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復讐のスレイブ -王をこの手で殺すまで-  作者: いぬはしり
一章 バズバルド解放戦
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十六話 『そして二人は決起する』

 あれから、日が登っては沈み、それが幾度も続いた日の夜。

 ここは自由解放団のアジト、ラウン・パータの村。


 その日は雨が降っていた。星空を覆い尽くすように重苦しい雲が村を囲み、そこから雨が切れ目なく降り続いている。

 村は眠りにつき、静まり返っていた。


 そんな村の奥にある、周りの建物よりもひとまわり大きな建物の中。

 ひとつの部屋から灯りが漏れる。


 パタパタと雨が当たる音を聴きながら、ラァーフは一人椅子に座り、酒を傾けていた。


 机の上に広げた新聞を、神妙な顔つきで睨む。


(……反政府組織、国王像を破壊。宣戦布告か。はっ、連中が気にしているのは、そればっかりかい)


 どうやら、ヤラドゥやティーマの存在は知られていないようだった。

 どの記事も、国王像を破壊した事ばかり書かれている。奴隷解放については、特に気にしていないようだった。


 それどころか、国王軍の砲撃によって民間人が死亡した件が、自由解放団の仕業にすり替わっている。


 もっとも、目撃者が生存しているので、いずれは本当の顛末も噂となって広まるだろうが。

 きっと、誰も意外にも思わないだろう。


 それもそのはず。

 この新聞も、ほとんどが国王の顔色を窺いながら書かれた文の集まりだった事は、皆知っていた。

 何よりも大事なのは、国王の機嫌を損ねない事なのだ。


(この新聞だって、ろくな教育もされないこの国で読める奴が何人いるか……)


 ラァーフは器に酒を流し込みながら、表情を曇らせた。


(ケルビア、ドリオ、ダッツァオ、メルナ……)


 バズバルド解放戦で犠牲になった団員達を思い浮かべる。

 誰もが気さくでいい奴だった。全員に性格があり、趣味があった。


 皆が、私に着いてきてくれると言った。

 私の夢の為なら、命だって惜しくないと。


 皆が命をかけて戦場に臨み、武器を振るい敵を殺し、敵に殺された。

 そして、その道に招いたのは自分だ。


 ラァーフは器を握る手に力を込めると、眉間にシワを寄せる。

 そして、そのまま酒を一気に傾けた。


 端々からこぼれ落ちるのを気にせずに、乱暴に口へ注ぎ込む。

 そして、空になった器を机に叩きつけると、前のめりになって身体を震えさせた。


 決して、仲間の前では出せる事ない感情だった。


「ラァーフ様……」


 突然、背後から声が聞こえた。

 見れば、ティーマが不安げに扉を開けてこちらを見つめていた。


「……どうしたんだい。良い子は寝る時間だよ」


「すみません。ノックしたんですが、返答が無かったので……。ラァーフ様、大丈夫ですか」


 彼女はおそるおそるそう尋ねる。

 ラァーフは酒に濡れた口元や服を見て、豪快に笑って見せた。

 

