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第7話 妹『たち』は話し合いをする

本当の妹エリの天然が炸裂します

-女魔王ステラ(双子の妹エリ)視点-


唇に柔らかい感触。


アタシ、なんでコイツにキスなんかしてるのよ!


ほっぺたなだけまだマシだけど!


べ、別にキスなんて初めてじゃないんだからね。


魔王の時は侵略に忙しかったから経験なかったけど、追体験中にはキスどころかもっとすごいことまで体験させられた(・・・・・)のよ!


とりあえず離れるわよ。


「ねえ、キスするの嫌だった?」

「当たり前だろ、恥ずかしい」


あら、嫌なのね。


「ふうん(にやり)」

「そ、その笑い方、まさか?」


ぎゅっ


アタシはアニキに抱きつく。


「や、やめろ」

「だーめ」


ちゅ


今度は反対側の頬にキスしてやったわ。



-双子の兄アム(勇者アム)視点-


エリにキスされた。


小さいころから、俺の頬にキスすることが多かったエリ。


俺も幼かったから、それを受け入れていたけど、さすがに天啓の儀式が終わってからは恥ずかしいことだなって思い始めた。


エリもそうだったらしく、儀式以降は全然キスしてこなくなった。


でも、幼児退行したせいで、キス魔に戻ったみたいだ。


頬ならキスされても大したこと無いけどさ、人前ではやめてほしいな。


ん?

あれ?


何だか、エリの雰囲気が変わってる?


ドキドキ


何で俺の鼓動が速くなっているんだ?


ちゅ


同じような頬へのキスなのに、どうして今度はこんなにドキドキするんだ?!


「や、や、や、やめて!」

「ふふっ」


ちゅ、ちゅっ


「ほら、お父さんたちが」


見ると、扉から出ていく両親の姿があった。


笑顔で手を振って扉を閉めたお母さん。


「二人きりにしてくれるなんて、気が利くのね」

「いや、それは親としておかしいって!」


おかしい。

エリの雰囲気がいつものエリだ。


幼児退行してるエリじゃない。


だからこんなにもドキドキしてしまうんだ。


「なあ、エリ。記憶の混乱治ったのか?」

「え?記憶の混乱?」



-女魔王ステラ(双子の妹エリ)視点-


真っ赤になって嫌がっているわね。


お母さんたちも居なくなったし、この辺にしようかしら。


「なあ、エリ。記憶の混乱治ったのか?」

「え?記憶の混乱?」


そういえば、朝からアタシじゃなくて、この子(・・・)が体を動かしていたわ。


どうしてそうなったのかしら?


「もう大丈夫なんだな。良かった」


なでなでなでなで


もう!頭なんかなでないでよ!

小さい子じゃあるまいし!


あれ?

な、何だか気分が悪く、

悪く、

悪くない?


じゃなくて、

あれ?

どうして?


意識が…



-双子の妹エリ(女魔王ステラ)視点-


あれえ?

何だかぼうっとしていたみたい。



えっと、アムお兄様になでられて、胸がきゅっとなってきたから、いつもみたいにほっぺにキスしたの。


そしたら、んーと。


ぼうっとなって、わたしじゃない人が出て来て、わたしの体を動かしてたの。


あの人は誰なのかな?


「良かったな、記憶の混乱が治って」

「んー?そうなの?ねえ、アムお兄様。何だか、わたし、おかしいの」

「えっ?あれ?また幼児退行してる?」


(ちょっと!)


ん?


(ちょっと、アンタ!)


あれ?何か聞こえる。


(もー!こっちへ来いっ)


え、あ?


意識が…。



-双子の兄アム(勇者アム)視点-


わけがわからないことばかりだ。


いつものエリに戻ったと思ったら、また幼児退行した


これ、今はどっちだよ?


「あ…」


エリの目が急に虚ろになって、膝から崩れ落ちる。


「エリ!」


俺はエリを慌てて抱き止める。


お父さんとお母さんに相談しないと!


