魔法少女キラリン登場
式守町。 五年ほど前まではシャッター商店街がある地域だったが改革を上げる若い市長の誕生と一流企業のバックアップが着いたことで急激な変化を迎える。
まずは様々な補助金を出すことで有名企業の工場を招致し人が多く集まるようにし、高級マンンションを立てて住宅地を開発していき新しい学校や病院も新設させ人が住みやすいようにした。
次に娯楽施設を大量に作らせ、映画館やショッピングモールは勿論パチンコや競馬場も作り大金が流れるようなシステムを作った。
人を増やし金が循環しやすくなった町はそれからみるみると大きくなり過疎化に悩んでいた町は一気に成功した街づくりとして名を馳せる。
しかし良いことばかりではなく、人が増えれば必然的に――犯罪率は上がる。
日が沈むと町は夜の顔へと姿を変える。
たむろする若者達。 客引きをする者。 酔っぱらって道路で寝ている者。
日中では見れない、夜の町が動き始めていた。
「これが今日の配達分だ。 ちゃんと売ってこいよ」
そしてこれも夜の街で行われる商い。
エアコンの室外機が並ぶ路地裏で五人の人影がある。 全員目立たないような服装でリーダー格の男が中身の見えない黒塗りの小さなビニール袋を渡す、数は一人当たり十袋はある。 中身は法律で禁止されている薬物だ。
「こんなにっすか? 最近は警察も多いからこの量はきついっすよ。 もう何人も捕まってるじゃないですか」
「だから今売るんだよ。 ライバルが少なければ多く売れる」
「そりゃあそうですけど、でも噂じゃ警察以外にも変な奴がいるって話ですよ?」
「変な奴? なんだそれ」
「その……魔女っ子だそうです」
手下が真面目な顔でそうゆうと、リーダはその男の頭を掴み、そのまま壁にぶつけ押し付ける。
「俺のことを馬鹿にしてるのか、お前」
「ほ、本当なんです! 急に表れて「私が魔法少女だ」って名乗る奴に捕まったダチが言ってたんですよ」
ふざけとことを言っている手下を殴るようにリーダーは腕を上げようとしたが、視界に妙な物が入ってきてその腕を止めた。
首を動かしてその奇妙な者を見ると釣られて手下も顔を動かしそれを見た。
「私が魔法少女キラリンだ! 悪党ども覚悟しなさい!」
金髪のロングヘヤー、白と赤をベースにした可愛らしいゴシック服を身に着け、手には星型のスティックを持ち、右手でピースを作り顔の前に掲げポーズを決めている女。 日曜の朝に放送されてる魔法少女のイメージがそのまま現実に出てきたのかと思うほどの完璧な衣装を着た魔法少女が立っている。 いや……ただ一点だけテレビの魔法少女と違いがある、それは――
「お前、いい年した大人がなにやってんだ?」
その言葉が会心の一撃だったのか魔法少女? キラリンはみるみる顔を赤めていき。
「う、うるさいわね! あたしだってこん。 なことしたくなんだから! 仕方がないのよ!」
魔法少女キラリンは少女ではなく、体が成長し一般的な成人女性よりも少し胸が発達している立派な大人の姿だった。 キラリンは恥ずかしさから両手で顔を覆ったがすぐに羞恥心をすてて魔法のステッキを握り直し。
「よっしゃぁぁーいくわよー!」
走り出した。
一人のコスプレ女と男五人。 どちらが勝つかは明白で男たちは余裕そうにニタニタしているが……一番最初にキラリンを黙らさせようと近づいた男が空高くに投げ飛ばされると場の雰囲気が一気に変わった。
「やば! やりすぎた!」
建物の高さを超えるくらいまで飛ばされた男はその後自然落下し、地面に激突する前にキラリンが受け止めた。 投げ出された男は茫然とし、ほかの男たちは非現実的なことを目の当たりにしあっけにとられている。
その隙を突くようにキラリンは受け止めた男をもう一人の男に向かって投げつけ、二人を気絶させる。 その後のキラリンは距離を詰めて魔法のステッキを振るう。 魔法が出てくるわけでもなく、剣術のように綺麗な振りでもない、だがそのステッキに触れた瞬間男達は物凄い力で吹き飛ばされた。
魔法(物理)の力で男達を倒していくキラリンは最後にリーダー格の男にも詰め寄るが。
「ちっ!」
追い詰められたリーダーの男が懐から取り出したのは――拳銃。 日本に住んでいる一般人なら本物を見ることするないであろう武器を前にしても――キラリンは止まらない。
―――
連続で銃声が響く。
訓練をしていない素人が動く的に銃弾を当てる確率は0に近いが今回は道が狭く直線的な場所とゆう条件もあり、放った一発が偶然にもキラリンの体に命中した……のだが。
「これで終わり!」
キラリンは銃弾が当たったそぶりなど見せず突っ込み、魔法のステッキを思いっきりスイングしリーダー格の男を吹き飛ばすのだった。
魔法少女キラリンはこうして今日も町を守っている。