表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
炸裂☆モンティー学園  作者: Tsuyoshi&松山亮太
第一話『虎寅虎』
6/10

#6

 気を取り直して、力は教壇に立ち、出席名簿を開いて点呼を取る。


「・・・・・・ウホン、これからホームルームと言いたいところだが、そこのバカチンのせいで時間が無くなった。早速一時間目の授業を始める」


 力が教壇の下からダンボールを取り出す。


「今日は算数のおさらいをするぞ」


 ダンボールの中からリンゴを二つ取り出す力。それを生徒の前に見せる。


「まずは引き算からだ。引き算は食べる事だ。二つのリンゴのうち一つを食べると・・・・・・」


 力はリンゴを丸かじりして、良い音を立てながら食べている。生徒やモンチー達は唾を飲みながら、力の様子を凝視している。力がリンゴを一つ食べ終わる。


「この通り、リンゴは一つになる。これが引き算だ。そして次は足し算だ。足し算は・・・・・・」


 力は再びダンボールからリンゴを一つ取り出す。


「おかわりする事だ」


 力が真面目な顔で生徒達に取り出したリンゴを突き出す。モンチー達も真面目にノートに力の授業内容を書き写している。その間に力が黒板に足し算と引き算が合わさった問題を書く。


「じゃあ、この問題出来る奴、手を挙げろ」


 力が問題を書き終わると生徒達の方に向き直す。その中で二人のモンチーが勢いよく手を挙げる。モヒカンとロン毛だ。


「センセー、オレ分かるよ!」

「は? お前絶対分かってねぇだろ!」

「んだコラ、やんのか!」


 二人は手を挙げたまま睨み合う。


「喧嘩はやめんか。そんなに自信があるなら、モヒカン、ロン毛、お前ら前に出てやってみろ」


 力がモヒカンとロン毛を指名し、二匹が黒板の前に立つ。問題は六引く三足す一だ。二匹は両手の指を折って、計算している。


「出来たぜ、センセー! 答えは三だ!」

「バッカじゃねぇの! 答えは二だよ!」


 モヒカンとロン毛が自信有り気に答えを書く。力が二匹の答えをチラッと一瞥(いちべつ)すると、


「どっちも違ぁぁぁぁぁぁう!」


 と力が二匹の額に強烈なデコピンをする。吹き飛ばされて額を押さえるモヒカンとロン毛。


「デ、デコが砕けるぅぅううううう‼」


 床で悶絶しながら転がる二匹を尻目に、力は先程のリンゴを使った説明をして答えを出す。


「・・・・・・それから一つおかわりして、答えは四だ。なんか質問あるか?」


 力の呼びかけに手を挙げる生徒がいた。力がその生徒を指名する。


「力先生! 割り算を教えて下さい!」

「おぉ、お前は勉強熱心だな。良いだろう、教えてやろう」


 力はダンボールからバナナを一本取り出す。


「割り算はな、こうやって・・・・・・」

 

 ポキッとバナナを真っ二つに折って、片方を前に突き出してみせた。


「これが二分の一だ。二つ合わせたら、ホレ、元の一本だろう?」


 力が折ったバナナの上にもう半分のバナナを乗せると、元のバナナの姿になる。それを見た生徒達が驚嘆(きょうたん)の声をあげる。そんな中、先程とは別の生徒が手を挙げる。


「先生、掛け算も教えて下さい!」


 力が手に持ったバナナとダンボールを交互に見つめる。


「うるさぁぁぁぁぁぁい‼ また今度な、今度‼」


 良い例えが出てこなかったのか、力は大声を張り上げて誤魔化した。彼はチャイムが鳴る少し前に、ダンボールを持って教室を出て行った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