とりあえず、エリはリビングのソファーに寝かせておいてと。


お父さんたちを探そうとリビングの扉を開けると、ハラハラと紙が落ちてきた。


『お父さんと夕方まで外出するわね。久しぶりに二人で仲良くしてていいわよ。うーんと仲良くしててね。でも兄としてきちんと責任は取るのよ!』


お父さん!お母さん!


それは親としてどうなんですかっ!



とりあえず今日が休日で良かったな。

風邪とか引くと、いつも一緒に休むことになっていたものな。

それで、もう一人にうつってさらに休むのがパターンだったけど。


とりあえず側で起きるのを待とう。



-女魔王ステラ(双子の妹エリ)視点-


あれ?


何だか周りがぼんやりしているわ。


さっきもそうだったわね。


これって、この子エリが目覚めるとそうなるのよね。


また主導権があっちに行ったってこと?


でも、思ったよりアタシの意識ははっきりしているわ。


とりあえず、主導権を奪われた理由を考えてみるわよ。


新しいことから順に遡ると…


まず、頭をなでられた時よね。

それで、アタシの意識が飛んで、この子エリになった。


その前はこの子エリがキスをしていたら、アタシの意識が戻った。


一番最初は、どうだったのかしら?


朝起きたらこの子エリが主導権を握っていたのよね。


原因は寝ている時?


アニキに撫でられたとか、キスされたとか…アニキからアタシにキスするはずは無いわね。


アタシだって、するはずがないし。


そう言えば…夕べ寝るときに。



『エリ、おやすみ』

『アニキ、おやすみ』


いつもみたいに、背中を向け合って寝ていたのよ。


抱きつくとアニキが嫌がるから楽しいんだけど、できれば人前でやりたいのよね。

アニキの恥ずかしさが倍増して一石二鳥だもの。



『んー、本当にエリはえらいな』


そう、寝言を言っていたわ。

きっと、昔の夢を見ているのね。


たまにあるけど、まあ気にはしていなかったわ。


そのまま寝ようと思ったら、


『エリはいい子だな。よしよし』


なでなで


それだわーっ!


アニキ、夜にアタシの頭を撫でてるわ!



これはかなり可能性が高いわよ。


だって、天啓の儀式でアタシの記憶が戻ってから、今まで一度も頭を撫でられるってなかったもの。


でも、そんなことくらいで意識って切り替わるの?



あーっ、もう!


ひとりで・・・・考えていても埒があかないわ!



ちょっと!


(ん?)


ちょっと、アンタ!


(あれ?何か聞こえる)


もー!こっちへ来いっ!


(え、あ?)


「えいっ!…ええっ?!」


目の前に現れたのは今よりずっと幼い姿の、10歳くらいのエリ。


そして、アタシは魔王の頃の姿。


何これ、どうして急にお互いの姿が見えるようになったのよ。

それも、アタシは魔王で大人だし。


「うわっ、す、すごい美人さんだ」


エリも目を丸くしているわ。


「初めましてかしら?アタシは魔王ステラ。あなたの同居人よ」




-双子の妹エリ(女魔王ステラ)視点-


頭の中で呼ばれた気がして、意識が遠くなって、気が付いたらここ・・に居た。


何もない真っ暗な空間に、わたしと誰かが居る。

真っ暗なのに、お互いが浮かび上がっているように良く見える。


何このものすごい美人さん!


「初めましてかしら?アタシは魔王ステラ。あなたの同居人よ」


同居人?


「は、初めまして。あ、あの、わたしはエリです」


ここはどこなんだろ。

同居人って、うちはお父様とお母様とアムお兄様とわたしだけよね。


「もしかして、ステラってペット?」

「アタシはポチじゃないわよっ!はあはあ、嫌なことを思い出したわ」


『ポチ』ってなんだろ?

