表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

プロローグ☆エルンスト

「ばあさんが腰を痛めて困っとる」

「そうですか……この塗り薬を1日3回塗ってあげてください」

ベルは作り置きの薬の棚から計量して小分けにすると、老人に手渡した。

「そのう、代金なんだが」

「あるとき払いでいいです。おばあちゃんにお大事にってお伝えください」

「おお。ありがとう」

老人が帰ると、卵屋のおばちゃんがカゴいっぱいの卵をもって訪ねてきた。

「蛇対策の仕掛け、きいてるよ。おかげでニワトリがいっぱい卵産んでくれる」

「そうですかそれはよかったです」

「お礼だよ。受け取って」

カゴごとたくさんの卵を置いていってくれる。

これで何日か食事が美味しく食べられるだろう。

ベルは手桶に水を汲んで、杓で表に水撒きを始めた。

あの雲は、もうすぐ雨を運んで来そうだ。水撒きの必要はないかな?

ビシャ。

「うわ」

「きゃあ、すいません!」

見ると、旅装の青年がずぶ濡れで立っている。背が高くて顔を見ようと見上げるが、フードをかぶっていて陰でよく見えない。

「あの、乾くまで中で休んで行かれませんか?」

「ああ、ありがとう」

陰から青い目がこちらを見た。きらりとひかる。嫌な感じはせず、むしろ、優しい温かいひかりだった。

「どちらに行かれるんですか?」

「錬金術師の爺さんを訪ねてきたんだが」

「あの、あの方は先日お亡くなりになってしまって」

「なんてこった」

「もう、100歳越えていらっしゃったし、無理がたたって」

「じゃあ、後継は?」

「あの、私、魔技師なんですけど、あの方によくしていただいていたので、形見に魔導書などの権利を引き継ぎました」

「魔技師。へえ」

フードをおろして、茶色の長髪をかきあげると、意外と整った顔立ちだった。

「その椅子に座ってください。温風機を当てますので」

「温風機?自作かい?」

「はい」

「器用なんだな」

「いえ」

ドザー。

大雨が外で降り始めた。

「やれやれ、助かったよ」

「よかったら数日滞在くださいね」

「なんで?」

「錬金術師の遺した本や研究が必要なんでしょう?ご案内します」

「そっか。それはありがたい。きみ、名前は?」

「ベルです。あなたは?」

「エルンスト」

「よろしくエルンスト」

「よろしくベル」

2人は握手して微笑んだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