第16話 Sクラスに男はひとり?
少し短いです。
-双子の兄アム(勇者アム)視点-
Sクラスのドアにはそれを示す『竜の紋章』が彫り込んである。
「これ、壊したら弁償するの大変だろうな」
「アムお兄様、黒曜の聖女は人を癒すだけでなく、物体も直せるのよ」
「すごいな!」
さすが俺のエリだ!
いや、俺のって言うと嫌がられるんだなって、それはエリさんのほうか。
とりあえずドアを開けて入り、自分の名前が書かれたプレートの付いた席に座る。
「あれ?」
「どうした、エリ?」
「あのね、みんなの名前見て」
何だ?
エリーナ、レイカ、ナディア、シルク、ルース、エリザベート…
「これが何か?」
「わからないの?」
「変わった名前とかないと思うし、知り合いもいないよな」
「すぐにわかるの」
生徒がどんどん入ってきて席に着いてから気づいた。
今年のSクラス、男って俺だけ?!
そして担任の先生が入ってきた。
担任まで女性なんだが。
「君たちの担任のシュリー・ニックマンよ。よろしくね」
「胸でかっ!」
「すごいっ!」
「こらこら、ほとんど女子ばかりだからってはしゃぐな!ほら、彼が赤くなってるだろ」
え?
そ、そうかな?
「今年の試験はやたら女子が優秀でな。このクラスは一人を除いてみんなの女子になったが、仲間外れにするんじゃないぞ。クラス対抗戦とかあるんだからな」
そう言われても、かなり居心地悪いぞ。
「先生!どうしてアムールくんとエリーナさんが一番後ろなんですか?成績が高い順ですよね?」
あの席に書いてあった名前はシルクだったな。
やっぱりそういうのは気になるのか。
前もって父さんから先生に『呪いのせいで離れられない』って伝えてもらってあるけど、やっぱり不自然だよな。
「いいえ、席は成績順ではないわよ」
「じゃあ何の順番です?」
「級長が一番後ろの真ん中、それ以外は級長が決めるのよ」
「級長はどうやって決めるんですか?」
「もちろん模擬戦よ」
やっぱりか。
「トーナメント戦にしてくじ引きにするわよ」
「私、アムール君と戦いたいです!」
「私も!」
「私も!」
やっぱり男一人だと目の敵にされるのかな?
「先生!総当りがいいと思います!」
「エリーナさん、さすがにその時間は無いわ」
「大丈夫です!アムお兄様だけが全員と戦って、勝った人が級長になればいいんです」
おいっ!
「えー、でも、みんなが勝ったらどうするんだ?」
「一番見事に勝った人というのはどうでしょう?」
「面白そう!」
「いいわね!」
いや、全然良くないけど。
「でもアムお兄様が全勝したら、アムお兄様が級長ですよね?」
いや、にっこりとしながらみんなを挑発するんじゃない!
「無理に決まってるわよ」
「そうよね」
「ねえ、全敗したらみんなの召使いにしちゃう?」
誰?そんなこと言うの?!
-双子の妹エリ(女魔王ステラ)視点-
ふっふっふっ
これでアムお兄様は全員と戦わないといけないわ。
(おまえ、すごいこと考えるな)
まだ終わりじゃないよ。
(え?)
「でもアムお兄様が全勝したら、アムお兄様が級長ですよね?」
エリはみんなにそう言ってあげるの。
「無理に決まってるわよ」
「そうよね」
「ねえ、全敗したらみんなの召使いにしちゃう?」
(ちょ、今の最後の言葉。お前が魔術使っただろ!)
うん。
「いいわね!そうしよう!」
「生意気な男子なんか言いなりにしちゃえ!」
「じゃあ、アムお兄様が全勝したら、どうしますの?」
「え…」
「それは…」
「もちろん、全員がアムールに従ってやるよ!」
(あっ!また魔術を!)
「そ、そうよね」
「出来るわけないんだもの」
「好きにすればいいわ!」
これで全勝すればSクラスはアムお兄様のハーレムなの。
(おいおいおい!)
-女魔王ステラ(双子の妹エリ)視点-
何てこと考えるんだ、コイツ!
アタシよりずっと黒い、いや、真っ黒じゃないかよ!
(勝ったらハーレム、負けてもアムお兄様の『ふくしゅう』に役立つの)
そ、そうだけどな。
お前、全員に勝てると思ってるのか?
(んー、1人か2人は負けるかも)
何だそれ!
(大丈夫、明日にはもっと強くなってるから)
すごい信頼度だな。
「よし、じゃあ今から模擬戦やるぞ!」
え?
(え?)
おい、今かららしいぞ。
(…アムお兄様なら、戦いながら強くなるの。たぶん)
あのなあ…。
お読みいただきありがとうございます。
次回は書き留めてから投稿するので、しばらくお待ちください。




