#3
また仲間を探しに、そう思い、オランウータンは次にどちらに行こうかと周囲を眺める。見回した先の灰色の世界にポツンと一つ、小さな赤色があった。オランウータンがその赤い何かに近づくと、それはランドセルだった。瓦礫の隙間から色を放っていたのだ。
ランドセルを手に取ると、何かが中に入っている。表面の砂汚れを払い、ランドセルを破ってしまわないように、慎重に下部の留め具を外す。逆さまに持っていたせいで、蓋が外れたランドセルから、バサバサとノートや教科書が数冊落ちていった。
オランウータンが算数の教科書を手に取る。ゴリラ達もオランウータンの行動に興味津々のようで、じっと見つめている。オランウータンが教科書を開く。そこには足し算や引き算、掛け算に割り算が書かれていた。ゴリラ達も後ろから教科書を覗き込むが、何が書いてあるのかさっぱり分からない。
しかし、オランウータンにはなんとか理解出来るらしい。身体をブルブルと震わせていた。この荒廃した世界の再生、それを決意したかのようにオランウータンが両手で教科書を天高く掲げた。天使の梯子が後光の如く降り注いだ。
それから数十年後・・・・・・そこには『モンティー学園』が設立され、猿達の社会が出来ていた。荒廃した世界はそこになく、緑と新旧の文明が入り混じる世となり、知能を持った動物達の楽園が広がっていた。