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第5話 妹は巨乳のドワーフ娘をしもべにする。

勇者とは最後まで諦めないこと

-屋根の上の○○視点-


ちっ。


ふいごが壊れれば今日の仕事はやめて工房を閉めると思ったのにどうなってやがる。

ここにあのが持ち込まれたのを突き止めたから、取り戻しに来たっていうのに。


このままだとあの剣が炉に突っ込まれちまう。


「ちょっと手荒な方法を使うしかないか」

「その手荒な方法っていうのは、ここを爆発させることかい?」

「爆発をさせてどうするんだよ…って誰だっ?!」


俺の眼の前に少女が立っている。


俺の眼の前と言っても、俺自身は隠密と透明化で見えないから、はたから見ると、屋根の上に少女が一人で立っているようにしか見えないだろう。


「ふうん、精霊使い。それも結構高位の。するとこのあと起こる爆発はイフリートの仕業ね」

「な、な、何でそれを?」

「姿を見せなくてもいいから、事情を話して。それ次第では協力してやるわよ」


その少女はただ者ではない威圧感を放っていた。

まるで、魔王かと思えるほどの。


「俺の家から盗まれた『炎神剣イフリートソード』を価値も知らずに買い取った奴が、ここに注文して自分好みの剣に加工させようとしているんだよ。俺はそれを取り返しに来たんだ」

「イフリートを宿した剣ならば、ここの主でも気づくはずよ?」

「泥棒に目を付けられないように能力を封印してあったんだよ!」

「どうせ見た目が綺麗だから盗まれたのよね」


ああ、その通りだよ!

つまらない剣のふりをさせるなら、宝飾部分も隠ぺいすべきだったよな!


「だからな、あれが炉に放り込まれたらイフリートが顕現して、この辺一帯更地になるぞ」

「ふうん。前回・・はうまく持ち出せなかったわけね」

「前回?」


おかしな少女だ。


だが、どうしてだろう。

俺はこの少女に逆らってはいけないという気がする。


「わかったわ。でもアタシが持ち出すわけにはいかない。盗まれたりしたらこの家の主が罪を問われるものね。だからそれがどんなものか気づかせて持ち主に返すように仕向けるわ。あとは自分で勝手に取り返しなさい」

「ん、まあ、俺自身もここの主に恨みはねえからな」

「でもアタシはアンタに恨みがあるわよ」

「は?」


すると、少女の体からどす黒いオーラが立ち上った。


「な、何だ?!」

「アンタがしっかり盗み出さないからここは爆発で更地になり、残された者がどれほど悲しい思いをしたか!どれほどプルナアタシが悲しんだか!」

「ま、まだ爆発すると決まったわけじゃない!」


少女は俺に指先を向けてくる。


「ヒッ!」


俺は死を覚悟した。



-女魔王ステラ(双子の妹エリ)視点-


コイツが元凶ね。


いや、コイツから盗んだヤツと、買い取ったヤツも許せないわ。


プルナアタシを苦しめたヤツらを許すものですか。


アタシが苦しんだ10億年。

その苦しみの一部を味あわせてやるわ!


くいっ


体が兄貴の居る方向に引っ張られる感覚がする。


もうそんなに時間がたったのかしら。

いえ、アニキからの距離が遠いせいね。


「もういいわ。消えなさい。アタシの気が変わらないうちに」

「お、俺の剣は?」

「アタシが信用できないの?」

「わ、わかったっ!」


気配が消えた。

すごい勢いで逃げて行ったようね。


さあ、アニキに吸いつけられる前に戻るわよ。



-双子の兄アム(勇者アム)視点-


くいっ


時間の割に、もう引っ張られる感覚がする。


エリはどれだけ離れたんだ?


「これでしばらく置けばいいぞ」

「アム、お疲れさん」


ちょうどいいタイミングだな。


「ちょっと、エリを探してくる」


俺は工房を出て、エリを捜す。


外かな。

いや、なんとなく、上から引っ張られるような気が…




ふわっ、すとん。


屋根の上からエリがふわりと降りてきた。


勇者でもないのに、どうしてこんなに華麗に着地できるんだ?


