#5
関係の無い周りのモンチーや生徒達も彼に注目しているうちに、何をしているのか何となく察した様子だった。
「まぁ、見てろや。お、お前ら、力先生来たぞ!」
「やべやべ!」
モミアゲが教室のモンチー達に力が来た事を知らせる。慌てて自分の席に戻る生徒達。鼻歌混じりの力が近づいて来る。入口の仕掛けに注目して笑いを堪えるモンチー達。引き戸に手を掛けて勢いよく戸を開ける力。
その瞬間、ボフッと音を立てて力の頭に黒板消しが直撃し、モクモクと白煙を立てた。その光景に噴き出す教室のモンチー達。真面目な生徒達は気まずそうに視線を逸らしている。
「誰じゃあぁぁぁぁ! こんなくだらん悪戯をした奴はぁぁぁぁぁぁ!」
激昂した力が毛を逆立てて、笑っているモンチーに片っ端から、
「お前かー⁉ お前か⁉ それともお前かぁぁぁ‼」
出席名簿の角で頭を叩いていく。
「あああああ‼ 頭が割れるーーーー‼」
「イデェェェェェェ‼ オ、オレじゃねぇッスよぉ!」
頭を押さえて悶絶するモンチー達。
「犯人は誰だぁぁぁぁぁ⁉」
力が胸をドラミングし始める。その際に力は、自分が怒り狂う光景と無関係のモンチー達が悶絶するのを見てゲラゲラ笑い転げるモミアゲに気付く。
「お前だな、モミアゲーーーー‼」
力は両手で彼のモフモフのもみあげを掴み、
「もみあげフラーーーッシュ‼」
そのまま両腕を思い切り上げ、モミアゲを持ち上げる。彼の両足は完全に宙に浮かんでいる。
「ああああああああっ‼ 抜ける‼ 抜ける‼ イダダダダダダダあっだだだだあ‼」
主犯のモミアゲは自分のもみあげを庇うように力の両手を掴むが、想像を絶する痛みに涙と鼻水と涎を垂らして懺悔する。