ヤンデレの結末
ここが、ひーたんの家か。
みんなは待ってくれると言っていた。だから、今日は珍しく一人で。
「ふぅ、久しぶりのひーたんだ。気を引き締めろ」
まだ帰ってきてないことはないだろうと、高を括って来たが……郵便物が溜まってる?え、まだ帰ってきてないの?
玄関の扉を離れて、一軒家の表札を見てみる。
両親の名前だろうか、そこに何かで傷をつけたのように消されていた。一人暮らしになのか、ひーたん。
ふと、なにかを感じた。
よくわからないけれど、ひーたんが心配だ。俺の事予感が当たらないように願いながら。
「……出る気配なしっと。……ん」
鍵が開いていたのだ。
それを見て、俺は中に入った。
……人の気配は、ないな。リビングからとどこからも雰囲気を感じられない。
廊下にある埃が少しの期間掃除してないんだと、理解する。
「ひーたんっ」
返事はない。
妙に暗い家の中に呟いた声すらはっきり聞こえる。全ての部屋を見ても、誰一人居なかった。
残りは、二階。一段一段登って行くと、味わったことのある空気が肌を刺す。
これは、よくないな。
俺がよく味わう。死の空気だ。どっしりと重く肺に入り背筋を撫でる様に悪寒が走る。
「ひーたん!!」
陽菜という名前の看板がぶら下がった部屋を開けた俺は、言葉を失う。
ごめんねと、繰り返していた。
行ってくるねと、言っていた。
俺は、その声の異変に気付かなかった!!
色んなものが切り刻まれた部屋の真ん中でひーたんは倒れていた。
倒れている、じゃないか。
もう、ひーたんは既に、死んでいた、のだった。