あと、そのスカートの長さで着地するな。

『ねこちゃん』が丸見えだ。


「アニキ、見たわね?」


気づいてた?!


「すまん、つい」

「見たかったの?」

「妹の下着なんか見たくなんかない!」

「ふーん」


な、なんだあの表情は?


すごく嫌な予感がする。

まさかもう一度見せる気か?


「ねえ、アニキ。ちょっと聞きたいんだけど」

「何?」

「超勇者って鑑定能力がすごかったりする?」


何のことだ?


「ちょっと屋根におかしなヤツが潜んでいたから、話を聞いていたのよ」

「なにっ?」

「別に悪人じゃないのよ。自分の家の宝剣が盗まれて、それが転売されて、ここの工房に修理に出されたから様子を見に来たみたい」

「本当か?いや、エリが言うなら本当なのだろうな。でも師匠たちが信じてくれるかな?」

「信じなかったら大変なことになるわ」


真剣な眼でこっちを見つめてくるエリ。


「大変な事?」

「このあたりが爆発して更地になるわ」

「ええっ?!」


一大事だ。

いったいどんな宝剣なんだ?


「中にイフリートを封じているらしいのよ。その剣を炉にくべたら解放されてしまうわ」


それなら引き受けた時に気付きそうなものだが…そうか、封印か!


「俺が封印をしてあるものでもわかるくらいの鑑定能力があるかってことか」

「うん。超勇者のスキルだって言えば、信じてもらえると思うから」


鑑定か。

超鍛冶師の鑑定スキルならあるけど、全然練習できていないからぶっつけ本番でできるか?


いや、それでも「これは危険です」なんて言って信じてもらえるのか?


「わああっ!!」


急に大きな声が聞こえた。

工房の方からだ。


「アニキ、まさか?!」

「うん、行くぞ!」


俺とエリは急いで工房に戻った。


そこはものすごい熱気の海だった。


「な、なんだこれは!」


必死に『爆粛』のスキルで炉を抑え込んでいるプルナの父親。


恐らく同じスキルを持っているであろうプルナの兄もそれに力を添えているが、熱気が収まる様子は無い。


プルナは腰を抜かして、へたり込んでいて、その横にプルナの母親と姉が居て震えている。


「早く逃げろ!俺が抑えている間に!」

「駄目だ父さん!ぼくがどいたら間に合わない!母さん!メリナ!プルナ!早く逃げて!」


必死に家族を逃がそうとしている父と兄。


「イフリートの顕現による爆発だと500m圏内が更地になるわね。あと20秒くらいかしら」

「冷静に分析している場合か!」

「アニキが超勇者のスキルで何とかできればいいけど、そうでないならアタシはアニキだけを連れて『座標転移(ロケーション・シフト)』で逃げるわ。一人を連れて逃げるのが限界だもの」


くっ。


俺の超鍛冶師のスキルには『爆粛』が無い。

どうして無いんだ?


風を送るのも熱い物を持つのも鍛冶師の上位スキルとしてあるのに、どうして『爆粛』の上位スキルが無いんだ?


いや、そもそも超鍛冶師には『爆粛』自体の必要が無いとしたら?


爆発自体も鍛冶作業の一部としてコントロールできるスキル。


それは何か?

思い当たるものはあるが、試したことはない。


くっ、時間がない!


俺は炉に手を入れて、中で真っ赤になっている宝剣を素手でつかんだ。


「な、何を?!」


あり得ない行為に驚くプルナの親。


竜掌ドラゴンクロー』のスキルで、熱さは感じるがまったく平気になっている。


この熱を利用して・・・・・・・・剣を打つ!


鍛造拳ブラックスミスナックル』!


スキル名は声に出さずに、俺は握っている剣に拳を打ち込む。


ウガオオ!


宝剣から何か得体のしれない声が聞こえた。


これがイフリートの声なのか?


