悪魔のいる教会
よろしくお願い致します。
気付いたときに
私がいたのは薄暗い教会
振り向けばそこにいたはずのお喋りさんは消えていた
一人になると途端に寂しくなって
探してみるけど古い聖書しか見当たらなくて
重い十字架は私の手をひんやりと冷やした
誰もいないから寂しい場所
誰もいないから怖い場所
すると突然
笑い声が聞こえてきて
教会の大きな扉がゆっくりと開いた
足取り弾む子供たちは
皆おそろいの青い服を着て
幸せそうに光の中を歩いてくる
何かに興奮しているのか
きっと彼らの先の未来に
神父さんが子供たちの後ろを歩いていた
私に気づくと笑いかけてくれる
ほっとして、心地の良い光の中で
私は手足を伸ばした
大きな耳を劈く音が聞こえて
光の中の心地よさがかき消される
悲鳴を上げながら子供たちは泣いて走り回り
神父さんは私の腕を強くひっぱった
私を教団の前に連れてくると
絨毯の下にあった秘密の扉を開け
その狭い小さな暗闇に私を導いた
私が暗闇に収まれば
神父さんは扉を閉め、絨毯をかけ、教団を上に置き、私を閉じ込めた
そのあと聞こえてくる音は
破壊、破壊、破壊、破壊、破壊、破壊、
狂気、狂喜、凶器、兇器、驚喜、恐忌
そして死
一人ぼっちで小さな暗闇の中にいると
途端に寂しくなった
誰もいないから寂しい場所
誰もいないから怖い場所
ありがとうございました。