」

うーん、と2人は唸った。

「まず、黄砂のサンプルを手に入れてほんとにアルカリ性か調べなくちゃ。黄砂がアルカリ性だとしたらそれをどうやって北部まで運ぶかを考える」

「あと、塩化カルシウムじゃなくて塩化カリウムだけ取り出せないか、とか」

「反応前は水酸化カリウムだよなぁ」

「鉱物以外には含まれてないの?」

「[海藻を燃やして得られる藻塩、内陸部で植物を燃やして作られる灰塩に多く含まれる]って!」

「塩……。塩かぁ。植物には悪そうだよね」

うーん。再び2人は黙り込んだ。

「こういう時は、息抜きにお茶とお菓子を食べましょう!」

ベルはすっくと立ち上がり、エルンストもつられてベルのあとに続いた。

「小麦粉、バター、砂糖、ベイキングパウダー」

「お菓子作るところからやるの!?」

「そう!違うことやってると、どこかで考えがまとまるから!」

「無茶苦茶やな」

「手伝ってね」

「えー」

「男は黙って行動で示す!」

「……」

「?」

エルンストが無言でベルを抱きしめた。

ベルは何が何だかわからず、おたおたした。

「君がいてくれてよかった」

「お、おう」

赤面しながら、エルンストが手を離すと、ベルはお菓子作りに頭を切り替えようとした。

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