「ん? ああ、ごめんね。酔っちゃったみたいだ。いやあ、酒がもったいないもったいない」


 そのわざとらしい身振り手振りにティーマは、彼女の心境を察したが、何も言わずにいた。

 というよりも、何を言えばいいのか分からずに黙ってしまう。


 ラァーフは恥ずかしそうに頬をかくと、ティーマの方へ向き直す。


「どうだい、スー坊の様子は」


 ティーマは残念そうな顔で首を横に振る。


 スレイブはあの日から、目を覚まさなかった。

 身体は健康そうだが、未だに眠ったままだ。

 今はただ、彼が起きるのを待つのみだった。


 ラァーフは「そうかい」と言って、酒を注ぎそれを飲んだ。


「あの、私の首飾りの件について、少しお話が……」


「話?」


 ラァーフは空の器を机にそうっと置くと、立ち上がった。



 薄闇の廊下に雨音が途切れずに響き、しけった空気が粘膜のように顔に張り付く。

 そうして案内された一室は、本棚と机と椅子だけが置かれた単純な部屋だった。


 そこに、ガンダイとヤラドゥ、そして遠い街からやって来た鑑定士が机の上の何かを見つめている。


「やあ、何か分かったのかい」


 ラァーフがその部屋に入ると、ガンダイとヤラドゥは彼女の方を向いた。


「大まかではあるがな」


 ヤラドゥがそう答える。


 机の上には、無造作にページを開かれた大量の本と、顕微鏡のような形をした装置、そして、その上にティーマの首飾りが置かれていた。

 ガンダイが不思議そうにその首飾りを見る。


「いやぁ、わしも仕事柄、お偉いさん共のお飾りを作る際に宝石を取り扱ったりしていたが、こんな物は見た事がない」


 ティーマがずっと不安そうに首飾りを見ている。

 顕微鏡を覗いていた鑑定士は、ゆっくりと目を離すと、眉間を指で押さえた。

 そして、ため息を深く吐くと、ラァーフの方を向いた。


「まずひとつ。確定して言える事は、これはこの世でただひとつの物質だって事だ」


 鑑定士が汗をぽつりと額に浮かべながらそう言った。


「珍しいって事かい」


「珍しいなんて物じゃない。文字通り、世界にひとつだけの鉱石だ。こんな物、見た事も聞いた事もない。完全に未知の物質だ」


 ラァーフは顕微鏡の上の首飾りを見る。


「これがねぇ……」


 赤い光を佇むそれは、至って普通の宝石のように見える。

 これだけを見れば、そんな与太話、笑い飛ばして信じはしないだろう。


 しかし、実際にこの宝石は不思議な力を持っている事をこの目で見てしまった。

 この未知の物質に、ラァーフはどこか気味悪さを覚えた。


「こんな物を殿下は持っていらっしゃったとは。一体、どこから手に入れたんだ……」


「兄様は旅商人から買ったと言ってました。これを持ってると運気が上がるとか。それ以上の事は知らないようでした」


 ヴァルティス王子が肌身離さず着けていたこの首飾り。

 きっと、お守り代わりで買っただけで、これがどんな物までか調べてはいないのだろう。


「で、だ」


 鑑定士はそう言うと、乱雑に置かれた本を手に取って、あるページを開いてみせた。


「確かこの宝石は眩しく光って、あの男を癒したと言っていたな。あまりこういう非科学的な事は好きではないんだが、一応、この国の歴史について調べてみた」


 一同は、開かれたその項目を見る。

 それは異国の文字だった。年季の入った色褪せた紙に、文字がびっしりと埋め尽くされている。


 鑑定士はそれを見ながら、こう言った。


「『昔、ふたつの魔があった。このふたつは互いを憎み、ぶつかり合い、弱り果てた所で、異国の戦士が魔を打ち倒し、そこに国を築き上げた』。……古い文字だから語弊はあるかもしれないが、要するにだ。なんでも遥か昔、ヴァルトゥナ王国が出来るよりもさらに昔、ここには魔術というものが存在していたそうだ」


 その言葉を聞いて、ティーマとヤラドゥの顔が曇った。


「魔術、ねぇ……」


 ラァーフが髪を弄りながら神妙な顔をした。

 今はどんなに荒唐無稽な話であろうと、信じるしかないだろう。

 これは御伽話などではないのだ。


「魔術を使うふたつの部族。その部族が敵対し、争い合い、疲弊した所を、外からやってきた初代ヴァルトゥナ王が討ち倒し、ここに国を作ったのだろう。ヴァルトゥナ王国の成立だ」


 鑑定士は首飾りを手に取ると、それをティーマに渡した。


「だが、ここで初代ヴァルトゥナ王が魔術使い達を皆殺しにできなかったのであれば、今でもその魔術使いとやらは連綿と生き継いでいるはずだ。そして、その力もまた存在はしている」


