番外編 発見!!ヤンデレの書 七、終合併号
……そそくさ。
っと、侵入に慣れてきたわ。見つかっても、アレだしね大丈夫だから。
「あとは、心だよなって……木森林まであるし」
『伊澄心 16歳 普通おっぱい(まぁわたしよりでかいから死ねばいい)』
「もう慣れてしまった自分が怖いよ……」
もう胸関係は切って普通に読み進めよう。キリないし、何だか切ないし。
『誕生日 12月23日 血液型 A 身長 171cm
好きなもの お嬢様方 プリン お兄さん(どいつもこいつも)
嫌いなもの 雪 唐辛子 有象無象の男』
雪、か。あれなら苦手になるのも仕方ない。
俺は軽く息を呑んで、ページをめくる。
『幼少期のデータは無し。何らかの事件で千堂院家に拾われて護衛兼付き人として訓練を志願する。
訓練は想像を絶する物で折れてない骨がないとかあるとか。一日三十時間鍛錬という矛盾をやってのけたとかないとか。
そのお陰で、武術に長け身体能力が高く無駄にスタイルが良い付き人が誕生した。
お嬢様達の危険を未然に防ぐ為に沈めた男どもは星の数とか』
あー俺もその星の一つだったんだなぁ。
最初に会った時の心には感情があるとは思えないくらいに目が死んでいたし、冷酷だったもんな。
『バストはCでそれよりも全体的にスタイルが良いのが堪えられないくらいムカつく。何だよスーツの似合う女って。意味わかんないんですけど』
そこから定番のスタイルについての罵詈雑言。
はぁ……そんな気にすることかね?
『木森林木々15歳
誕生日 11月11日 血液型 B型 身長157cm』
クセ名前……!!
あれ以来ちょっと連絡取り合うだけだからなぁ。
プロフィールは全然知らないのよね。
『好きなもの お金 秘密を握られてビビる人 悪事をバラされて崩れ落ちる悪人 わたし
嫌いなもの 正義感 おせっかい 正論』
ん?好きなもの……深鈴?
『あの子は、わたしと付き合おうとしてくる。
いやどっちかと言うとお兄さんに恋しているわたしが素敵だと言って。二人まとめてゲットを狙っているとこの前告げられた。
情報収集能力に優れて、ネット、人脈、脅しを駆使して色々な情報を手に入れる。
私生活はわたしもあまり知らなくて、家に行こうとしたわたしに「みーちゃん死なせたくないな」と言っていた。
正直、裏が読めない。だからこそ信用出来るっていう矛盾もあったりで。
まぁ、なんやかんや書いたけれど。
あの子がわたしの親友なのには、変わりない』
妹の友達やべぇな。
話した限りは、悪い子じゃないし。大丈夫だろうけど。
これで、ヤンデレの書も終わりだ。
物語がどれほど進んでいるのかも、俺にはわかりかねないけれど。
頑張って行くしかない、それだけだ。
次の日、向かったひーたんの家で。
全てを変えてしまう程の選択を迫られるとは、この時の俺は思ってもいなかった。




