#4
オスとメスの若いニホンザル達がド派手な髪型と学生服でモンティー学園に登校していた。所謂ヤンキーのような恰好で、通称『モンチー』と呼ばれている。中には真面目そうな見た目の猿もいるが、全校生徒の三割程しかいないようだ。
そんな生徒達を校長室から、オランウータンが優しい眼差しで眺めていた。校長の机の上には『七音校長』というネームプレートが置かれている。そして机の後ろにはガラスケースがあり、その中に古いボロボロの赤いランドセルが厳重に展示されていた。
「あら? ウフフフ、青春ね」
彼女が見つめる先ではオスのモンチーとオス犬が、七色の綺麗な尾羽を持った雄クジャクを取り合って睨み合いをしているようだった。
「なんだコラ、テメェ。やんのか? お?」
「オレの可愛い子ちゃんに手ェ出すんじゃねぇよ」
「やだぁ、アタシを巡って争わないで~!」
雄クジャクは尾羽を広げて二匹の争いにあたふたとしていた。そこに遠くから凄い勢いで近づいて来るドラミングの音。
「ゴルアァァァァ! お前ら何しとるんじゃあぁぁぁぁぁぁぁ‼」
スーツ姿でサングラスを着けたダンディーなゴリラが、激しく胸を叩きながら喧嘩をしている二匹に迫っていた。
「やっべ! 力先生だ!」
「逃げろ!」
力の接近に慌てて散るモンチーとオス犬。取り残された雄クジャクはどうしたらいいのか分からずキョロキョロしていたが、
「お前も自分とこの学校に戻らんかー‼」
という力の牙を剥き出した迫力満点の怒号に震駭し、羽根を撒き散らして逃げ去って行った。
朝の教室ではモンチー達が騒いでいた。特に、モヒカン頭とツンツン頭、ロン毛のモンチーが一際うるさい。
「モヒカン、オメェの髪型イカシてんなぁ」
「だろ~? つーか、オメェもなかなか良い逆立ちじゃねぇか、ツンツン」
「オレも逆立てようかなぁ」
「おい、ロン毛。やめろや~、オレとキャラ被るだろうが。つーかさっきからモミアゲ何してんの?」
ツンツンが教室の入り口で何かやっているモミアゲがモフモフになっているモンチーに声を掛ける。モミアゲは引き戸を僅かに開けて、戸に何か挟んでいるようだった。