表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/117

恨めない。ヤンデレ

「とりあえず、結論。

あたしのお母さんは、お父さんを病院送りにして、別れたの」


「は、はぁ?いや、そんな……弓月の、ご両親……」



ここで記憶が頭に流れ込んでくる。

そう言えば、いつからか。弓月のご両親を見なくなっていた。授業参観や運動会など、俺と深鈴と居ることがほとんどだった。

仕事で忙しいんだなぁ。と思い込んでいたし、聞くこともしなかった、が。



「お父さん、浮気してて。まぁそれの報復だよ。

寝ている時にハンマーやらで叩いて、壊した」



ハンマーやら、か。

不謹慎な事を一瞬でも考えてしまった。俺は酷いやつだと、自分を責めて。震えながら話す弓月の手を取る。



「ありがと。あたしは思ったんだ。

壊したお母さんよりも、浮気して裏切ったお父さんが悪いんだって。

壊される理由を作ったのが、悪いんだ。好きな人を裏切るから悪いんだ。よそ見するから悪いんだ。離れようとしたのが悪いんだ、って頭の中がぐちゃぐちゃになるくらい考えちゃった」



その時か。

弓月が歪んでしまったのは。



「だからずっと良也が他の女の子と絡んでると許せなかった。あたしを裏切った、よそ見した、離れようとした。だから、許さない」



それは、身に染みてわかっている。

何度も何度も、この身に刻んだ事だ。



「でもね。良也。聞いて」


「聞いてるよ、大丈夫だから」


「あたしは、あたしは。

良也を恨みたくなる程好きだった。もう、良也しかいない。あたしを見て離さないでいてくれるって信じて信じて」



強く、手を握る。

俺は握り返さず、ただ心のままに話す弓月の言葉を受け止めた。逃げずに、視線を逸らさずに。



「殺したくなる時もあった。それが、あたしの普通だった。けど、もう駄目だ。

あたし、傷付けたくないんだ。

良也が好きだから。傷付けるより。一緒に居たいよ」



大粒の涙を流す弓月に、思わず身体が強張る。

弓月が泣いたのを記憶の限り見たことはなかったから。

反射的に抱き締めて、声を上げる弓月の涙を拭うしか出来なくて。



「良也、大好き、大好きだよぉ……!!

一緒に、居たいよぉ……」


「一緒だよ、俺と弓月はずっと一緒だから!!

大丈夫だから、な?」


「うん、うんっ!!」




『excellent!!貴方はツンヤンデレ幼なじみ『柏原崎弓月』を完全攻略いたしました。これからは『柏原崎弓月』に殺害されても残機は減ることはありません。

残機を五体減らし、『柏原崎弓月』の復活システムを実行しますか?』



当たり前だろ。

俺は、弓月をもう離さない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