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分岐のヤンデレ

学校行こうとしただけで、この連続イベント。

死ねるわって……まぁ死んでるけどね。そのお陰なのか心は攻略出来たし弓月とのフラグもいい感じな気がしないでもない。



はっきりとわからないのだ。

死亡フラグなのか攻略対象ルートなのか……読めない、からこそ。その時の最善だと思われるもので凌いできた。



「……はぁ。掃除しよ」



壁やら天井やらには俺の血や色々な物がとっ散らかっているもんで。これを深鈴が見たらという恐怖が背筋を駆け巡る。



「ん」



携帯が震え、見てみると不在着信が十何件来ていた。勿論と言えるがひーたんで。

あとが怖いからな……掛け直してみよう。



『……あ、りょーたん』


「ひーたんごめん。ちょっと、出れなかった」


『大丈夫、だよ。ごめんね?何回も、かけちゃって』



……おかしい。

いつもの、そう。病んでるひーたんなら、だ。



『へぇ。誰と、何をしてたの?わたしに秘密なの?なんで、黙ってるの?ねぇねぇりょーたんりょーたんりょーたんっ!!わたしは……』



などなどエトセトラ。

だか、淡白で静かで。俺はこんなひーたんを知らない。

疑問を隠せない俺の前に、選択肢。

『ちょっと会える?』『どうしたの?』なら、今の状況。電話で話せるならそれが喜ばしい。



「どうしたの?」


『りょーたん、泣かないでね』


「う、うん」


『わたしね』


「うん」


『旅行に行ってくるの』


「う、うん?」


『本当に、悲しいよね。わかるよ、行ってほしくないよね?ね?』


「う、うんっ」



圧倒されてる。それ以外に言葉が見当たらなかった。なぁんだ旅行かぁ……じゃあ二泊三日程度居ないんだ。それは、うん。確かに寂しくはある。



『ちゃんとお土産も買ってくるし、帰ったらすぐに会いに行くから。ホントはわたしだって行きたくないんだよ?でも、ごめんね。りょーたん』


「い、や。仕方ないよ。寂しいけど」


『ごめん、ね。りょーたん、本当にごめん』


「大丈夫だって、楽しんでね。ひーたん」



切れる電話。

だが、まだ俺の中には残っていた。

ひーたんに感じた違和感。それが拭えなくて。

何故あんなに謝っていたんだろう。



「ひーたん」



呼んでみても、そりゃあ返事はないし。

そう言えばどこに行くのかも聞いていない俺だったが。



この時、会いに行かなかったことを。

数週間後に、後悔する事になる。

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