「鎮まれ!この中に!留まれ!」


俺は剣を拳で連打し、『イフリートを封じる剣』を鍛造する。



-女魔王ステラ(双子の妹エリ)視点-


アニキのしていることが成功する保証はなかったわ。


でも、見てみたいとも思った。


アニキは燃え盛る炉の中に手を入れ、宝剣を握ると、それを拳で殴り始めたわ。


一見破れかぶれに見えるけど、アタシにはわかる。


あれは、剣に再び封印を施そうとしているのね。

超勇者にはおそらく『封印』のための手段があるのだわ。


アニキがしばらく剣に拳を打ち込むと、急激に剣から発せられる熱が冷めていったわ。


それでも、まだ剣は真っ赤に焼けたままね。


「あとは」


アニキは空中に水玉を浮かべ、そこに剣をつっこむと一気に剣の色が元に戻ったわ。


あの水玉、ただの水じゃない。

おそらく高熱を一瞬で奪うもの。

大火事の消火にも使えるかもしれないわね。


「助かった…のか?」

「そう、みたいだな」

プルナの父と兄はそう言ってへたり込んでしまったわ。


「ア、アム」

ふらふらとプルナがアムに寄っていく。


ぎゅっ!


プルナはアムの両手を握りしめる。


「ありがとう!ありがとう!助けてくれてありがとう!」


あら?手を握ってお礼をするの?

そこはその大きな胸をしっかり使わないと。


「お礼なら、その、エリに」

「エリが?」

「ああ。怪しい奴を見かけて、この剣のことを聞き出したんだ」

「エリ!ありがとう!」


ぽよんっ!!

ジャンプしてアタシの顔に胸を押し付けてくるプルナ。


あ、アタシに胸を使うな!





「そういうことだったのか。ありがとう。さすがは超勇者と黒曜の聖女だ」


とりあえず、依頼主に知らせる前に官憲にも連絡を入れるそうね。

まあ、後のことはどうだっていいわ。


アタシも、また同じ苦しみ・・・・・を味わわなくて済んだもの。





後日。

アタシはプルナを校舎の裏に呼び出した。



「エリ、何の用?」

「プルナ、アタシに大きな貸しが出来たわよね?」

「う、うん。私にできることなら、なんだってするから…でも、何?」



-巨乳ドワーフのプルナ視点-


エリに校舎裏に呼び出された。


校舎裏に呼び出すって、告白か果し合いかどちらかくらいだ。


いったい、何だろう?


「エリ、何の用?」

「プルナ、アタシに大きな貸しが出来たわよね?」


私たち家族と工房を救ってくれたことは貸しなんてものじゃない。

どうやってそれを返したらいいか悩んでいたところだ。


「うん。私にできることなら、なんだってするから…でも、何?」


あまりにエリが真剣な瞳で見てくるから、何かとんでもないことを頼まれそうな気がしてしまう。


でもエリは聖女だから、そんなにおかしなことは頼まないわよね?


「あなた、アニキのことどう思うかしら?」

「アムのこと?えっと…」


クラスメイトだけど、今回のことですごく話しやすくなった。

だから、仲のいい友達かな?


「アニキのこと、好き?」

「え?」



すごい熱を発していた剣を素手で掴み、拳で叩き続けて鎮めてしまったアムを見て、拳闘士としてのお告げを受けた私が鍛冶師の力を使って目指すのはあれじゃないかって思ったのよ。


だから、アムはすごく尊敬できる人。


好きっていうのとは、多分違う。


「尊敬できるし、友達としてなら好きだと思うけど」

「恋愛感情が無いのなら、丁度いいわ。アタシの手伝いをして」

「手伝い?」


いったい何の手伝いを?


「アニキを女に慣れさせる手伝いよ」

「どういう意味?」

「アニキは超勇者なのよ。将来、どの勇者よりもすごい存在になる」

「きっとそうね」

「多くの勇者がハーレムを持っているのは知っているわよね?」

「うん、まあ。でも、アムとエリの両親は違うよね」


何か話がおかしな方向に行くのね。


「アニキが女の子が抱きつかれたくらいで恥ずかしがっているのはおかしいのよ」


ん?


「だから、アニキが女性に対しての免疫をつけるために、その大きなを貸してちょうだい」

「え?えええっ?!」


私はエリの真剣なまなざしと、貸しの重さに断ることはできなかった。


アムの将来の為なら、協力するけど、一体私に何をさせる気なの?!

お読みいただきありがとうございます。

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次回は本日、4月5日18時更新です。

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