壁を越えて
今まで彼は順調に成長し強くなり続け、思考力と理解力の他にも強い自我や情といった感情面の機能が豊かになっていっていた。
そんな彼だが、今は自身の成長に思い悩んでいる日々を送っていた。
自身の強さの水準が一定にまで達するとそれ以上の強さの向上を計れず、かなり限界をかんじていた。
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それからしばらく時が経ち、彼は彼の人生の中で1番の奇縁と言っても過言では無い、運命的な出会いを引き寄せるのである。
それは、彼が自身の成長に対して悩みを抱えながら過ごすこと、数週間ほど経ったときの事であろうか。
彼がいつも通りに広い空間に身を潜めていると衰弱した人間が訪れて来た、それは弱った弱者がやってくるという、いつも通りの光景のはずだった。
しかし、彼は衰弱しているはずの人間が醸し出す気配にだだならぬものを感じていた。
「ハァ、、、ハァ、、、、、」
荒い息を吐きながら空間の奥に進んでいく、歳は20代ほど、下手したら10代ほどだろうか、背丈は180cmほどあり、そのいでたちからして男であろう。
彼は、その男らしき者を見て今までに感じた事がないほど、濃密な死の恐怖を感じていた。
放っておけばじきに死にそうなほど衰弱している男らしき者からである、自身の感覚には自信をもっていたが、目の前の人間は死にかけているため自身の感覚を疑っていた。
このまま手をこまねいていても意味はないと思い、彼は自身が死ぬ覚悟を決め死にかけている男らしき者に近づく。
「……」
「……」
お互いが緊張感に張り詰め濃密な殺気か立ち込める中、彼は薬草と敵達から奪い取った液体状の薬を取り出してその男らしき者に渡す。
「………?」
「(どういうつもり?毒?いや、でも確かにこれは薬草と回復ポーション、いったい何を企んでいるの?)」
「コレ、ヤル、ケガ、ナオセ」
彼は長い間この空間の中にいたが、たまに入ってくる敵達の様子を観察していくうちに少しずつだが、喋る事はつたないが言葉を理解するようになっていっていたのだ。
そして今まで気付かなかったが、ここまで近づいてやっと気付く事ができた。
コイツは人間の女であった。
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こんにちは作者です。いやぁ、ヒロインちゃんを出しやした。可愛い子にしやげでやりやっせ!ぐっへっへw