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第6話 妹エリの幼児退行

本当の妹が登場します

-双子の妹エリ(女魔王ステラ)視点-


ん?


最近おかしいな。


わたし・・・は毎日をぼうっと過ごしてる。

まるで誰かに体を動かして・・・・・・・・・もらっている・・・・・・みたい。


記憶も結構あいまいだ。


病気のせいかな。


えっと、そういえば病気は治ったんだっけ。


違う。


治らなくて、えっと、わたしが何とかしたのよね。


それで、アムお兄様と、いつもくっついてしまうようになったんだ。


だから、今朝も横にアムお兄様が寝ている。


アムお兄様は中等部の試験に向けてすごくがんばっているから、わたしも頑張らないと。


聖女・・として、能力を磨かないと。



『天啓の儀式』の時、こうお告げがあった。


『汝、魔王なり。そして聖女なり・・・・・・・


それから意識が遠のいて、ずっと、ぼうっとした感じで毎日を過ごしていたけど。


魔王ってなんだろ?と思っていたら、わたしは『黒曜の聖女』で、光と闇の魔法を使えるみたい。


つまり『魔王の力も持った聖女=黒曜の聖女』なのね!


わたしってばすごい!


今朝は不思議と頭がすっごくはっきりしている。

周りがいつもみたいに第三者的に眺めているんじゃなくて、自分で見ているって気がする。


なんだろ?

まさか今までのは夢ってことは無いよね?


それだったら、アムお兄様と一緒に寝ているはずなんてないし。


「ふああ。あ、おはよう、エリ。もう起きていたのか」


アムお兄様が目を覚ましたみたい。


「うん。おはよう、アムお兄様!」

「え?お兄様?」


あれ?何か変かな?


「エリ、いつもアニキって呼んでいなかったか?」


そうだった気もする。


そうだ。


儀式の後、アムお兄様が「俺」って言うから、わたしも「アタシ」って言うことにして、「アムお兄様」を「アニキ」って呼ぶことにしたんだっけ。


でも、うん。

たまには、いいよね。


「今日は学校休みだよね」

「ああ」

「じゃあね、久しぶりに今日一日、アムお兄様って呼びたいの」

「う、うん。俺は構わないぞ」


えへ。やったあ。



-双子の兄アム(勇者アム)視点-


アムお兄様だって?


それに、エリの表情がいつもと違う。


いつもは何か、含むところがあるっていうか、


『ふうん、そうなの(にやり)』


みたいな感じで。


今のエリはもっと素直で、そう、天啓の儀式の前のエリみたいだ。


とりあえず起きて着替えよう。


俺はベッドから起きて、いつもの位置でベッドに背を向けて着替える。


そして着替え終わると、エリも着替え終わっているので


「んしょ、んしょ」


着替え終わってないーっ!


いかん、パジャマの上を脱いでいるところだった。

下は脱いだ後だった。


今日は『ねこさん』じゃなくて『ぶたさん』か。

とりあえず、もう一度後ろを向こう。


「んーっ!んーっ!」


ん?この声はまさか?

パジャマから頭が抜けない?


「アムお兄様、脱ぐの手伝って」


やっぱりか!

幼児退行してるじゃないか。


「まったく、仕方ないなあ」


手伝ってパジャマを脱がせる。


寝る時はブラ付けてないから丸見えだけど、今日のエリは子供っぽくて裸を見てもドキドキしないぞ。


「シャツも着せて」

「シャツくらいは自分で着られるだろ?」

「はーい」


タンスにシャツを出しに行くエリ。

何だか可愛いな。


「あっ!わたしの棚にブラがある!」


ぶっ!



-双子の妹エリ(女魔王ステラ)視点-


えへへ。

久しぶりな感じで、シャツがうまく脱げなかったな。


新しいシャツ、シャツ、あれ?


「あっ!わたしの棚にブラがある!」


誰の?わたしの?


えっと。


むに

むにむに

むにむにむに


「アムお兄様」

「な、なんだ?」


わたしは後ろを向いているアムお兄様の前に回り込んだ。


「ほら!わたし、いつの間にかこんなに胸が大きくなったの!」

「うわーーっ!」


すごい勢いで後ろを向くアムお兄様。


「ブラって、どう付けるのかな?ねえ、アムお兄様」

「俺は部屋の外で待ってるからな!」


ちぇっ、けち。


まあ、これはかぶるだけのブラってわかるけどね。


んふふふ。

いつの間にこんなに育ったのですか、わたしのむねちゃん。


ん?

