決着とヤンデレ
怖いわ。家の扉を開けるのが怖くてドアノブを掴んで、固まってしまう。一人か、最悪二人居るだろう……が。
ええいままよ!!思い切って開ける、と。
「お兄さん」
「良也」
最悪の方だった!!
急いで扉を閉めると包丁の切っ先が二本貫通して、バールも穴を開けて破壊していた。
「えぇ……?」
怖いわぁー!!
閉める俺を締めようと投げたんだもんね!?
もう一回開けてみよう。
「ノックしてもしもォ〜し「何よそれ」
接近していた弓月に頭をカチ割られて、目を開けると扉の前に戻っていた。選択肢もなくナチュラルに殺されるの多くないですかね?
まぁさっきのがあるから、対処は出来るんだけどね。
「裏口から失礼すれば」
裏口を開けると、少し扉に抵抗を感じた。
ノブを見ると糸がどこかに繋がっていて、目で追ってゆくと真上から鈍器やら包丁が降ってくる。
はっ!?我が家が要塞みたいになってますけど!?
頭やら肩やらを切られたり殴られたりして、体力は真っ赤で虫の息。ここまで減ったら回復までに、時間がかか、る。
足音が二つ聞こえた。あぁ、そっか。裏口侵入も出来ないんだな。と理解を終える頃には命も終えていた。
「……え?そう言えば何でこんな命狙われてるの?しかも残機減ってるし殺したの弓月かよ」
こうなったら、正面突破だ。一回目開けた時が一番反応が普通だったし。
「ただいま」
「お兄さん、お帰りなさい」
「良也、お邪魔してるわね」
「おー深鈴、弓月」
二人で目を合わせて、俺に一枚の紙を見せる。
えっと、これ……は?
「婚姻、届?」
「「結婚して下さい」」
く、はー!!恐れていた事が起こってしまった。
せめてきららに答えてからこっちをどうにかしたかったのだが、有耶無耶に出来ないのは両方だが危険は弓月の方が高い。
きららは直接手を下さないだけあって、殺される機会は気を付けていれば大丈夫。
だが、暗器が鈍器のこの幼なじみは直接攻撃しかない。からこそこれは避けたかったなぁ。
完全攻略してからこの言いくるめたかったけど。
「はい」
ここは素直にイエスしかないよなぁー!!
笑顔を作る二人は俺に抱きついてくるけれど。
すぐに、上手くは行かないことがわかる。
「いくら、一夫多妻が許可されてもです。
正妻はわたしだからね?弓月さんわかってますか?」
「こっちのセリフ過ぎるんだけど。
あたしが良也の一番でしょ?今更すぎて良也は言わないけどさ。あんたが一番だった時なんてないんだよ?」
「はぁ?面白い事言いますよね。そんな夢見がちな弓月さんにわたしが百万、いや何億歩も譲って結婚させてやるって言ってるのに調子に乗るなよ」
「そろそろ決着つけた方がいいのかな?
さぁ抜きなよ。包丁でも何でも出しなよ」
「わかりました。秘蔵のマグロを切る長いの持ってきますから」
「あたしだって、突貫ハンマー持ってくるから」
二人は、俺を挟みながら互いを殺すと脅しあって離れて行く。
「心臓が持つかよ、畜生っ!!!!」
怖過ぎるだろ!?ヤンデレは並んでるようで離れてますな!!そして、二人は対峙する。
「お兄さん、これ、重いです。手伝って下さいぃー」
「良也、こっちも重いよ。ちょっと、来てぇ」
結局、女の子だよね。
二人が獲物を持ち上げられないのを微笑ましく見守って。
「ああ!!もう、重いですっ!!」
「こんなの、使えないって!!」
獲物を手放すまで待っていた。
10月18日 18:00 次話 投稿予約済み




