第八話
いや、エロフィギュアや薄い本の事は一旦横に置いておいたとしてもだ、僕は暫くはこの身体で生活して今僕に降りかかっている問題を解決しなければならないのだから、「僕」の事をもっとよく知る事はとても大切な事だと胸を張って言える
という訳で捜索を再開
引き出しに入っていたのはパスポートとパスケースにはスイカと会社の身分証と健康保険証、それから0.01mmと書かれた極薄コンドームの箱、、まあ大人だからこう言うのも必要なのだろう、、知らんけど
それからクローゼットの隅には旅行用のキャリーバッグが二つ、一個は空で、一個にはダイヤル式の鍵が掛かっている、そう言えばタブレットのホーム画面の壁紙の「遺書」に関係ありそうな数字の羅列=暗証番号っぽいものがいくつか書かれていたのを思い出して
試してみると一発で開いた、そして驚いた
中から出てきたのはラップで包まれた、札束?! 一束で幾らの金額になるのだろうか紙の帯で綴じられた札束が、、いち、に、さん、、、、、、、、、165束!
偽物か?一つ手に取って観察してみるが、どこからどう見ても本物のピン札!パラパラと数えてみると一束=百万円!らしい、もしもこれが本物だとすると、合計で、、、1億6500万円????
本物だとしたら、だ、そしてなんでこの人(僕)はこんな大金を無造作にキャリーバッグの中に詰め込んで隠しておいたんだ?もしかして僕は銀行強盗なのか?
と、変な喉の渇きに唇がバキバキになりながら、僕は札束に紛れていた一冊の冊子を見つけ出す
「【その日】から読む本」と書かれたその小冊子をめくってみると、、、
〜〜〜
・第一部「今すぐやっておきたいこと、やってはいけないこと」
・受け取った当せん金は、とりあえず安全な場所へ、、、
〜〜〜
どうやらこれは宝くじが当たった時に配られる冊子らしい、と言う事はこの札束は本物
「1億6千万、、、」
こんな大金の現生をこの目で実際に見る事はこの先一生かかってももう二度とないだろう、って、いや、ちょっと待て、これは僕のお金なのか? いや、これはあくまでも「東郷忠良」さんのお金であって「轟木哲也」のお金ではない、そこを間違えるな!
僕は、余計な事を考え始めない様に、震える手で札束をキャリーケースの中に戻して、鍵を閉める
いや、でも当座の活動資金は必要かも、、