そう言えばお兄様が犬を飼ったら『ポチ』って名前を付けるって言ってたわ。


「とにかく、説明するわね。アタシはアンタの体に一緒に住んでいるの」

「ん?えっと」


それってもしかして…


「さなだむしとか?」

「違うっ!」



-女魔王ステラ(双子の妹エリ)視点-


とりあえず説明しないと話が進まないわ。


「とにかく、説明するわね。アタシはアンタの体に一緒に住んでいるの」

「ん?えっと」


もう少し詳しく説明しないと駄目みたいね。


「さなだむしとか?」

「違うっ!」


アタシは寄生虫か!


「アタシは前世で魔王だったのよ!それがアンタのアニキのせいで転生させられて、ここに居るワケ!」

「魔王?アムお兄様のせいで?」


もうっ!


隠したいことは隠すとして、とにかく1から全部説明するわよ!







「つまり、勇者だったアムお兄様とステラお姉様が戦って、勝ったアムお兄様とステラお姉様が転生して人生をやり直すことになったけど、手違いでステラお姉様がわたしの体に入ったってことね」


理解してもらえてうれしいけど、ステラお姉様?

おばさんって言われるよりはいいけど。


「でも、どうして元の自分たちに転生しようとしたの?」


うっ!

それは一番言いたくないところよ。


「それは、お互いに人生をやり直して、今度こそ平和な世界を作ろう!死んでしまうはずだった人を救おう!ってことなのよ!」

「そうなんですか!それで、プルナも助けてあげたんですね!」


そんなキラキラした瞳で見てくるんじゃないわよ。

善意でやったんじゃないのよ。


アタシが二度もあんな思いを・・・・・・・・・したくない・・・・・から、やっただけなのよ。


「そっかあ。だから天啓の儀で『魔王で聖女』って言われたのね」


え?魔王で聖女?


「『黒曜の聖女』なんてまさにぴったりの名前ですよね!ステラお姉様ってすごいネーミングセンスなの!」


儀式で意識が飛んだ時、お告げにまだ続きがあったのね。


そっか。じゃあ、アタシは聖女としてのスキルも使えるんだ。


ふふふ。

これは色々面白いことができそうだわ。


アイツに復讐する手段が増えたってことだもの。



-双子の妹エリ(女魔王ステラ)視点-


すごいすごい!


こんな超美人な魔王のお姉様がわたしの中に居るって!


それなら魔王としての力も使えるから、アムお兄様と冒険にも出たらいっぱい役立てるの!


あれ?魔王としての力?


「もしかして、わたしの病気を治してくれたのって、ステラお姉様?」

「アタシの魔王の力よ。あの病気、実際は呪いだったけど強力過ぎて解呪できないから、ちょっといじってやったのよ」


ふんふん。

そこをそうやって、

ええーっ!


そんなことできるの!


それでアムお兄様と離れられなくなったのね。


病気は治るし、アムお兄様とずっと一緒なんて最高!


「ありがとうございます!」

「ふんっ!アタシは自分の復讐のためにやっているだけなんだからな!」

「ふくしゅう?あっ!アムお兄様成分の補充とかですね!」

「は?」



-女魔王ステラ(双子の妹エリ)視点-


コイツ、何嬉しそうな顔しているのよ。


「ありがとうございます!」


別に善意じゃないわよ。

アタシ自身の為よ。


「ふんっ!アタシは自分の復讐のためにやっているだけなんだからな!」

「ふくしゅう?あっ!アムお兄様成分の補充とかですね!」

「は?」


何よそれ?


「『服臭ふくしゅう』ですよ!アムお兄様が脱いだ服のにおいを嗅ぐと、幸せな気分になりません?」


ならないわよっ!


「そうじゃなくて…」


待って。

もし『復讐』って言ったらどうなるかしら?

きっと邪魔をしてくるわね。


これからも主導権が入れ替わることがあるかもしれないから、うまくだまして、逆にアタシの手駒にしてやるわ!

お読みいただきありがとうございます。

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