「魔術師ハツナ……」


 ヤラドゥが低く呟いた。

 心の奥底から、ざわざわとした騒音が溢れ出す。


「ハツナ?」


 ラァーフが問う。

 ヤラドゥは目線を俯かせながら、考え込むように口を開いた。


「王に仕える奇妙な老人だ。自分の事を魔術師と自称し、その実、奇怪な術を使う……不気味な男だ。ただの手品師や占い師だと思っていたが、その話が本当だとすると、奴はその魔術使いの子孫なのかもしれん」


 ヤラドゥはあの老獪の事を信用していなかった。


 怪しげな雰囲気を身に纏い、魔術と称し道化じみた技を使い、王に付け入る。

 そして、あの男のシワ枯れた瞳の奥底の、凍えるように冷たい冷酷な闇は、とても生きた人の目とは思えなかった。


 思い出すだけでも冷や汗が湧いてくる。


 鑑定士は本をパタリと畳むと、片付けをし始めた。


「だが、ここからは何も手掛かりなしだ。いかんせん、歴史には疎いのでな。その首飾りが魔術の力を込められた魔道具かもしれないし、実は姫に何か隠された力があるのかもしれない。こればっかりは俺にはお手上げだ。まあ、少なくとも、この首飾りから放たれた光は『魔術』とやらで間違いないだろう」


 そう言いながら、彼は大きな鞄の中に荷物をぎゅっと詰め込んだ。

 その横顔を見ながら、ヤラドゥは考える。


「ハツナ……奴なら何か事情を知っているのかもしれんが」


 うんうんと唸り思考するが、まるで暗闇の中から米粒を探るような途方のなさを覚える。

 ラァーフは鼻で息を吐いて、声をかけた。


「まあいいだろう。今はどうしても考察の域を出ない。その首飾りがすごい代物だって分かっただけでも収穫だ。アンタの兄さんは、物を見る目があるねぇ」


 ラァーフはニカッとティーマに笑いかける。

 ティーマはずっと暗い顔をしていたが、それを見て少しだけ笑顔を取り戻した。


 そうして、鑑定士は雨の中ラウン・パータを発った。


 しんとした室内で、四人はじっと静まり返っていた。

 そんな中、ラァーフはお開きと言いたげに手の埃を払う。


「よしっ、そろそろ子供はねんねの時間だ。ティーマ、部屋にお帰り。ヤラドゥ、ガンダイ。少し私に付き合いな」


 ラァーフは酒を飲むような手振りで、口元へクイっと上下に動かす。

 それを見て、二人は露骨に嫌な顔をした。


「勘弁してくれ、お前さんの酒癖の悪さは身に染みとるわい」


「これでも私は王族だぞ。もうこれ以上酒の席で醜態など晒さない」


 そう言い合いながらも、二人はラァーフに肩を掴まれて、部屋の向こうへと連れて行かれてしまった。


 一人ぽつんと残されたティーマは、首飾りをじっと見つめると、それを首にかけた。


 程よい重みがうなじにかかる。

 今までは、まるで兄がそばにいるかのような安心感をこの重みに感じていた。

 だが、今となっては得体の知れないこの首飾りに、少しだけ宙ぶらりんの不安を感じる。


(兄様は一体、どこまで知っているんだろう)