えっと、今、わたし何歳?


中等部入るのよね。

社会見学もしていたから12歳。


でも記憶がすごく薄いというか、何だろ?


そのくせ、どうしてプルナが冒険者になりたいとか、両親が爆発事故で死んだこととかを知っているんだろ?


あれ?そういえば死んでないよね?

爆発前にアムお兄様が助けたんだよね。


記憶の混乱って、病気が治った副作用かな?


そういえば天啓の儀式のあとで何か誓ったよね。


アムお兄様に『ふくしゅうする3つの誓い』とか。


そんなんだったよね。


復讐じゃないよね。

アムお兄様のこと大好きだもん。


あっ、アムお兄様の服が脱ぎ捨ててある。

また、わたしが畳んであげないと。


すんすん


あー、アムお兄様のかおりー。


すんすんすんすん


あー。落ち着くー。


そうか!きっとさっきの『ふくしゅうする3つの誓い』の1つは『服臭ふくしゅう』ね!

『アムお兄様の服臭ふくしゅうでアムお兄様成分をゲットする!』

だよ!


あと2つの誓いはそのうち思い出すかな?



-双子の兄アム(勇者アム)視点-


エリの着替え、遅いなあ。


手伝いがやっぱりいるのかな?

というか、ブラなんてとっくに付けていたはずなのに。


記憶が儀式前に退行した?

まさか呪いの副作用か?


「なあ、エリ」


ドア越しに声をかける。


「着替え終わったから、行くね」


何だ、終わっていたのか。

そしてドアを開けた俺は凍りついた。


「どうしたの、アムお兄様?」


その服は10歳の時のだぞ!


ブラウスはぱっつんぱっつん。

スカートは短くて下着が見えかけ。


「何だか、服がきついの」

「2年前の服なら当然だよ!」

「わたしのお気に入りの服、なぜかすぐ出せる棚じゃなくてクローゼットに入ってるのよ?どうして?」


どういうこと?


「なあ、今日って何年の何月何日だ?」

「えっと…えっと…いつ?」


やっぱりか!




エリをお母さんの所に連れて行く。


「エリの記憶がおかしいですって?」

「幼児退行っぽいと言うか…」

「アムお兄様!エリは子供じゃないからっ!」


そういう意味じゃなくてだな。


「でもね、お母様。わたし何だか天啓の儀式以降は、毎日何をしていたかあんまり覚えていないの」

「あの儀式以来、のほほんとしていた二人が急にしっかり者になったと思って、お父さんと二人で喜んでいたのだけどねえ」


俺ものほほん仲間だったのか。

ちょっとショック。


「もしかして守護神が…ううん、ちょっと早すぎるわね」

「守護神?」


聞いたことあるけど、なんだっけ?



-双子の妹エリ(女魔王ステラ)視点-


ぶー。

エリは『のほほん』なんかじゃないもん!


「もしかして守護神が…ううん、ちょっと早すぎるわね」

「守護神?」


あっ、知ってる!


「守護神って、神様か女神さまが契約してくれて、わたしたちを守ってくれるのよね」

「よく知っているわね、エリ」

「エリ、すごいな」


えへへ、褒められちゃった。


「それでそれで、守護神や守護女神の契約は儀式で行う場合と、神の居るところで契約するのと、いきなり神が降りてきて契約するのとかあるのよね」

「ん?」

「え?」


ふふっ、わたしって何だかこのこと良く知っているの。


「例えば、お父さんは炎を司る神マグメルト、お母さんは海を司る女神メシュル」

「ちょ、ちょっと!」

「それで、隣の家のゲルム兄さんは力の神エシュダルト。そんなふうに神様が」

「ちょっと待ちなさい!エリ!」


ん?

お母さんが何か難しい顔をしているの。


間違っていたのかな?


