気づき
生まれ落ちてから数日が経った、あれから彼とその同族達は、何も起こらず安全な広い空間で平和な日々を過ごしていた。
あいも変わらず、空間を駆け回ったり、棍棒を振り回したりなどをしてそれぞれが自由に過ごしている、そうして好き勝手にお互いが生きていれば必ず衝突もあるわけだが、そこはやはり争いで解決をする場面が出てくる。
そして、彼はそんな中で生き抜くための方法を思考し模索していた。やはり考えれば考えるほど酷く痛む頭痛と共に出した最適解は、争いに加わらずに傍観する事であった。
そう、まずは様子を見るという答えを出すだけでもここまで苦労をしている、だが脆弱な彼らの脳からこの答えが出ただけでもあり得ない事なのだ、そもそも思考するという行為を行なっただけで驚き、賞賛するに値する。
他の同族達が空間内で暴れ回っている中で、彼は1人で様子を見ている。
そうしている間にその出来事は起きた、初まりは一匹の同族の死、ソレを引き金に次々に死んでいく同族達。
一瞬にして彼以外はほぼ全てが全滅していた。
彼は心の底から、まるで魂でも揺さぶられているかのような生きた心地はしない。
身近に感じる死の恐怖に恐れ慄きながらも自身は死ななかった事に少なくない安堵が彼を襲っていた。
彼はそんな生活を送りながら、考えるほど痛む頭をフルで使い、より長く生き残るためにより強くなって敵にやらないようにするための策を求めて思考を続けるのであった。