 ティーマは心の中でそう呟いた。


 色々と考えたい事は沢山ある。どんどんとぽっかりと空いた心の穴から湧いてくる。

 しかし、それらと一緒にやってきた睡魔に、ティーマは目を細めた。


 ラァーフの言う通り、もうそろそろ眠りにつくべきなのだろう。

 しかし、ティーマはふと思い立って、最後にスレイブの部屋を訪ねる事にした。



 その部屋はひとつの照明しか無く、人や物が影のようにしか見えなかった。

 ひとつの大きな寝床の横に、小さな作業台と椅子が置いてある。


 寝床にはスレイブがいた。

 毎日の診断の為に、彼は常に半裸の状態だった。

 その生肌からは、生来のおびただしい程の傷跡が見える。


 ティーマはスレイブに近づいた。


 それらの傷跡以外は、すっかりと治っていた。

 バズバルドでの負傷は、やはりあの不思議な光が完治させてくれたみたいだった。

 目を凝らせば、ほんのりと修復の跡が見えるくらいだろう。


 ティーマは椅子にゆっくりと座る。


 あれから数日、スレイブの目は覚める事はない。

 定期的に医師が健診に来てくれるが、特に異常はないとの事だ。

 後は、ただひたすら目覚めるのを待つしかない。


 スレイブの寝顔は、穏やかな物だった。

 まるで生きたまま死んでいるかのように。


 ずうっと、この調子だ。


 ティーマは、髪をいじくり回しながら、その寝顔に向かって話しかけた。


「バルター様」


 雨音が絶えず聴こえる中、ティーマの鈴のような声が響く。


「聞きましたか? この首飾り、なんだかすごい代物だそうです。びっくりですよね、あの優しい光が、私とバルター様を救ったらしいんです」


 ティーマはスレイブの顔を見ながら、そう語りかけた。

 いつか返事が返ってくるんじゃないかと思ったのか、それともただ単に話したかっただけなのか。

 とにかく、ティーマは口を開く。


「覚えていますか? 私とバルター様が初めて出会った日。私、ヴァルトゥナ川で溺れていたじゃないですか」


 すうっとティーマは息を吸い込む。

 そして、低い声で呟いた。


「私、実はあの日、自殺しようとしていたんです」


 しんと部屋が静まりかえる。


 いつもだったら、決して言わなかっただろう。

 誰かに相談する事も出来ずに、心の奥底に仕舞い込み鍵をかけた自分の言葉。


 しかし、何故だか今日は、自分の想いを洗いざらい吐き出してしまいたかった。


「突然ヴァルハタ王に全てを奪われて、愛する人達を殺されて。血溜まりの中を駆けて、日の当たらない所へ行って、身を売って……。最初は兄様の遺言通り、生き延びようとしていたんです。兄様が身を挺して守ってくれた命ですもん。でも、ヴァルトゥナ川のほとりで、王城から続くあの川の流れを見て、ふいに全てがどうでもよくなって、私は……。私は……」


 ティーマは震えながら言葉を繋ぐ。

 心に閉まっていた今までの想いが、言葉の塊になってどんどんと押し出される。

 それは止まる事が無く、延々と心から流れ出る。


「でも、やっぱり。途端で怖くなってしまいました。死にたくなかった。だから、濁流の中で、叫んだんです。助けを求めて、そしたら、バルター様達が助けてくれました」


 過去の事を思い出し、ティーマ派少しだけ微笑みを浮かべた。


「私、わがままでしたね。バルター様が構ってくれるのが、なんだかとても嬉しくて。私、ずっと一人で隠れて生きてて、誰も信用できなかったんです。でも、バルター様は違いました。バルター様って、兄様に似てるんですよ? おちゃめな所も、優しい所も、いざとなったら頼れる所も。だから、ついつい甘えすぎたのかもしれません」


 そして、ティーマはスレイブの手を握った。

 ほんのりと暖かく、ごつごつとした男の手。


「でも、兄様はいなくなってしまった。ヴァルハタ王に毒殺の疑いをかけられて、否応なく皆、私に優しくしてくれる人も皆、私を守る為にどんどんいなくなって……。甘い事かもしれませんが、私は、もう誰も、誰も失いたくないんです。ずっと、私のそばにいてほしい」


