質疑応答をヤンデレ抜きで
求婚事件から一週間を過ぎた頃、唐突にあることを考えてしまった。
残機が無くなった場合って、何か言っていたっけ?真エンド、つまりトゥルーエンドに辿り着かなかった場合は?バッドエンドはあるの?ふと思いついた割には最初に聞くべきことばかりが頭の中に湧き出てくる。
「うーん。試しに、呼んでみよう。モノー」
『はい。モノです。只今より質疑応答を行なっている間の時間を停止させていただきます』
うわ。呼べたよ。さてと色々聞かせてもらおうかな。
『質問一つにつき残機を一つ消費しますので悪しからず』
「げ、マジか」
『ギブアンドテイク、ですので』
流石厳しいシステムよね……。
ならモノってCV誰?とか聞けないよな、凄い深みがある良い声だもの。
『CVは井上麻「質問違うからね!?あぁ、残機がっ!?」
まさかの暴発で残機をやられてしまった。
余計な事を考えないようにして、聞いていこう。
「バッドエンドはあるのか?」
『存在します。条件を確認しますか?残機を五いただきます』
「でかいな、それにある意味ネタバレだろ?遠慮しとくよ。……トゥルーエンドに辿り着かなかったら?」
『あるセーブからやり直しとなります。今作の最終到達点がトゥルーエンドになりますので、それを終えた時点で終了となります』
「……残機が無くなったら?」
『死にます』
……はい?
今シンプルかつパンチのある言葉が聞こえてきたぞ?深呼吸して、聞き直してみる。
「無くなったらどうな『死にます』
食い気味でっ!?
てか今の聞き直しで残機減ってるし!!ちゃっかりしてるなぁ!!
死ぬ、って現実世界でって事か。今の『俺』は言うなれば意識だけが乗り移っている状態で……。
ならば残機とは精神力と考えた方が良いのかな。こちらの世界で死に続けると、向こうに帰る精神力が無くなり現実の『俺』が死ぬ。
「思ったより、数段シビアな状況よね」
『ですね。いつでもお呼びください。それ相応の対価と引き換えに、質問にはお答えしますので』
「うん、ありがとう」
『サービスで情報を一つ開示いたします』
と、目の前に棒グラフが出て来る。
真っ直ぐに伸びたピンクの線は六本あって。
青く引かれた線を越えているのは深鈴だけだった。
「これは、好感度なの?」
『その通りです。青く引かれた線を完全攻略の基準としていますので、良くご確認を』
マジか、早く全員のそれを把握しないと……と言ってたいるとグラフは消える。
……ん?何故即消えた?
『タイム、アップ』
「うーんもうちょい……」
『残機を十減らしますか』
「やめとく」
『それでは、失礼いたします』
モノは消え、俺は一人残される。
好感度なの?というので残機を減らされていた事に舌打ちをして、俺は今日を始めた。




