君が見つけたわけ
「あ、あ……? ちょ、ちょっと待って……?」
言われたことが衝撃すぎて混乱して頭が働かない。
待って。ナディルが思い出のあの子だとして……?
今まで、なに、言ったっけ……?
私、なに言った……?
あれ、私もしかして言っちゃった……?
ほ、本人に「あなたが私の初恋です」宣言しちゃった!?
「はわわわわわわ!」
「落ち着け落ちつけ、ヒッヒッフー」
「それ出産時!」
私の背中を摩りながらナディルが呼吸法を教えてきたがそれが必要なのは別の時だ!
「い、いつから!? いつから知ってたの!?」
「いつからって……」
ナディルはもにょもにょと口を動かし口ごもったが、渋々ポツリと漏らした。
「足を……見たときだ……」
足?
「それってどれ? 足なんてさっき以外で見せたっけ?」
「お前が自分から見せてきた」
「そんな破廉恥なことしてない!」
「実際既成事実作るって伸し掛かってきただろうが!」
伸し掛かって……? あ……?
「レティシアが逃げたときの……?」
「そうだ」
随分前、王子の婚約者のレティシアが逃げたのどかな村に、ナディルと一緒に行ったとき。ナディルの妹のレティシアから、「兄に婚約者はいない」と聞いて、とても都合がいいと思い、既成事実を作ろうとした。
確かにしたけど、最後までしようとはもちろん思っていないし、なにより――
「あれはあんたが上に乗っている私を押しのけたから捲れたんであって、私からは見せてない!」
「その前の行動が十分痴女だろうが!」
「失礼な! 貞操は守るつもりだったわよ!」
でも確かにあの頃からたまにナディルが「昔は」と言い出したような気がする。
「で、でもそれにしては私のアプローチに対して冷たくなかった?」
昔会って遊んだことをそのときに思い出してくれたんだったら、私が会いに行ったときに「やあ、久しぶりだね!」と爽やかに言ってくれてもいいはずである。なのに現実は帰れ帰れ言われたし、家にいったら追い出された。
「あれはまだ準備ができていないのにお前が迫ってくるからだ」
「準備?」
何で私と仲良くするのに準備がいるのだろう。首を傾げた私を見てナディルはあきれたように息を吐いた。
「お前の家の事情を調べ、借金している相手を調べ、その他交流関係に問題がないか、多方面で調べる必要があったんだ」
え、上流階級の貴族ってちょっとした友達付き合いでもそんなの調べるの?
恐ろしいガチ貴族……。
「借金もどうにかできることも判明して、他も問題ないことがわかったから、堂々と迎えに行った」
「いや、呼び出されたんだけど」
「言葉の綾だ」
正確には私が迎えに行かされた形だ。
「ねえ、何で足で私がわかったわけ? 数年経っているからすっかり変わっているでしょう?」
「変わっていない部分もある」
「え、私自分では結構変わったと思うんだけど」
「ああ、変わりすぎて初めはわからなかった。あんな男勝りで女に見えなかった子供がこんなバカでかい胸持ってるとは想像しなかった」
「悪かったわね!」
私だってこうなるとは思っていなかったわよ! 理想を言えば儚い系の美少女になる予定だったの!
「でも唯一変わらなかったのが……」
「変わらなかったのは?」
もしかして中身だとかちょっと嬉しいことを言われたりするのだろうかと期待しながらナディルを見る。ナディルは視線を逸らさずに言った。
「太ももの三つ並んだほくろだな」
「最低ー!」




