一夫とヤンデレ
結局ポップコーンだよ……でもこのコーン味のポップコーンという意味不明なフレーバーに惹かれてしまったからで。元々コーンなんだからそりゃあコーンの味しないとおかしいでしょ……振動を感じて、ポケットの携帯を取り出すと深鈴から何か届いていた。
「えっと?『帰ったらすぐに挙式挙げましょう』ってなんのことだ?挙式?
あれ、弓月も。何々『式場は三年前から決めてあります』……何が、起きてるんだ?」
戻ると、とても機嫌の良さそうなきららが笑顔で俺に手を振る。……胸が揺れてるぞ!!
「良也くん!!問題解決ですわ!!」
「問題って?」
「良也くんがわたくしかお姉様で結婚相手を悩んでいたことです」
解決、したとは?きららの名案でどうにかなったと言うのか。
「単純でした。だからこそ、見つからなかった」
「ほう、そしてその方法とはなんぞ」
「一夫多妻にするんですよ、この国を」
「……は?」
「法律を変えたんです。わたくし達の為に、日本を変えたんですよっ」
ちょ、ちょっと待った。
一夫多妻?きららは、自分かうららか選ばない俺への対処で国ごと動かしたのか?
予想の斜め上過ぎて理解が出来ない。
悩むことすら、させない。強制的に自動的に選ばせる。
「きらら、そんなこと、出来るのかよ」
「もうしたんですわ。
わたくしの調べで、良也くんを想うカス共が居るのも知っています。その方達もどうぞ、側室にでもして下さいませ」
「っはは……病んでるよ、きらら」
「純粋と言ってくれます?
貴方が悪いんですわよ。わたくしに、お姉様に、心に、ここまで思われて」
さっきまでの可愛らしい微笑みの面影はない。
病的に、歪に笑って。
「だから、わたくし達と結婚、しなさい」
命令口調で、求婚したのだ。




