聞いてヤンデレ
こうゆう時は、説得する相手をその立場に立たせれば少しは共感し折れてくれる筈だ、多分きっと!!
「えっと、弓月と深鈴は自分の決めた相手以外と結婚しろって言われたらどうする?」
「「死ぬ」」
うぅん!!パンチが強いな、即答ですか!!
回転させろ頭……こんな時くらい役に立ってくれ……そうだ!!
「俺の結婚相手が自分じゃなくて知らない女の「「殺す」」
わーいシンクロ率が高いぞぉ!!
どうゆう例えを出せば納得してくれるのか……と選択肢の野郎がしれっと現れる。
『答えが出るまで考える』『なかったことにする』『壊れた時計のように「ムジツムジツ」と繰り返す』の三つ。
さっきのような傷付けようとするのはないけれどさ。だいぶネタに走ってますよね。
「で、どうなんですかお兄さん」
「今考え中。答えが出るまで、考える」
「どこかで聞いたことがあるようなないようなだけど。はっきりしてよね、良也」
はっきり、して?
今俺は、求婚なんてされてないよぉー!?って言い訳中なのだが、あ。そっか。まずははっきりと自分の胸の内を、真っ直ぐ伝えないと。
「結婚する気はないよ」
「ですよね、お兄さんはわたしと禁断の愛に落ちるのですから」
もう落ちてるとは口が裂けても言えまい。
「昨日も今日もずっと前に占いを覚えた日からずっとずっとずっと、あたしと良也は結ばれる運命だからね。あたしの占いは外れたことがないんだから」
「じゃあ初めて外れることになりますね。いい経験をさせてあげますよ、弓月さん」
「深鈴ちゃんがいつ死ぬのか占ってあげるね。大丈夫、長生きは……させないよ?」
この子達のバチバチで口の中が乾くような空気が辺りを包む。状況と空気は最低最悪だけど、求婚の件はどうにか躱すことが出来たようだった。
肋骨も何とか完治。ゆっくりと立ち上がる俺を見て弓月はバールを握る手に一瞬力を入れるが、すぐに力を抜く。
「治り早いねぇ」
「弓月にお持ち帰りさせられると困るしな」
「君のような勘のいいガキは大好きだよ」
「おっ、おぉ……」
肩透かしされた気分だ。
こうして、何とか危機をいくつか乗り越えた一日が終わって行く。
まぁ、次の日もまた次の日も災難は絶えないのはわかっているんだけれど、ね。