「エリ。守護神とか守護女神が誰かって言うのは、あんまり他の人に教えないのよ。私たちのだってまだあなたたちに教えていないはずだわ」

「お父さんとお母さんが話しているのをエリが聞いたんじゃないの?」

「アムの言う通りかもしれないけど、契約の方法とかも詳しすぎるわよ。初等部の学校では習わないでしょう?」

「ただいま!ん?どうした?」


そこにお父様が帰ってきたの。


「みんな何難しい顔をしているんだ?それなら、ちょっといい話をするか!実はな、隣のゲルムがまだ14歳なのに守護神の契約ができたらしいぞ!」

「「え?」」



-双子の兄アム(勇者アム)視点-


お父さんが帰ってきた。


冒険者は引退して、今はギルドで指導する仕事をしているんだ。

朝帰りなのは野営の実習っだったらしい。


「みんな何難しい顔をしているんだ?それなら、ちょっといい話をするか!実はな、隣のゲルムがまだ14歳なのに守護神の契約ができたらしいぞ!」

「「え?」」


ちょっと、それって?


「お父さん、それっていつ?」

「ん?帰ってきたときに、そこでゲルムの父親から聞いたぞ。今朝の話で、すごく嬉しそうだったな」


どういうこと?


「あなた、実はね」


かくかくしかじか

まるまるうまうま


「エリが俺たちの守護神を知っているだけじゃなくて、ゲルムの守護神の名前まで言ったって?」

「そうなのよ」

「ありえんぞ。ちょっと隣で聞いてくる」




10分後



「確かに、力の神エシュダルトと契約したそうだ。今朝早くに自分の部屋に神が降臨して契約したそうだ」

「エリ、まさかお隣には行ってないわよね?」

「俺の横で寝ていたはずだよ」


そもそもエリ1人で隣の家まで移動しようとしたら、引き戻されるか、俺がそっちへ行ってしまう。


「うーん。予知能力にしては妙だな。すると、古今東西の知識的な?」

「あなた、もしかして『全知』の神が降臨する前兆かも」

「それはすごい!」


何を言ってるかわからなくなってきたよ。


「お父さん、お母さん、もう少しわかるように話してもらえる?」

「アム、『最高神は1柱にして2面あり』と言ってな」

「もう、あなたの説明はわかりにくいのよ。つまりね、最高神は全知全能とされているけど、『あらゆる知識を司る全知』と『あらゆる能力を司る全能』は最高神の二面性として考えられていて、別々の神と考えられているの」


そうなんだ。

それがどうしてエリと関係あるんだ?


「話したはずのない過去のことを知っていて、起きるはずの未来のことまで知っていた。智慧の神でも知識の神でも、起きるはずのことまでは正確に予測できないわ」

「でも、智慧の神も高位の存在なら、ある程度予測できるだろ?」

「あなた、そういう智慧の神は幅広い知識を伴っていないわよ」

「あっ、そうか」


また話が難しくなってきた。



-双子の妹エリ(女魔王ステラ)視点-


アムお兄様が頭を抱えているわ。

わたしが助けないと!


「だからね、アムお兄様。エリがさっき言ったことが、現在過去未来なんでも知っている『全知』の力に似ているから、その神様と契約する前兆かもって話」

「う、うん。それなら良くわかる」


えへへ。


「ん?どうした?頭を出して?」

「ごほうび」

「もう」


なでなでなで


「んふふふふ」

「なあ、こんなエリが何でこんなに契約のこと詳しいんだ?」

「記憶が飛び飛びなのは、きっと全知の神の影響で、ちょっと混乱しているのかも」


お父様とお母様が何か言ってるけど、もっと撫でて。


もっと、もっと、もっと


「ふふっ、アムお兄様」

「ん?」

「大好きっ!」


わたしはアムお兄様の首に抱き着いてほっぺにキスをしたの。


初めてじゃないわよ。


だって、小さい時からこうやって、時々していたもの。


本当は口がいいんだけど、それは大切な時のために…ね。


あれ…あら?


え…周りが、かすんで…


あ…意識が…



-女魔王ステラ(双子の妹エリ)視点-


ん?


な、なんでアタシがコイツの首に抱き着いて、頬にキスしているのよ?!


何が有ったの?!

お読みいただきありがとうございました。

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連載始めたばかりなので本日中にもう1回更新します。

本日4月5日21時更新です。

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