異常性
レイの怪我はすっかり治り、激しい運動もこなせるようになっていたため、レイはベルに戦闘訓練を行っていた。
「グラァ、フッ」
「そんな攻撃は当たらんぞ、どうやったら相手に攻撃が当たるのかをしっかり考えろ」
ベルの大振りな攻撃は当たらずレイは水のように避けていく、当たっとしてもいなされダメージを与えられない、更にはベルが隙を晒せば手痛いカウンターが待っているため、ベルは苦戦していた。
それから約2時間ほど経ったあたりでの事だった、レイはベルに起こっている変化を敏感に感じ取った。
「(嘘でしょあり得ないわよ!?私の攻撃を完璧に模倣してくるなんて、しかもフェイントまで入れてくるなんて)」
「………」
もはやベルは掛け声さえ発さず、淡々と攻撃を行う、その攻撃は少しずつだが確実にレイに迫っていた。
「(これはやばいわ、ていうか成長速度が異常すぎるわよ!?、訓練始めてまだ3時間くらいしか経ってないわよね?私の方がレベル高いから避けれてるけど、もう戦闘技術だけなら私より強いし、どうなってるのよ!?)」
レイは戦闘についてはもう教える必要がないと感じ、次の訓練を行う事にした。
「はぁ、もう戦闘訓練は終わり」
「もう、いいのか?」
「えぇ、あなたに戦闘訓練はもうしなくていいわ」
「次はあなたに魔法を教えてあげるわ」
「まほう?」
「そう、こういうのよ」
レイは手のひらに白い炎を灯らせて、そう言ったのだった。
「うおぉ、なんだそれ?」
「今から教えてあげるわ」
「まずは魔法を使うには魔力っていうのが必要で、魔力っていうのは人によって量や属性が違うからあなたの魔力を調べるわよ」
レイは小さいポーチから少し大きめの透明色の水晶のようなものを取り出しベルの前に差し出す。
「これに手を置いて」
「大丈夫なのか?壊れないか?」
「大丈夫よ、10代強者の大賢者でもなきゃ割れやしないわよ」
ベルはそれに従い水晶の上に手を置いた、ベルが手を置いた瞬間、水晶が虹色に光った。
「嘘でしょ、全属性だなんて、、、」
レイは水晶を受け取りベルが全属性持ちである事に驚いていた。
この時レイは気づかなかったがベルの触った水晶にはひびが割れていた。