表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】没落寸前だけど結婚したい私【コミカライズ】  作者: 沢野いずみ
番外編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/39

没にした入浴バッタリシーン

週初めで疲れた皆様に捧げます。

没にした「そんな話は聞いてない!」の夜の話。お蔵入りももったいないので出します。

※ナディル編で支障が出たので、「第二の実家」「初恋」で院長と回想シーンの子供が呼んでいたブリアナの名前を変更しました。



 まったく、何だっていうのよ!


 横暴なナディルの行動に怒りながらも、着替えを手に持って浴室に行く。たとえどんな状況でも対応できるのが私の長所だ。そうでなければ借金生活などやっていられない。

 浴室はさすが公爵家だけあって広い。実家の浴室を思い出して悲しい気持ちになった。

 いや、あれが普通なのだ。こっちがおかしい。

 惨めな気分を払拭するように首を振り、ワンピースを脱いでいく。手拭を手に持って洗い場へ行った。


「お、おおおー」


 思わず感嘆の声を上げる。

 中は想像以上だった。実家とは掃除の行き届き方からして違うのだろうが、全面ピカピカで輝いている。元の素材もいいのだろう。床石は上品な輝きを放ちながら、滑らないように加工されている。壁に鏡も備え付けられているが、湯気に負けずに曇らない。主人が使っていないときは使用人も使用していいとなっているため、数人入っても大丈夫なようにと考えたのだろうが、無駄に広い。何人で入れというのだろう。


 これを一人で入れるという高揚感。私はワクワクしながら体を洗う。常備されている石鹸も、私が使っているものとは比べ物にならないほど泡が滑らかだ。今まで所詮どれも同じだと思っていたことを訂正する。やはり高い物の方が効果はある。

 ツルツルになった自分の肌に満足する

 泡を十分に流して浴槽に入る。広い。二十人ぐらいは入れそうな浴槽だ。

 足が伸ばせることに感動した私は、そのままプカプカ浮いてみた。


 わー、すごい! お風呂でこんなことするの初めて!


 楽しくなってきた私は泳ぐことにした。だって今しかこんなことできない!

 小さい頃は孤児院の近くの川でよく泳いだものだけど、男爵家に引き取られてからはめっきり機会がなくなってしまった。

 久々だ。ちゃんと泳げるかな。

 ザブン、と浴槽に潜り込む。足をバタつかせて進む。泳げる! 息継ぎもできてる!

 楽しくなってそのままバシャバシャとしていると、不意に腕を引っ張られた。

 え!? な、何!?

 そのまま引き上げられ、水面から顔を出す。


「ぷはぁ!」


 止めていた息を吐き出して目を開ける。

 ナディルがいた。


「大丈夫か!?」


 慌てているがどうしたのだろうか。


「え? うん?」


 よくわからないが頷くとほっとしたように息を吐いた。なに? どうしたの?


「溺れたのかと思った……」

「あ……」


 確かに傍から見たら溺れて暴れるように見えたかもしれない。


「ごめん、泳いでたの……」

「……風呂で泳ぐな」


 正論である。


「すみません」


 シュンとして顔を俯かせてあることに気付いた。

 今私の目に入る足、素足だ。

 そうだ、今お風呂に入っていたのだと思い出す。

 つまり。

 つまり全裸である。


「きゃー!」


 慌てて胸を押さえてしゃがみ込むも、遅いことはわかっている。


「み、見た!?」


 真っ赤になった顔で睨みつける。


「見てない。見てない」


 棒読みだ。

 見ている。確実に見ている。


「あ、あ、あ……」


 あまりのことに情けない声しか出ない。涙も滲んできた。

 ナディルは顔を赤くしたまま固まった私を見て、考える仕草をした。そして言う。


「大丈夫だ。いい体だ」


 そういうことではない。

 私は近くにあった桶を手に取った。


「馬鹿ぁー!」


 カコーンと小気味良い音がした。



没理由:ブリアナが初心すぎてこの後ナディルと顔を合わせることができなくなって話がまったく進まないから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