進化
気を失い眠っていたベルは目を覚まし、首を左右に振り辺りを見渡す。
「ここは、ドコだ？」
「あ、目を覚ましたか、おはようベル」
「おはよう？」
「目を覚ました時に言う言葉みたいなもんさ」
目を覚ましたベルは自身が前より流暢に言葉が喋れている事や身体が変化している事に気付きその疑問をレイにぶつける。
「そうか、おはよう、それにしても俺はどうなったんだ？」
「いわゆる進化ってやつさ」
「しんか？」
「そうだよ、まぁ要は強くなったって事さ」
「そうか」
その答えに納得したベルは、レイに対して抱いていた様々な疑問をこれまで押さえていた好奇心を解放したかのように質問する。
「レイは何者なんだ？なぜ、私は進化とやらをしたんだ？さっき頭に直接聞いた声は？高位の存在っていうのはレイの事か？」
「おぉう、まぁまぁ落ち着いてくれよ。」
「一つずつ答えるよ、まず私は人間の国の元勇者だよ、魔王を倒した後は国にとって大きな脅威になると考えられた私は殺されかけてここに来たんだ。」
「レイはそんなに強いのにどうしてやられそうになったんだ？人間達はそんなに強いのか？」
「それは、毒や罠にかけられてね弱っていた所を大勢に攻め込まれてね」
「そうか、人間は怖いな」
レイは悲しいような諦めたような様々な感情が入り混じった不思議な感覚に包まれながら目の前のゴブリンに目を向ける。
「そうだね、魔物のあんたでも私を助けてくれたってのに、、、」
「次に、あんたが聞いた声はきっと天の声だね世界からの意思表示と言われるもできっと私に名付けされたからだろうね」
「進化した理由だけど、魔物にとって名付けっていうのは世界への存在の証明、だから名付けられた存在の格によって自身の格が上がって進化したのよ」
今の説明だと俺が強くなったのはレイのおかげだが、レイはなぜ俺に名付けをしたんだ？
「なぜレイは俺に名付けを？」
「気まぐれだよ」
「最後に高位の存在っていうのは私の事ね、さっきも言ったとおり私は元勇者だからねこれでもこの大陸の10大強者の1人だったんだから」
「すごいのか？」
「そうね、何百万という人間の中で1番強い10人のうちの1人よ」
「それは凄まじいな」
「でしょ」
こうして私とレイは出会い、これからの生活を共に過ごしていく事になったのであった。
