占いのヤンデレ
……この感覚にも早く慣れないといけないな。
時間が戻っている違和感と殺されたという事実を飲み込むという事を。
さっきは占いを見ていないから、殺された。
俺を思い過ぎてくれる幼なじみの弓月に。
レンガって……そんなもんどこで手に入ったの?選択肢を選ぶ際の時間停止を使ってリビングから玄関を覗いてみる。
時間が止まっているからか、窓は開かないみたいだ。ふむふむ、これは覚えておいた方がいい。
玄関の前で弓月がレンガを振りかざして待っていた。
「出待ちだったのね!?もし深鈴が出てからどうするのかしら!!」
まぁ、さっきの言葉を汲み取ると。
深鈴は俺が大切だから、弓月は悪いことから俺を守るために殺したというこだろうが。
思われるのはとても嬉しいけれどね。
「とりあえず、テレビを見るとするか」
選んだ選択肢の通りに深鈴に話すと仕方ないですね。と承諾してくれる。
つけると丁度占いのコーナーで、確かに俺は最下位で家から出るな……と。ちょっと待て。
なんで、今やっているテレビの内容を弓月が知ってるんだ?
「ああ。この占い、弓月さんのですよね」
「へ?」
「忘れたんです?ほら」
最後のクレジットに占い柏原崎弓月と書いてあった。……つまり?
「高校生天才占い師ですよ。忘れました?」
「わっすれてたわぁ!!ごめん深鈴ー!!」
「もうお兄さんたら」
と言って玄関へと向かう深鈴。
でも俺は出たら殺される訳だ。どうする……?
あ、そっか。携帯あるやん。
取り出して、弓月へと電話するとワンコールもしない内に出てくれた。
「おはよ。弓月」
『おはよう良也。今日、あんた「ああ。占い見たよ。出ない方がいいんだっけ?」
すると電話の向こうで重い音がした。多分、レンガを下に落とした音だと思うけど。これで死亡フラグは一本折った。
『そうよ、だから今日は家に居てね。別にあんたを心配してる訳じゃあないのよ』
「あ、ありがとう弓月」
切れる電話に安堵か腰が抜ける。
これは、こたえる……!!一つを回避するのでここまで観察考察実験を繰り返すのか。
しかもあと残機98の中でクリアを目指さないと。
だいたいこうゆうので元の世界に戻れるとしたらクリアすること、だもんな。今のゲームは説明書ないから仕方ないよね説明がないのも。
このゲームのクリア、多分真エンド。それを目指す。
残機を1でも残して、ヤンデレヒロインのハーレムを作るんだ。
「ハーレム王に俺はな「うるさいです」
肩に包丁。
シンプルにめっちゃくちゃ痛い。
「ゔぉおおお!!可愛い妹のツッコミがめっちゃ刺さってる!!物理的に刺さってるから!!」
「もう、お兄さんたら」
両手に包丁を持って追いかけてくる深鈴から本気で逃げる。こうやって選択肢以外でも脅威はあるし死の危険もある。
根気が必要だなあ、と痛みを堪えながら考えていた。