『3』狂った男は終わりを望む
はぁ?みんなを、殺す?
なんで、だよ。まるでひーたんの復讐にもなってないんだぞ。殺すなら、俺だけだ。
俺が救えなかったから。
死んでしまった。
『本当にそうですかね』
「……は?」
『彼女を救えなかったのは、貴方のせいですか?』
「だろ?俺以外に、誰がっ!!!!」
そこで、モノが言いたいことに気付く。
だがそれは悪魔の誘惑だったことに、今まだ俺は気付いていなかった。
「みんな、のせいだってか?」
『そうは、言いません。ただ、貴方がもっと余裕を持って時間があれば彼女を救えたかもしれない。その余裕と時間を奪ったのはいったい誰だったんでしょうね、と』
「ははっ!!お前、狂ってるよ」
『ありがとうございます』
心からなにかの音がする。
壊れて行くような、軋んで歪んで行くような音が、頭に響くような気がする。
「いつか、みんなも。ひーたんみたいに、思い詰めるかもしれない」
『そうですね』
「俺が、救うんだ」
『でしたら、どうしますか。選択するのは貴方です』
俺はゆっくりと、選んだ。
全員を殺して自分を殺す道を。
そうだ。どうせ、元々狂った物語だ。
狂って血塗れで、愚かに幕を閉じよう。
俺の手で、全てに。




