#10
メンバーの背後のスクリーンに大草原の映像が流れる。
大きな白い鳥が羽ばたいて草原を渡る。
虎は死して皮を 残すって言うじゃない
力が人差し指を口の前で横に振る。モンチー達もキメ顔をカメラに向ける。
命尽きるまで生きて 生き抜いて
この時代のベールを 駆け抜けようじゃないか
さあ、虎の翼を以て
明るい秩序を築こうぜ!
はい‼
白い鳥が羽根を散らしてその一枚がスクリーンいっぱいにアップで映り、羽根が画面下にフェードアウトする。そこには二頭の虎が雄叫びを上げていた。
虎寅虎 トラトラトラ とらとら音頭だ
YEAR――――‼
虎寅虎 トラトラトラ とらとら音頭だ
YEAR――――‼
虎寅虎 トラトラトラ とらとら音頭だ
YEAR――――‼
力が渋く伸びのあるセクシーな歌声を存分に放ち、それに合わるように両手を軽く広げた。後ろのスクリーンでは先程とは別の虎がゴロゴロと横に転がり、大きな欠伸をしている。
「Thank You!」
力がカメラに背を向け、右手を真横に一直線に伸ばす。力の動きに合わせて、ドラムのシンバルが曲を締めた。
学園中で拍手や指笛、喝采が巻き起こる。その音は校長室の七音の耳にまで届いていた。七音もテレビの放送を見ながら、両手で湯呑を持って茶をすする。
「今日も平和ねぇ・・・・・・あら、茶柱」
七音は柔らかく目を細めて湯呑の中を見つめていた。
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