 それは、子供のわがままのようだった。

 紛う事なき、自分の本心。姫としてではなく、ティーマ自身の思い。


「兄の仇の為に、この国の自由の為に、そして、私自身の為に、ヴァルハタ王と戦うと決めたんです。私を暗闇から救い出してくれたのは、あなたなんです」


 ティーマはついにぽろぽろと涙が溢れ、手をぎゅっと握り込めた。


「だから、起きて……っ、起きてください!」


 そうして、ティーマは目を瞑った。


 とくんとくんとスレイブの鼓動が手越しに伝わる。

 そして、想いが届いたのだろうか。


 突如、ティーマの手は、もうひとつの大きな手に暖かく握り込まれた。


「……そうだなぁ。それは、たっぷり懲らしめてやらないとなぁ」


 ティーマは驚いて目を開けた。


 スレイブが、目を開けている。

 ぼんやりと天井を見つめながら、ティーマの手を握り込んでいる。


「いつから起きていらっしゃったんですか」


 ティーマは笑顔で泣きながら、そう尋ねた。


「……さあ、いつからだろうな。よく覚えていねぇや。でも、アンタの言葉は、しっかり聴こえた」


 スレイブは天井を見つめたまま、語りかける。


「俺もだ。俺も、奴に全てを奪われた。人を、棲家を、故郷をな」


 低く掠れ、朧げな声だが、それはしっかりとティーマの耳に届いた。

 ティーマはスレイブの手を離すと、涙を拭う事もせずに、黙って話を聞き続ける。


「俺にはイアっていう一人娘がいたんだ。血は繋がっていないし、ゴミ溜めから拾い上げたようなかわいいかわいい娘だ。あの時は俺も奴隷商人の用心棒なんかやっていてなぁ、喧嘩の事しか知らないゴミみたいな奴だった。そんな俺を、まあ随分と人間らしくしてくれたもんだ」


 イア。

 彼が、血溜まりの中、虚空に呼びかけていた名前。

 それが娘の物であるとは、スレイブしか知らなかっただろう。


「……ある日、ふと思ってな。もういい加減、こんな仕事から辞めようって。これ以上続けても、イアに顔向けが出来ない。だから、雇主に頼んだんだ。辞める条件に無理難題を押し付けられたが、なんとか俺はそれをこなして、晴れて自由の身になったんだ」


 ふと、スレイブの目が暗くなった。

 それはいつぞや見た氷のように冷たい目だった。


「その日、俺は全てを奪われた。仕事から帰ってきたら、村が焼けていた。人々が死んでいた。血も乾いていなかった。皆殺しだ、国王軍に皆殺しにされたんだ。俺は絶望の最中、急いで家に帰ると……娘も殺されていた。無惨に、ただ斬り付けられて、命を奪う為だけに……」


 スレイブは目を閉じて、ゆっくりと開いた。


「そして、多分俺だけじゃない、そんな目に合っているのは。俺以外にもごまんといるはずだ。ヴァルハタによって故郷を追われた者、愛する人を殺された者、今も、これからも。……奴を、討ち倒さなければならない」


 スレイブは寝床から起き上がると、ティーマの方を向き、真剣な眼差しで見つめた。


「ティーマ、力を貸してくれ。復讐を果たすんだ。俺とアンタの力で、ヴァルハタを討ち倒す」


 スレイブは手を差し出した。

 今まで彼は、ティーマを一人の少女として見て、戦いの場から遠ざけようとしていた。

 しかし、彼はティーマの話を聞き届け、彼女を一人の団員として認めたのだ。


 ティーマもまた、その手を握り返すと、決意に満ちた表情を浮かべる。


「はい。きっと、必ず」


 今この瞬間、二人の関係は固く結ばれた。

 自らの隠していた想いを語り合い、わだかまりは吹き飛んだ。


 気づけば、雨が止んでいた。

 誰もが寝静まったこの夜の日。


 こうして、スレイブとティーマは、後にヴァルトゥナ王国を揺るがす、かけがえのない相棒となった。

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